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壁やフィルターを取っ払い、ここにしかないことに目を向けて、地域や人の新しい価値を発掘する。-Kanna

MAKERS U-18 PEOPLE シリーズ。今回は、地域の新たな価値を発掘しようと奮闘する、7期生・岡田栞那さん。

インターン等で経験を積みながら、そこにしかないことやその地域だからできることに目を向け、新たな価値を生みだそうと活動を続ける岡田さん。人と人とをフラットに、緩やかに繋ぎ、出会いによって可能性が広がっていく景色を目指しています。

自分が知らない世界や可能性、価値を発掘していきたいという「狂気」を今、どのように形にしているのでしょうか。

生まれ育った島の魅力や心に残っている光景、休学を決断するまでの葛藤や活動を続ける中での心境の変化、そして自分自身が大切にしていきたい生き方について伺いました。

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”今の自分を作ってくれた故郷の島が消滅したり廃れるのは嫌だと思いました。”

簡単に自己紹介をお願いします。

岡田栞那です。岡山大学のグローバルディスカバリープログラムの2回生を休学中です。最近は岡山で、食を通じた日本人と在留外国人の交流イベントを企画運営したり、4ヶ月間、鹿児島県の甑島(こしきじま)という島で地域づくりのインターンをしていました。

活動のきっかけを教えてください。

私は、愛媛県の中島という瀬戸内海に浮かぶ人口2000人ほどの島で生まれ育ち、そこが私の地元であり、原点であり、今の活動の一番大きなきっかけでもあります。

私の島はコンビニもなく、同級生も11人といった不便で閉鎖的な環境でした。島で暮らしていた時は、自分の島が嫌いというか、もっと外に出たいと思っていましたが、高校から島の外の学校に通うようになって、自分の故郷の良さを感じ、自分の今があるのは、中島の環境のおかげだと思うようになりました。

今の自分を作ってくれた故郷の島が消滅したり廃れるのは嫌だと思いました。そこで、島をよりよくすることに貢献したいと思い始めて、地域に目を向けるようになりました。

自分が生まれ育った地元はどんな環境でしたか?

私が本土の高校に通うようになって感じたことですが、島は時間の流れがゆっくりで、日々忘れがちな余裕や自然の動きが感じられ、心を正せるような環境がありました。

私の両親は島外から農業のために移住した移住者だったので、私が14歳になるまで毎年1ヶ月間、家にアジアから農業研修生がホームステイに来ていました。

自分の家に知らない海外の方が来ていたことで、閉鎖的な環境でも外の世界と接点を持つことができ、恵まれた環境だったと思います。

そういう環境で育ったからこそ、ローカルとグローバル、世界が繋がることへの可能性をとても感じるのだと思います。

”小さいからこそできること、ここにしかないことに目を向けて価値を作り出す過程に、すごくワクワクしています。”

インターンのお話も聞かせてください。

私がインターンしている会社は、東シナ海の小さな島ブランド、通称island companyです。

「どんな会社ですか」と聞かれた時の私なりの答えとしては、その島の風景や暮らし、歴史を再構築し、未来に繋げる事業を行っている、懐かしくて新しい未来を作っている会社だと思います。

何に惹かれてジョインしたのですか?

実際に作りたい社会や生み出したい価値の解像度がまだまだ低いなと思っていた時、この会社と出会いました。

人口が減りゆく中でどう豊かな暮らしを守り育てるかにすごくこだわっている会社で、そこに大きな可能性を感じました。

私の地域や島へのこだわりを、この会社が言語化してくれているように感じます。

人が減ってお金も物も少なくてこれから落ちていくしかないと思われている地域の見方を180度変えるような、小さいからこそできること、ここにしかないことに目を向けて価値を作り出す過程に、すごくワクワクしています。

土地にある価値や可能性、資源をどう再構築していくのか学びたくて、この会社で働いています。

インターンではどのような活動をしていますか?

この会社が運営する飲食店や宿で、お客さんの対応や料理を作る仕事をしています。

また、県や国の委託事業で、鹿児島周辺の島の人たちと連携し、挑戦したい人や島で起業を目指す人のサポートや移住促進にも関わっています。

他にも、UターンやIターンで島に戻りたい人のためのオンラインスクールを運営予定で、そこにも関わっています。

自分も島に戻って事業を立ち上げたい立場なので、スクールに通う人が学びたいことや目指す姿を当事者視点で考えながら、スクールの運営や内容の企画、プロジェクトの推進を任せてもらっています。

”『地域はすぐに結果が出るものじゃないから、のんびりやっていこう』と言われ、とてもはっとさせられました。”

休学という決断をされた背景を教えてください。

休学やインターンは、そうせざるを得なかったと感じています。

高校生のときは、自分の島をフィールドに、MAKERS U-18に参加するなど様々な活動をしていました。

ですが大学生になり地元を離れると、地元のことは物理的にもやりづらく、ガンガン進みたいのに進めないもどかしさを感じていました。

このままじゃいけない、自分の在りたい自分でいれていないけれど、どうしたらいいか分からない。

この状況をどうにかして変えるため、一旦大学から離れて、自由に動けるようになるために休学をしました。

葛藤を抱えながらの日々だったんですね。

そうですね。

大学に通いながら、岡山でのプロジェクトを進め、他の会社でインターン、さらに高校生の探究プロジェクトのメンターもしていました。

色々なものを両立するそのスタイルは自分に合っていると思いつつも、時間的にも心の余裕的にも向き合いきれず、中途半端になってしまっていました。

やりたいことがあるのに、まっすぐ向き合えない自分や状況に耐えられなくなって、何かアクションを起こさないと、「やりたいけどできていない」の負のループを抜け出せないと思い、出した決断が休学でした。

休学してみてどうですか?

自由に動ける時間を増やし、中島での事業を推し進めたいという漠然とした思いで2023年10月から休学をしました。

島のみかんの販路拡大としてみかん蛇口の事業を進めるべく、ヒアリングに行ったり、プロダクトの設計をしたり、試行錯誤をしていましたが、自分の中でこの事業をやる納得感がなかなか落とし込まれず、事業としても一歩進んで二歩下がる状態が続いていました。

事業の立ち上げとしては当たり前のことだと分かっていても、いわば今まで『夢』だった中島での起業が、目の前の『目標~現実』になった時、その道のりの長さや自分の無力さ、自分のやりたいことへの疑問が湧き出てきました。

このままじゃいけない、もっとより良く今の時間を使える方法があるのではと思っていた中でインターン先の会社と出会い、休学残りの期間はここに時間を使いたいと思いました。

今は休学してよかったと思っています。

インターン期間を終えてからの活動についてはどのように考えていますか?

インターンの期間を延ばすか、やめるか迷っています。

高校生の頃から、「絶対こうなるんだ」と最終ゴールから逆算して決めていました。だからこそやりがいや意義をすごく感じていたのですが、逆に言えば、自分の想定内の出来事しか起こっていなかった気がしています。

でも最近、今自分が見えている道や未来を進むことに物足りなさ、人生の面白みの無さのようなものを感じているんです。

今決めたことをやり抜きたい気持ちもありますが、何に繋がるか分からないけれど、もっと多くのものや人に出会って、まっさらな状態で、自分の心がワクワクすること、シンプルにやりたいことをやってみてもいいのかなと思っています。

以前よりも葛藤は少なくなった印象です。

焦りはあります。ですが、焦りを感じていた時に、地域で活動している知人から『地域はすぐに結果が出るものじゃないから、のんびりやっていこう』と言われ、とてもはっとさせられました。

すぐ結果を出したいと思い焦ってしまうことがありますし、焦ってはいけないと思いながらも焦ってしまいますけど、でもその度に焦ってはいけないなとすごく思います。

”どれくらい稼いでいるか、どこに勤めているかといったことではなく、その人が一人の人として今を楽しんでいる場や光景に心が惹かれるのだと思います。”

今までの経験の中で、印象に残っている風景や出来事があれば教えてください。

1つは岡山での食のイベントで、普通では出会わない地域の子どもたちと留学生がすごく楽しそうに話している風景や、会社員のおじさんが留学生に頑張って英語で話しかけている風景を見たとき、自分がこういう場を作りたくて活動しているんだと強く感じました。

他にも、中学生のとき、クラスメイトと一緒に市の助成金を獲得してイベントを企画した時、島のおじいちゃんおばあちゃんと島外から来た子どもたちが交流し、自分たちがこの場を作らなければ出会えなかった人たちが楽しい時間を過ごすのを見た時、自分の島っていいな、こんな場をこれからも作っていきたいと思いました。

視野や可能性が、人との出会いによって広がっていくところを見るのがすごく好きです。

出会うはずのなかった人たちが出会い、自分の考えや視野が少しずつ広がっていくその場の設計に少しでも加われていれば、嬉しいです。

「いいな」と思うものに共通していることはありますか?

その場に上下関係がないからだと思います。

人には属性や所属、身分があるけれど、それはその人を表す一つに過ぎません。

でも人は、相手が自分より偉いとか年上・年下というフィルターを通して関わっていると思います。大事なことだとはわかっていますが、私はそれが窮屈に感じます。

だからこそ、その人がどれくらい稼いでいるか、どこに勤めているかといったことではなく、その人が一人の人として今を楽しんでいる場や光景に心が惹かれるのだと思います。

そのことに気づいたきっかけやこれまでの経験はありますか?

幼い頃から、海外の人が家に来るのが当たり前の環境だったのですが、外国人だから、学びに来ているからどうだという雰囲気は、両親や周りにはありませんでした。ただその人として受け入れられ、対等にコミュニケーションを取っていることを幼いながらに感じていました。

甑島には、会社の視察に国内外のエキスパートが訪れていたのですが、いわゆるすごい人たち、社会的地位の高い人たちが、島のおばあちゃんたちの話に熱心に耳を傾け、島の伝統的な音楽に感動している姿を見ると、そこには上下関係はないと思いました。

社会の分断や違いがフラットに緩やかになっている場に自分がいて、その光景に嬉しさや心地よさを感じ、心が動くのだと思います。

フラットに緩やかになっていくその先には何があると考えていますか?

フラットになることが最終目標ではなく、壁やフィルターを取っ払うことで、見えていなかった可能性や価値を自分の中にすっと受け入れられるのだと思います。

一方で、自分自身が持ってるものや自分自身が持ってる価値のようなものも、もっと大事 にできるのかなとも思います。

フラットになって、「相手はこう」「自分はこう」のような相対的な評価から、もっと自分自身が持ってるものに気づけるようになるところがいいのかなと思います。

フラットなことが良いのではなく、フラットだからこそ見えてくる価値に魅力を感じています。

”自分が知らない世界や可能性、価値を自分の手と心で発掘したいという想いが根底にある”

自分の根底にある価値観のようなものはありますか?

発掘していきたいということなのかなと思いました。

自分が知らない世界や可能性、価値を自分の手と心で発掘したいという想いが根底にあると思います。

自分が知らない場所や人の価値を発掘したいから、今まっさらな状態で人に会いたい、海外に行きたいという、やりたいことが出てくるのだと思うのだと思います。

まだ見ぬ可能性や価値、世界を発掘することが自分の原動力だと思います。

これからどんなことを発掘していきたいですか?

社会的には価値がないとされている場所や人にある、知られてない価値を自分が発掘し、磨きたいと思っています。

実習生が労働力として、日本社会であまり良い待遇を受けていないことに、憤りと問題意識を感じていました。

今も外国人の現状と地域を絡められないかと考えています。

「外国人だから」「技術を持っていないから」と単純労働をしている実習生ですが、彼らには独自の視点や力があります。

それを発掘し、活かせる環境を作りたいです。

”自分の直感やワクワクにすっと乗れる軽やかさを持って、旅人のように生きていたいと思います。”

自分の本能に従ってやりたいことを開放していくと、5年後、25、6歳ぐらいの時にはどうなっていると思いますか?

あらゆる場所で多くの人たちと広く、でも深く、新しい価値や可能性を掘り起こして磨き、社会に送り出すことをしていると思います。

ローカルで、その地域に向き合い深く関わりながら、国内外を含めて様々な場所との横の繋がりを拡げていけたらと思います。

様々な場所で深さを持ちながら、日本中、自分の原点の中島を拠点に、国内外で価値の発掘ができると最高だと思います。

近い将来どんなことをやっていきたいと考えていますか?

そうですね。自分の原点でやりたいという強い思いがあるので、故郷の中島に戻ってやりたいという気持ちは間違いなくあります。

外国人技能実習生を島全体で受け入れ、単なる労働者としてでなく、地域経済やコミュニティに良い影響を与え、まちづくりに繋がる事業をやりたいです。

技能実習生は多くが出稼ぎ感覚で日本に来ており、賃金が下がっていっている今、日本が選ばれなくなってきています。

ですが、賃金の部分だけではない日本や島・地域に来るからこそのやりがいや得られるものを、作りたいと思っています。

拠点を持つ「土の人」と、いろんなところに行く「風の人」の2つから、あえて選ぶなら自分はどちらで在りたいと思いますか?

「風の人」ですね。

一つの世界しか知らないのは恐ろしいと思います。世界は広いから、いろんなものを見たい。軽やかに生きたいという気持ちが強いです。

自分の直感やワクワクにすっと乗れる軽やかさを持って、旅人のように生きていたいと思います。

岡田さんの想いや願い、そこから湧き出る行動や挑戦、いかがでしたか?
引き続き、応援しています!

[取材日]2024/07/31
©Kanna Okada &ETIC. All Rights Reserved.

<最後に>

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