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地方在住のITエンジニアと協調の可能性

お陰様で様々な会社さんより採用・定着・評価・育成などの観点でお声がけ頂くようになりました。そんな中、採用やマネージメントの観点で出てくるのが「地方に住むITエンジニア」はどうなのかということです。

地方採用はここ2年ほど手掛けていますが、課題や注意点なども多くあります。また、懇意にしている会社さんで2社ほどニアショアの会社さんがあり、お仕事も一緒にしているために色々とお聞きしています。先日、サロンでも下記のようなテーマでお話させていただきました。今回はITエンジニアと地方のお話です。まだまだ解像度が荒いこともあり、後半にはお願いもあります。

第八回 【裏】IT百物語テーマ

フルリモートワークの拡がりと、マネージメント層

地方ITエンジニアとの協調が、ある意味なし崩し的に進んだのはリモートワークの拡がりでしょう。

フルリモートワークの宣言とオフィス契約

コロナ禍が3年目になり、定期借家契約が一般的な大手ビルに入居している企業の中ではリモートワークの有無に限らず方針転換をするケースが出てきています。解約してスモールオフィスに振り切る企業もあります。2021年10月の報道ステーションで取り上げられたoverflowの事例では、沖縄に移住した正社員の話が出ていました。

フルリモートで行く!という決意をプレスリリースしたトレタの事例もあります。宣言までするというのはなかなか思い切った事例です。

一方、企業側から見てより良い条件で契約できる環境になっていることから、逆にコストを下げてより大きなオフィスを借りたりして将来的な出社に備える企業もあります。移転後も再びオシャレなオフィスにするのかどうか興味深く見ています。

業務委託はフルリモートワークの流れ

ウィズコロナになり正社員がオフラインに戻る企業もありますが、そうした会社でも「業務委託はリモートワーク可」のような形になっているケースは有りまず。業務委託で良いITエンジニアを見つけるのも難しくなっているため、出社を求めていると新規契約が厳しい状態です。フリーランス紹介事業などに問い合わせるとここ1-2年は下記のような比率で紹介を頂きます。

週5日出社可人材 < 週5日リモートワーク人材 < 週4日リモートワーク人材 < 週2-3日リモートワーク人材 < タイムゾーンが違う海外在住人材

正社員の海外移住については非常に難しく、管轄する法律が変わるため情報セキュリティや労務管理で避ける判断をする企業は少なくありません。業務委託であれば覚書締結でよしとする企業も多いため、正社員だと海外では働けないが、業務委託だと良いということに不満を抱く正社員の話もあり、今後の動向を注視しています。

マネージャーとリモートワーク

よくある企業の意思決定の一つとして「リモートワークでも良いがマネージャー以上になると出社を求めるケースもある」という折衷案もあります。経営層が一同に介してディスカッションをするというのはオフラインの方が良いと判断するケースです。

また、チームや部署のマネージメントの問題もあります。私もリモートワークで中間管理職をしていますが、やはり直接コミュニケーションをした方がピープルマネージメントはしやすいため、「できればオフラインに集まりたい」という中間管理職は少なくはありません。また、ジュニア層についてはオフラインで育成した方が効率が良い他、国を問わずジュニア層本人たちが集まりたがる傾向も有り、採用した社員のレベル感や層、志向性によっても判断が変わってくるポイントでしょう。

地方企業買収の動き

都内企業間での買収も増えていますが、地方での売買も増えています。M&Aの目的がどこにあるのかはいずれも明言はされていませんが、参考までに一例をピックアップします。

いわゆるM&Aですが、売り手のサービスやコアコンピタンスを吸収するという意味合いの他に、正社員ITエンジニア確保の文脈で行われるケースがあります。M&A事業責任者と話をした際にも後者の需要が増えつつあるとのことです。特に大阪は商流が深いSIerが多く、年収相場も妙に低い(都内より200万円程度低い)という傾向にあり、フルリモートワークでの正社員採用の観点からも注視しているエリアです。

地方在住ITエンジニアの実情を巡り、我々探検隊は(以下略

地方在住ITエンジニアの採用は経営判断として認可しやすくなっています。しかし実際に地方採用をしていると内定承諾の段階で「知らない都内の企業」v.s.「当該地域の有力企業」の構図で引き合い合戦になります。選考ステップを踏んだ候補者本人はあまり問題にならないのですが、親や家族が壁となるケースが多々あります。

この際、前者に該当する企業の有効な切り札としては「支店を構え、当該地域の主要駅の駅前のフラッグシップのビルに入る」というものがあるとのことです。地方自治体からしてみても、支店を構えて貰うと同時に周辺地域からも若い人を雇用してもらった方が税制的な観点からも歓迎されます。

先日お会いした方は現在お住まいになっている地域をもり立てたいが、どのような形でキャリアと地域創生の折り合いを立てるべきかというお話がありました。また、別の方は地方のDXにリモートにて参画をされています。こうしたITエンジニアができる地域貢献というのも興味深いテーマです。ITエンジニアではありませんが、この「熱海の奇跡」は非常に熱い本です。2000年頃の廃墟ホテル街と、現在の(特にコロナ禍前の)賑わいを比較するとその裏での人々の活動には目を瞠るものがあります。

支店を構えるとなると問題になるのが「当該地域にどれだけのITエンジニアが居るのか」「都会から当該地域に移住しているITエンジニアがどれだけ居るのか」という問題です。このあたりのエビデンスは存在しておらず、統計としても精々が転職エージェント・フリーランスエージェントが自社サービス内でアンケートを採るくらいしか出しようがないのではないかと考えています。母集団の偏りの観点から公平なエビデンスについて期待は難しいと考えています。

私自身、もっと解像度を高めたい領域ですし、地方ITエンジニアのタイアップの可能性を深掘りしたいと考えています。そこでぜひ、地方で活動するITエンジニアの皆さんにお話をお伺いしたいと思い、Meetyを専用に設けました。ITエンジニア、デザイナー、マーケター、起業家、地域創生に興味がある方など幅広く募集しております。エリアも東京・神奈川・埼玉・千葉以外であればどこでも構いません。海外でも構いません。継続的に観察したいため、期限も設けません。既に数名の方にはお声がけいただいておりますが、是非よろしくお願いいたします!

将来的にこうした繋がりを通して地方ビジネスに繋げられれば、実地調査とそのレポートを兼ねてオフラインでご挨拶をして回っても良いかなと思っています。

特に話が集められていない空白のエリアがあります。ぜひお願いします。

  • 札幌を除く北海道

  • 仙台を除く東北

  • 宇都宮を除く北関東

  • 三重県

  • 神山町以外の四国

非常に残念なことに四国香川出身なのに四国の話がほぼ集まりません。同級生にも在郷ITエンジニアに心当たりがありません。紹介会社もニアショアも四国は避けています。新卒採用イベントに四国の大学生は居るので卵は居るのですがそうしたところで会う学生は漏れなく都内に出てきています。待遇が低い、転職の習慣がないなどの仮説はあるものの、より解像度を高めたいエリアの一つです。

経験者向けMeetyも開設しております。キャリア相談、組織づくり相談、転職予定企業の風評相談などお気軽にどうぞ。

noteやTwitterには書けないことや個別相談、質問回答などを週一のウェビナーとテキストで展開しています。経験者エンジニア、人材紹介、人事の方などにご参加いただいています。参加者の属性としてはかなり珍しいコミュニティだと思っています。ウェビナーアーカイブの期間限定公開なども試行中です。

学生さん向けキャリア相談Meetyを作成しました。多数の学生さんにご応募頂いております。

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久松剛/IT百物語の蒐集家
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