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11.三峯神社へ①

ある友人宅へ訪れる機会があった。お部屋の中に入ると、バーンと神社の大きなお札が目に飛び込んできた。ローテーブルに丁寧に配置されたお札。友人がとても大切に祈りの場にしていることがすぐにわかった。

中でも、三峯神社のお札が気になり聞いてみると、宿坊に泊まると、朝一番のご祈祷をして頂けるとのこと。

実は、息子が生まれる前からもずっと、三峯神社に行ってみたいと思っていた。ただ、今となっては、幼子を連れて行くとなると、電車とバスを乗り継いて行く長旅は、ちょっとした覚悟が必要。移動距離が長いので行くのは厳しいと思いすっかり忘れていた。

お札を見たことで久しぶりに思い出した。息子はもう7歳。電車好きの息子にとっては、乗ってる時間が長い問題はなんなくクリア。しかも、行ったことのない場所や、乗り物で行くとなると喜んで行き方経路まで調べられるようになっている今、行かない手はない!と、すぐに宿坊に電話すると、部屋の空きがあるとのことですぐに予約した。

息子は自分が行きたい場所しか、何かしらの自分の目的がないと、基本、一緒にお出かけしてくれない。距離が近い遠いも関係ない。家で待ってるからお母さん行ってきてと言われる。そうなると、主人が家にいない時は一人で長い時間の留守番をさせる訳にも行かず、困ることもある。

もちろん、神社も例外ではなく、神社に行きたいのではなく、西武特急ちちぶ号に乗ってお泊りできるというので一緒に行ってくれた。母としては、行ってみたかった神社、息子が神様が視えるとわかった今、三峯神社では、何を感じ、何が視えるのだろうという関心。いざ秩父、三峯神社へ!

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長い移動を終え、バスが三峯神社のバス停へ到着した。バス停から少し階段を上がり、敷地内へ歩き始めるとすぐに、

「お母さん、今、僕の後ろにオオカミがくっついてきてるよ。」

「え?もう?!今、着いたばかりなのに。」三峯神社の狛犬はオオカミで神の使いとして崇められている。息子にはその事は、何も話していなかったのに。やっぱり、わかるんだ。

「オオカミがついているのは、Rだけなの?それとも、みんなに一人一頭ついてきてくれてるの?」

「みんなじゃないよ。でも、ついてる人は他にもいるよ。」

「Rのこと守ってくれてるのかな?」

そんな話をしながら歩いていると、息子も主人もお腹が空いたというので一つ目の鳥居の前のお店でお昼にすることにした。

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美しい山並み、晴れ渡る景色、今日、来れて良かった。この景色をみて心からそう思った。

お店に入りテラスの席に案内される途中、お店のスタッフのおばさまが、突然、息子の手を引いて席とは反対の方へ行った。内心、どうしたんだろう?何も言わずになぜ連れて行ってしまうのだろう?と思った。

息子も何も言わずちょっと困った顔をして手を引かれるがまま。おばさまがひそひそと息子に話しかけている。一体なんなんだろう?と不安げにしていると、戻ってくる息子。

「あそこに鹿の親子がいるんだって。(笑)」

「な~んだ、びっくりしたよ~何かと思っちゃった。Rだけが連れて行かれるから、ちょっと心配しちゃったよ。」野生の鹿の親子がいて、珍しいから子供にみせてあげたい、静かにしないとすぐに居なくなっちゃうからという優しさからの行動だったんだね。そんなちょっとしたハプニングもあったが、ランチをすませ、


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一つ目の大きな鳥居をくぐり、途中、拝殿でのお参りを待つ長い行列を横目に、宿泊先の宿坊まで荷物を置きに行った。

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「お母さん、屋根の上に着物を着た女の人がいるよ。」

「え、そうなの?どんな着物?白い着物で、袖に黄色いお花があって、黄色いお花の下には日本の国旗みたいな赤い○があるよ。下は水色で、帯は緑。」

三峯神社の御祭神は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉册尊(いざなみのみこと)で、日本神話において国生み、神生みの神様とされている。

もしかして、日本の国旗のような赤い○がある着物を着た女性って、伊弉冉尊(いざなみのみこと)が視えたってことかな?そうだとしたら、神様も粋な計らいでわかりやすく教えてくれるな~なんて思った。


その頃、時刻はまだ12時前。今から妙法ケ岳にある奥宮に行っても、所要時間は片道30分程だから、せっかくだからと、息子でも登れるとハイキング気分で行くことにした。

15時までにはゆうゆう降りて来られるよね。宿坊のスタッフの方にも、子供でも簡単に登れるが、途中、危険なところがあるからそこでは気を抜かないように、熊がいるからずっと話ながら登るか、熊除けの鈴を持って行くように。そして、もし雷が鳴ったらすぐに下山するようにと念を押された。何が恐いって、一番は熊ということになり、途中、もし疲れたらきっと話さなくなるだろうと予想し、途中の売店で小さなフクロウの鈴を買ってから、入山した。

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奥宮への入り口からのすぐの景色。山に入った途端、静けさが広がる。ふくろの熊除けの鈴の音だけが鳴り響く。

道中、息子がひそひそと、あそこに一つ目小僧が立ってるという。

「山にも妖怪っているんだね。」

「そうだよ。いるよ。」と、当たり前のように言う息子。

片道30分のハイキングといえ、急な坂道に木の根っこが絡み合い、想像以上に大人にはきつかった。息子は息も切らさず先にすいすい行ってしまう。

最後の奥宮までの数メートルは、鉄の鎖を頼りに捕まり登っていく程の急斜面。無事に奥宮に到着し参拝。狛犬のようにオオカミが鎮座する奥宮。そこからは、白い玉が出ているそう。

その場でゆっくりしたい気持ちを抑え、「息子の早く降りようよ!」で引き返した。

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翌朝、早起きをし、前日行けなった境内をゆっくり散策した。

奥宮をのぞむ奥宮遥拝殿。下界には雲海が広がる景色。

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拝殿に参拝すると、予約していた朝のご祈祷を受けにいった。ご祈祷は基本ご祈祷を受ける人が一人しか、拝殿の中に入ることができないとのことだったが、息子の付き添いとして私も中へ入ることができた。

ご祈祷の始まる合図。太鼓の大きな音で、びっくりし「お母さん、恐いよ~。」と涙目になる息子。

宮司さんの祝詞を唱える声が、急に振り出した雨音と共に鳴り響く。

「お母さん、口から沢山白い玉が出てるよ。」と祝詞を唱える宮司さんの方を見ていう。

「へ~そうなんだね~。」やっぱり、祝詞って言霊パワーが溢れてるんだね。

そして、後々、息子がこの時の事を思い出して言ったこと。宮司さんが祝詞を唱えるのを終え、終わりの合図の太鼓が鳴り止むと、ご祈祷を受けに拝殿に来ていた方々のところまで、1頭ずつオオカミが現れたとのこと。

「お母さん、神社についてからすぐに僕の後に着いてきたオオカミね。実は、宿坊に行ったら居なくなったんだよ。でもね、ご祈祷が終わったらまた戻ってきてくれたんだよ。」

「え~!そうだったの?!知らなかったよ~。」

三峯神社②へ続く

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