他人と縁を結ぶということ:特別養子縁組―何が優先か
12/21(水)特別養子縁組⑥
先日、この特別養子縁組の記事に対して、コメントを頂けました。
自分が社会の子どもたちに対して何か変えたい!ともがきながらここに記してきたこと。それが誰かの目に届いていること、そしてその人が私の記事で何かを考えて反応して下さったことが本当に嬉しくて嬉しくて…♡
しかもとても参考になるコメントで、私自身もう一度考えて夫婦で考えて…という時間を頂きました。本当に有難い!
ありがとうございます。
さてさて、前回は子どもを家庭で養育していくことの意味について考えていきましたが、今回は現在の日本の家庭養育についての優先順位とそれに伴う現状について考えていきたいと思います。
要保護児童の養育環境について児童福祉法では次のように理念を掲げています
家庭と同様の環境における養育(家庭養護)の推進
(児童福祉法H28/6/3施行)
1.国・地方公共団体は、児童が「家庭」(実父母・親族等)において心身ともに健やかに養育されるよう、保護者を支援しなければならない。
↓
2.児童を家庭で養育することが困難又は適当でない場合には、「家庭と同様の養育環境」養子縁組・里親・ファミリーホーム)で継続されるよう、必要な措置を講じる。
↓
3.児童を「家庭」、「家庭と同様の養育環境」で養育することが適当でない場合には、できる限り「良好な家庭的環境」(グループホーム・小規模グループケア)において養育されるよう、必要な措置を講じる。
ここで書かれている国としての優先順位はつまり、まずは血縁関係のある家庭で育てるのが良し。
できないのであれば家庭と同じような環境が良し。
それも無理なら家庭的な環境が良し。
しかし、それも無理な場合が多い。
そこでとられる措置が「乳児院」や「児童養護施設」という施設への入所なのです。ドラマなどで描かれる「虐待されていた子どもが送られる施設」のそれ。
児童を保護する場合にまず取られる措置が施設入所であるため、一般的にも「親と暮らせない事情のある子=施設育ち」となっているのだと思います。
ただ、上記の優先順位から分かるように日本の国としては「施設から社会へ」独立していくことを良しとはしておらず、実家庭で暮らせないと判断された子どもはできるだけ家庭と同様の環境下で養育されることを目指しています。
日本の里親委託率は諸外国に比べて極端に低く、現在の日本の課題となっています。(2018年のデータでは施設養育:里親委託の割合は8:2)
しかし、簡単に養子縁組できるはずもなく…子どもたちがまた傷つくことのないよう、子どもの置かれた環境がコロコロ変わって不安定なまま社会へ出ることのないようにしなくてはなりません。受け入れる側への厳しい学びと覚悟が求められ、プロの目を通した見極めが必要であり、時間と慎重さが求められる問題だと私は考えています。
ただ、現在の見極めの機会は認定の面接のみ(マッチングの際に子どもと合うかどうかの見極めはありますが)。面接を何度も重ねて「面接のパスの仕方」対策を練られるよりも、研修の度に理解度などを図る機会を作ってもいいのではないかと考えています。
私は里親研修を受ける前のガイダンスで、「委託措置をされてから性別や気質など、思っていた子と違うからやっぱり無理…という理由で里親候補さんから委託の取りやめを言われることも多い」と担当の方からお話を伺いました。
そして研修を受けてみて「そらそうやろな…」が率直な感想になりました。
例えば私たち夫婦の前に座っていた女性は、研修の合間ずっと「私の赤ちゃん♡」とタイトルを付けてイラストを描いていたり、研修内容を全て終了してからもシステムを理解せずに「里親になるっていうことは子どもの願いを叶えることだから、こちらの願いも叶えてもらわなきゃ」なんて嬉々として話している人…この人たちは自分たちが預かるかもしれない子どもたちの背景にはなんの興味も理解も示さない…この時点で子どもに心を寄せられない人たちが養親になったらと思うと、失礼ながらゾッとします。こんな人たちがこんな認識のままに研修を受けられて、その人たちの席のせいで「今回も席が埋まりました」と研修を受けられなかった結果、年齢の制限が過ぎたりして諦めたりしている人がいるのであれば、それは害でしかない。
こんな事態に早く気付き改善していくべきなのではないかというのが、今の私の課題です。どうにかして変えたい!歯がゆくて仕方ないのです。
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