妊活日記―夫婦の時間と普通の話
11/7(月):夫婦の妊活日記⑥
沖縄での生活が始まって約半年、私たちは小さなブックカフェを夫婦で開くことになりました。
正直、第一印象は「おばけ出そう」…だった物件を借り、床材を貼るところから夫婦で準備をスタートしました。
お互いになにも分からないままイチから調べ、形にしていく作業は、強がりな私が「分からない」「できない」「難しい」を夫に言えるようにしていってくれました。
そしてまた、オープンしてからのノーゲスト(お客様のいない)の時間に夫婦で沢山おしゃべりをしました。
…子どもの頃のこと、それぞれの家庭の行事のこと、学校でのこと…
このおしゃべりの時間と「沖縄での生活」ということが、私たち夫婦の土台を作ってくれました。
沖縄という土地は、互いに兵庫出身の私たちからみると
言葉遣い、お盆やお正月の行事ごと、家の作りにお墓の作り…
何から何まで違うモノでした。
それぞれが思い込んでいた「普通」が全く通じない場所に2人だけで身を置いたことで、勝手に思い込んでいた話すまでもない意識したこともない「同じだろう」事柄すらも互いの家庭で全く違うのだ…ということを知り、違いを伝え合い私たち夫婦なりの価値観を築くことができた様に思います。
この時の時間は私たち夫婦が向き合っていくうえでの大切な財産になっていると思います。
お陰で今も、少なくとも私にとっては夫とのおしゃべりの時間は、私の「幸せ時間トップ3」に入るくらい幸せな時間です。
この「おしゃべりできる夫婦」になれたお陰で、今まだ親になれていない私たち夫婦は、話し合いを通じて問題に向き合っていられるのかな?と自負しています。
そして何よりこのお店での沖縄の人たちとの出会いは、とても刺激の多いものでした。
お仕事柄医療に詳しく、父のように見守り、時には意見もくれた男性
「育美さん(私)が赤ちゃんを抱いた夢を見たの。私の見る夢は当たるから!」と、嬉々として話してくれた女性
進路に悩む学生君
えリート志向の、移住男性
育児奮闘中のお母さん
教育について語り合った大学教授…
常連さんたちは、私たち夫婦に子どもが居ないこと、子どもを望んでいることを知り、そらぞれの価値観で応援してくれました。
お客様との話を夫と振り返り、思いを昇華する中で、沢山の勉強をさせてもらいました。
有り難い距離感での見守りはとても温かく…パート時代に比べて、子どもができないことへのヒリヒリした痛みも少しずつ癒えていくようでした。
もちろん平穏なものばかりではなかったけれど、自分でも不思議なほど笑顔で自分の状況を話せるようになっていました。
そしてもう一つ、この時期きっと「ブックカフェ」である自分たちの店で本に向き合う時間をたっぷりとれたことも、心が安定していた大きな要因であったと思います。
悲しい気持ちから少し目を逸らせたこと、自分を俯瞰して見ることで幸せに気付けたこと、今の自分と違う世界に身を置けたこと…
本ってやっぱり有り難い!
人ってやっぱり有り難い!
そんな風に、振り返った今改めて感じています。