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推し映画について語る-15:「バトルシップ」

かなりローなテンションの時でも、鑑賞スタート5分以内でグンと気分が上向く1作です。もしかすると、Netflixで一番再生回数が多い作品かもしれません(「シン・ゴジラ」と争うレベル)、めっちゃ好き。

2017年の地上波放送時に初めて観て、かつTwitterトレンド入りするほどの人気に、さらに興味を持ちました。浅野忠信がTwitter実況に参戦してたのも面白かったな。吹き替え版が好きです。浅野忠信が自ら吹き替えしてるんですが、違和感があるようで一周回って自然になっているのがすごく好き。笑

そしてある日、ふとNetflixでじっくり見返していた時に、この「バトルシップ」は”チーム戦を描いた作品”として、一番理想的なのかも!?と思ったのです。

推し映画15:「バトルシップ」

「バトルシップ」は2012年公開、ユニバーサル・ピクチャーズ100周年記念作品であるSF映画です。

『バトルシップ』(Battleship)は、2012年のアメリカ映画(SF映画)である。ハズブロ社が販売している同名のボードゲームを題材としている。(Wikipediaより)

宇宙に向けてメッセージを発信したら、めっちゃ強い異星人が地球侵略に乗り込んできた…という、ごくシンプルなストーリーのSF映画です。タイトルのごとく、戦艦バトルもの。

私はSFもアクションも軍モノも好きですが、特別、戦艦に詳しいわけではないので、次々登場する軍艦にも「かっこいいわあ」と思う程度の知識の浅さです。なので、この作品に強烈に惹かれている点は、戦艦やアクションではなくて、「ダイバーシティ&インクルージョン」の重要性を体感させてくれる作品として愛しています。理想のチーム戦として、頑なだった主人公が良きリーダーに育っていく成長物として。

ダイバーシティは、日本語で「多様性」という意味です。企業におけるダイバーシティとは、性別や年齢、国籍、文化、価値観など、さまざまなバックグラウンドを持つ人材を活用することで新たな価値を創造・提供する、成長戦略といえます。近年はグローバル化や顧客ニーズの多様化といった市場変化に対応するため、ダイバーシティ経営に取り組む企業が増えています。
一方、インクルージョンは「受容」という意味。企業におけるインクルージョンとは、従業員がお互いを認め合いながら一体化を目指していく、組織のあり方を示します。従業員一人ひとりの多様性を受け入れることに加え、組織の一体感を醸成することで成長や変化を推進する取り組みが「ダイバーシティ&インクルージョン」です。(「日本の人事部」より)

キャラクターの多様さと、彼らが各々の持ち場で全力を尽くし、敵を撃退する…というストーリーに、強烈に惹かれています。「バトルシップ」のどこがそんなに好きなのか、棚卸ししてみようと思います。


ダイバーシティな登場人物(※ネタバレあり)

多様なバックボーンの登場人物がいて、それぞれのキャラが「立って」いて、いいんですよね。全員、本当に大好きです。

・知性と教養があり「いいものを持っている」のに、カッとなりやすいし衝動のまま動く、肝心なところでダメダメな主人公(アレックス・ホッパー/テイラー・キッチュ)。中盤で部下達から「ホッパーが指揮を?!みんな死んじまう!」と言われてしまうくらい信頼されていない…笑。でもピンチに陥った中盤以降、ジミーの意見を受け入れたり、ナガタに艦長を譲ったりと、もがきながらも、リーダーとして成長していくところが良いのです。

・ホッパー大尉と犬猿の仲で、超有能な海上自衛隊の一等海佐(ユウジ・ナガタ/浅野忠信)。序盤の嫌味っぽいキャラが、初見の(日本人以外の)人にはネガティブな印象を持たれそうなライバル的ポジションなのですが、使命の為に全力を尽くす熱いハートが滲み出ているので、きっとクライマックスでは「こいつがいて良かった!」と思われていたはず。「(ジェリー・ルイスの「底抜けシリーズ」の)大ファンであります」というシーンと、ホッパーに「射撃はどこで?」と聞かれるところが最高に好き。

主人公の恋人で、知性的なブロンド美女(サマンサ・"サム"・シェーン/ブルックリン・デッカー)。バトル物でよく見かける「主人公の帰りをただ待つだけの女」ではないのがとても良いです。提督の愛娘にして、軍の診療所に勤める理学療法士。担当患者のリハビリの為に登った山で異星人の侵攻に巻き込まれ、施設奪還のために奮闘するという役回りです、かっこいい!「それ、男性キャラの役割ですよね」ってとこまで率先してやってのけるし、なんというか”甘やかされていない”のがいいのです。ラストシーンの笑顔、最高にかっこよくて素敵です。

・駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」CIC所属の、沈着冷静な女性クルー(コーラ・レイクス/リアーナ)。めちゃくちゃ好きです。彼女とサムの活躍が、最大の大好きポイント。女性だからと特別扱いされるシーンが微塵もないところが好き(リムパックのサッカーの試合でも選手として出てるし)。絶体絶命のオーディを助ける場面のヒーロー感がやばい。退役軍人と協働する時に、大先輩方にめちゃ懐いてる感じなのも、すっごくいいです。「古参兵から学ぶ気は?」「あります!(へへっ)」「では手伝ってくれ」「喜んで!」のやりとりが、一番好きなシーンです。これぞダイバーシティ&インクルージョンの素晴らしさが凝縮されている名場面!

義足の退役軍人(ミック・キャナルズ/グレゴリー・D・ガトソン)。サムの担当患者。最初は終始苛々していて、サムにも心を開かなかった(むしろ殺気を向けていた程)けど、異星人の侵攻を阻止するために奮闘する姿にグッときます。サムを庇護対象としてではなく、お互いが生き残る為のパートナーとして扱っていたのもすごく良い。後で知ったのですが、グレゴリー・D・ガドソン氏は本当に義足の帰還兵らしい。凄い。

・もう異星人の侵攻を阻止する術がない!絶体絶命!と言うときに駆け付ける、役目を終えて記念艦となっていた70年前の戦艦「ミズーリ」に乗船する退役軍人の方々。かっこよすぎる!しかも「俳優ではなく第二次世界大戦を生きのびた本物の兵士の方たち」だそうで、もう、どこまでかっこよいんだ…。「本当にオアフを撃つので?」「ああ、そのようだ」「夢みてえだ」のやり取りも大好き。「バトルシップ」は(私にしては珍しく)吹き替え版の方が好きなのですが、こういうやり取りに滲み出るおかしみが最高です。

・ちょっとどんくさい、操舵担当の上等水兵(ジミー・"オーディ"・オード/ジェシー・プレモンス)。ヒトコト多い系の、いかにもモブっぽい部下なのだけど、彼の趣味が宇宙人撃退の重要なヒントをもたらします。こういう「部下の示唆が組織を救う」系のエピソードもすごくイイ。

・不出来な兄を心配する有能な大佐(ストーン・ホッパー/アレクサンダー・スカルスガルド)。駆逐艦「サンプソン」の艦長。本当に有能でかっこいい。弟が飲んだくれでニートでチキンブリトーを盗みに入って逮捕されるようなダメダメでも見捨てられない、優しい兄貴です。


「バトルシップ」は、多様な個性や考えを持つひとりひとりが、その個性を活かしながら助け合い、お互いを尊重して物事に当たっている、しかもわざとらしくないバランス感が絶秒で、凄く好きです。

たとえばサムやレイクスといった女性キャラを”女性として”差別していないところ。たとえばミックの義足を「ひとつの個性として、そして武器を持つ勇猛果敢な人間として」活躍させているところ。そして最後に、地球を救うのが退役軍人のご老人と70年前の戦艦の力という、引退した超ベテランをもチームに組み込んでしまう。性差や障がい、年齢差をも、フラットに、キャラクターのひとつとして扱う、そういう制作陣の姿勢が好ましいのです。

各々の適性を活かして物事に当たり、難局を突破するのが本当に”強い”チームだと思っているので、「ダイバーシティ&インクルージョン」を学ぶのに最適な映画じゃないかな、などと思っています。


主人公(ホッパー大尉)のへなちょこ振り

こういうバトルものの主人公で、ホッパーほどダメなキャラって、ちょっと珍しいんじゃないかなと思うほどに、ストーリーの中盤くらいまで「イケてない」です。そこがリアルで良い。

・できる兄に比べ、賢いのにとことんへなちょこな弟。一目惚れしたサムを口説くために、お店にチキンブリトーを盗みに入るエピソードがほんと情けなくて、観るの辞めようかと思ったくらい。笑 兄貴が本当に気の毒…

・根はいい奴。退役軍人の式典の際、遅刻しているにも関わらず、見学ツアー中の子供に戦艦と駆逐艦の差を教えてあげるところが好きです。

・ホッパーがサムのパパ(提督)にプロポーズの許可を貰いに行く場面。彼女との練習ではカッコいいのに、いざとなると「やっぱりだめだ」と回れ右してしまうのが、リアルで人間味があって。こういう主人公、すごく好きです。割と最後まで、この点についてはかっこよくなかった。笑

・ストーリーがかなり進んだ中盤でも、命令を部下に窘められたり、信頼されていなかったりするところが、本当にリアルというか。人はそんなに簡単に変われない、いきなり完璧なヒーローにはなれない。でも逆境が、彼に「周囲の言葉を聞き入れて、きちんと物事を考えられる、できる人間」に育てたんだなと実感できるのです。

・クライマックスの「光栄でした」のシーン、最高に熱い。そこからの一連のシーンは、何度観ても「YEAHHHHHH!」って叫びたくなります。


熱いリンク集

バトルシッパーの方々のレビューは、愛あるツッコミに溢れていて、読んでいて本当に面白いです。

実はこの『バトルシップ』、最低な映画を決めるラジー賞に6部門にノミネートされたうえ、アメリカでは興行的に失敗しています。しかし、日本では洋画で7位の成績である14億円超のヒットを記録し、“バトルシッパー”と呼ばれる熱狂的なファンを生み出しました。

ナガタ一佐の降臨、本当に面白すぎました(特に「あいつアホだな!」が最高)。

また地上波放送してほしいな。その時は私も、バトルシッパーの方々に混ざって、全力で実況を楽しみたいです!




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