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推し映画館について語る9〜八丁座2〜

先日、久々に広島へ帰省した際、10ヶ月ぶりに八丁座で映画鑑賞できました。昨年12月31日の「高津川」以来です。
改めて感じた八丁座の素晴らしさを、綴っておきたいと思います。
今年4月に書いたnote「推し映画館について語る2〜八丁座〜」では、主に舞台装置(設備)としての素晴らしさについて綴ったので、今回はソフト面で感動したことを述べてみたいと思います。

久々の八丁座で鑑賞したのは、10月2日公開、二宮和也さん主演の「浅田家!」。ここでこの作品を観れて、本当によかったです。中野量太監督の作品は、八丁座で観たかった!

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感動ポイント1:入場時間が早い

朝イチの回(10:50開始)を鑑賞予定で、八丁座に到着したのが10時頃。だいぶ早く着いてしまったので、併設されているカフェ「茶論 記憶」でコーヒーでも飲もうかな…と思っていたところ、なんと既に開場されていて、中で上映を待っていいですよとのこと!マジですか!?あの素晴らしい空間で1時間弱も過ごせるなんて…!と震えました。だいたいの映画館では、10分前開場ですよね。
本当に素晴らしいひとときでした。たっぷり堪能した…!

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なにせ、ソファがふっかふかで最高の座り心地なので。このソファを超える座り心地は、そうそう出会えないと思ってます。

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他の席を見て回ったりして。もっと頻繁に通えるなら、いろんな席から観てみたいのだけど…!

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前日に届いたオーダーメイド鞄を置いて記念写真を撮ってみたり。dubluvyobs(ダブラヴヨブス)さんの帆布バッグ、最高に似合うなあと悦に浸るなどしました。楽しかった!

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感動ポイント2:フードメニューが豊富

ドリンクもフードも種類が多く、かつどれも本当に美味しそうで!今回はホットのジャスミンティーにしましたが、茎ほうじ茶も気になるなあ…と後ろ髪引かれていました。あとおつまみに麩ショコラ(お麩にコーティングしてある軽めのおやつ)。美味しくて大好きです。
食べログ:茶論 記憶
ポップコーンとコーヒーで観る映画も大好きなのだけど、最近、食べきれないんですよね…

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感動ポイント3:上映前の前説

映画が始まる前に、劇場スタッフさんが前説のようなお話をしてくださるのが良いです。しかも法被を着てらっしゃっるので、演劇が始まる前みたいでワクワクします。
先日放送された「7RULES」で登場されたシネマ尾道の河本支配人が“上映前に一言、パンフレットやグッズについて案内するようにしたら、買ってくださる方が増えた”と仰っていましたが、上映前の挨拶って、ちょっと印象深いし、嬉しいんですよね。私は大好きです。
先日、元町映画館で「ガザ・サーフ・クラブ」を観た時も、上映前にイスラーム映画祭の主催者さんが説明してくださったので、映画への理解が一層深まって、本当にありがたかったです。

できればいろんな映画館で、こうした前説を取り入れてくださると嬉しいな、と思ったりしました。


感動ポイント4:スタッフさんの親切さ

上映後、「浅田家!」のグッズを見ていたら、蔵本健太郎支配人が声をかけてくださいました。いろいろお気遣いいただいて、嬉しかったです。
以前、 Mini-Theater AIDの「オンラインでミニシアターを旅しよう」 YouTube配信で拝見した、あたたかい人柄そのままの方なんだなあと感動しました。


広島の映画館「八丁座」蔵本健太郎(支配人)インタビュー【まちなかの映画館の再興を目指して】


感動ポイント5:ラインナップの幅広さ

八丁座(およびサロンシネマ)はミニシアター系の作品が多いのかなと思っていたのですが、場内にバーンと「007/NO TIME TO DIE」の宣伝パネルが置いてあってちょっと驚きました。(公開延期が決まってしまったけど…)

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こういうシネコンでかかるような大作モノを八丁座でかけるのは良いなあと思いました。
広島の映画館って、車で行ける場所にはたくさんのシネコンが出来たのですが、交通手段が電車やバスの人が通える映画館って案外少ないのですよね。(2025年に広島駅にシネコンができるそうで、楽しみです!)

シネコンには行きづらいけど、八丁座には通える年配の方は多そうで。思えば、母が大病を患った時、八丁座から徒歩圏内にある総合病院に通院していたのですが、「検査や診察の後に、八丁座やサロンシネマに行くのが楽しみなのよね」と言っていました。まちなか映画館って貴重ですよね。

この上映ラインナップのバリエーションの広さ!先日、横川シネマで上映されていた「なぜ君は総理大臣になれないのか」が、10月16日から八丁座で上映されるとのことで、おおっ!となりました。
横川シネマで観る人は“ミニシアター系が好き”なコアめな方で、八丁座はもう少し層が幅広いイメージがあります。「なぜ君」のような映画は、観る人の層をどんどん拡げて行く為にも、いろんなタイプの映画館で上映してほしいなと思います。

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持って帰ったチラシを広げて、母にお勧め映画をプレゼンする時間、しあわせなひとときでした。「おらおらでひとりいぐも」と「ようこそ映画音響の世界へ」と「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」が特に楽しみすぎる。


「浅田家!」を鑑賞した時の八丁座。親子連れも居たし、私のようにふらりと来ましたっていうおひとり様も居たのだけど、服装もメイクもばっちり決めて来られていたマダム達が印象に残っています。
マダム達にとって“八丁座で映画を観る”という行為は、「ハレの日」で特別なことなんだなと思うとぐっときたんですよね。東銀座で歌舞伎を観る、みたいな。そういう、背筋がピシッとなる場所があるって、素敵なことだなと思いました。

郊外にシネコン(複合映画館)がどんどん誕生して、街の中心部で話題作が見られなくなりました。私の学生時代には、街に出るというのは“ハレの日”で、街中で映画を観るということは外せなかったんです。広島の街のど真ん中“八丁堀”に夢の映画館をつくって、たくさんの人に映画を楽しんでもらいたい。長年の願望がさらに強くなったのは、シネコンさんのおかげでもありますね(笑)。
「HiNT!」序破急 代表取締役 蔵本順子氏インタビューより

今回、久々に八丁座を訪れて、スタッフの方々の“おもてなし”の精神に触れてみて、つくづく思ったことがあります。
映画館って、“自分と映画作品(キャストやスタッフ陣、世界観)が向き合う場所”だと思っていたのですが、そこに“映画館の人間味”が加わると、さらに高次元で、特別なものになるんだなと。点と点が線になるだけでなく面に、層になるというか。

そして、すべての映画館に八丁座のようになって欲しいわけでは全然なくて。映画館によって、いろんな空気感や楽しみ方があるから、面白いんだよなと思うのです。
そこで掛けられる作品群に、館主のメッセージを感じたり。挨拶や感想を伝える、ひとことだけのやり取りの中でも伝わる感情が生まれたり。その積み重ねが“映画館に人格を与える”ことになり、単に「映画を観る場所」ではない、特別な場になるんだな…と思いました。それは、NetflixやAmazon primeでは、出来ないことです。
そしてそういう場所づくりって、シネコンでも出来ると思うんですよね。人間味が感じられてこそ、愛着は生まれると思うので。シネコンにしかいけない人達もいるはずなので、映画人口を増やして行くためにも、1人でも多くの人に“しあわせな映画体験”をしてもらえたらいいな、と思いました。
そんなわけで、八丁座。ここに来れば、最高の“しあわせな映画体験”100%確定間違いなしです。年末も必ず伺います!

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