友達の話。 #1
僕にはペンギンの友達がいる。
あだ名はペンちゃんだ。
出会ってすぐ、そう呼び出した。
なんでぺんちゃんと出会ったかは、また気が向いたら書く。今日は違うことが書きたいのだ。
太陽がポカポカしているある日だった。
ペンちゃんは空を飛びたいと言った。
あの小さなスズメも空を飛ぶんだから、自分だって青い空を飛べるはずだと。あの真っ黒いカラスも空をスイスイと飛ぶのだから、白黒の自分だって飛べるはずだと。
でも、飛べない。
僕はぺんちゃんが飛べないことは知っていた。
前に図書館で読んだからだ。分厚い大きな『どうぶう辞典』に載っていた。
ペンギンは空を飛ぶことはできません。と。
だから、そのことをペンちゃんに伝えることは簡単だった。ぺんちゃんに「あのね…」て言うこともできるし、学校の図書館に一緒に行き、大きな辞典を引っ張り出し、「ほらね、飛べないって書いてあるでしょ?」と言えばいいから。
でも、そうはしなかったし、僕は飛ぶ練習のお手伝いをした。
それは、友達のぺんちゃんが飛びたいって言ったから。友達がやりたいって言ったから僕はそれを応援した。
なんでぺんちゃんだけ飛べないのか知りたかった。だから、一緒にがんばろうて言った。
学校の友達はそんな僕たちをからかったし馬鹿にしてきた。でも、それも2、3日我慢したら誰も言ってこなくなった。
たぶん飽きたんだと思う。
飛ぶ練習としてまず、河原で走った。坂道を思いっきり走って、ジャンプして、手をバタバタさせた。
僕はビックリした。
ぺんちゃん、走れなかった。
ぺんちゃんは走ってると言うが僕には“コケそうでコケない”ぺんちゃんにしか見えなかった。
作戦を変えた。