コロナと「垂直避難」の是非
7/5,6と、九州では広い範囲で「災害級の豪雨」が降っています。
既報のとおり、老人福祉施設では10名以上の方が亡くなり、その土地の方からすれば「記憶にないレベル」だったのかもしれません。現に、悲惨なことが起きてしまいました。
防災の観点、今一度確認してみましょう。
自宅が、周辺河川等の氾濫等で影響を受けるであろう「ハザードマップ」。きちんと把握されていますか?
私の住む埼玉県では今年になって、これまでよりもさらに詳細なハザードマップに相当するものが出ています。最新のものは、市町村HPよりも県の方が早く情報が取れるので、県管理河川ベースのハザードは、早急に把握すべきであると思います。
例えば私の家は、5~50cmの範囲だそうです。
この範囲であれば、基本的に垂直避難で何の問題もありません。
今年のコロナ禍において、避難所も「三密を避ける」工夫をしているらしいです。いえいえ、それ以前に、「行く必要のない方は行くべきではない」が正解。
本当に避難が必要なのは、ハザード上でメートル級の浸水が見込まれる地域です。なぜなら、いざとなった時に自力で動けなくなるから。そのような方のために、避難所は開設すべきであり、あえて安全を求めて避難する必要はないはずなのです。本当に避難が必要な方に、コロナも何もあるのでしょうか。そこに疑問を持つようでは、自分の命、ちょっと疎かにされてらっしゃると思います。
もしくは避難勧告レベルの段階で先に避難してしまうか。
「避難指示」が出てからでは、既に遅い場合が多いです。なぜなら、避難指示はアナタの家でなく、アナタの地域に出すからです。家の状況によっては、その差は致命的になる時があります。だからでこそ、ハザードの把握は必要だし、現実には個々の問題です。さすがに自治体も、町内会も、そこまで面倒を見ることはできません。
もう1つ、実は落とし穴で怖いポイントがあります。これを知っておいてほしい。
アナタの家の排水が公共下水道につながっていたとして、それが「合流式下水道」の区域内であれば、ハザードマップに関係なく注意が必要です。
下水管なら大丈夫じゃないか??
いえいえ、良く見ませんか?マンホールが持ち上がってしまい、水が噴出する様子。。。合流式下水道は、汚水と雨水を同じ管で下水処理場に送る方法で、下水道ができた当初は皆合流式でした。我が家も合流式下水道の区域内ですが、合流式下水管からの噴出を仮に見たら、絶対に気をつけなくてはなりません。当然、衛生面のことです。いくら雨水で希釈といっても、希釈の度合いはたかがしれています。近づかないのが一番です。
合流式下水道にあらず、機能しない側溝がある等、雨水の排除ができない問題は、河川が近くにあるかどうかと何の関係もなく、別の問題で捉えなくてはなりません。
このような状況下では、やはりまともに動くことが難しくなります。
また、小規模の水路があると最悪です。合流点近傍で「バックウォーター」のような現象が起こることも想定した方がベターです。
はっきり言って、自治体ハザードマップは、バックウォーターの想定がありません。(シミュレーション自体が無理だし、そもそもバックウォーターの想定がない…というかその想定されたら怖いですよね。。。)そして、バックウォーターにより、シミュレーションにないレベルの水が押し寄せることも、当然にあり得ると考えるべきです。
昨年の台風19号でもわかるように、バックウォーター現象は比較的どこでも起こりうるもので、それが大規模な被害につながるおそれもあります。
こればかりは、自宅周辺の地理を良くみる以外にありません。
農村地帯ならどうするか。ハザードでメートル級の評価が無ければ、垂直避難を基本とすべきです。なぜなら、大雨による冠水で、水路の識別がつかなくなるおそれがあるため。(もちろん、識別つく範囲で先に逃げるはOK)
だったら、タワーマンションはどうか?これも注意が必要。タワーマンションは当然、浸水だけなら安全です。しかし、昨年の台風19号で機械室が浸かってしまった武蔵小杉のタワマン、あれを受けて国土交通省が今年ガイドラインを作成しましたが、当たり前な話、既存のタワマンでの対応がされているかは非常に怪しい。これも、住んでいたら必ず確認が必要なことです。
あと、当たり前ですが河川の近く。これは垂直避難なんて呑気なことは言ってはいけません。誰よりも早く、察知してさっさと避難すべきです。ハザードの評価はシミュレーションでしかないので、やはり細かいところは見てくれません。危ないと思ったら事前に動く、河川の近くの方は特に目を張るべきですね。
河川の水位も、簡易に見ることのできる水位計が出てきたこともあり、以前よりは沢山の場所を見ることができるようになっています。それでも、すべてを網羅しているわけではありません。過信は禁物です。
…というように、自分の住まい次第ではありますが、ハザードマップと地理的要因の2点をしっかり総合判断する発想が必要です。これは誰も教えてくれません。自治体もマップ配布までがオチなので、しっかり各自が考えておくべきです。
なお、言うまでもなく垂直避難で自宅待機となった場合は、ある程度の日数の非常食等は、自分で用意しておくことになります。万が一の災害に備えて、最低限度のストックは置いておくことが必要ですね。ミネラルウォーターに限らず、水のストックも必要です。インフラが機能しなくなるおそれがあるためです。
最後に、この度の豪雨被害に遭われた方々、地域の皆様のご無事をお祈りします。明日は我が身、次はまた別の所で…は十分考えられることです。
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