ITエンジニアフリーランスから社員へ戻る人達が見られる
経験者エンジニア採用が非常に難しい今日このごろです。特にフリーランスのムーブメントは大きく、猫も杓子もフリーランスになるのではないかという勢いです。
その一方でフリーランスから戻ってくる人も少なからず居るようです。大手人材派遣企業の方と話していても
・派遣→フリーランス→派遣
・SES→フリーランス→SES
というのが増えつつあるようです。
実際に私の周囲でもフリーランスからの正社員入社や選考が続いており、採用母集団としては期待できるように思えます。今回はフリーランスから戻る人達の動機について整理していきます。
【背景】営業コストの高さ
長期の顧客を掴まない限り、多くの現場が1-3ヶ月からなので頻繁に営業活動をする必要があります。来月の実入りがあるかどうかの世界が連続することで辟易として戻るケースはあるようです。
また、長期の顧客を掴んでいた場合であっても、当該顧客が飲食や観光業が主力だったりするとコロナ禍の影響を受けて案件縮小、解除の流れがあります。再度太客を掴むのも大変です。
以前も書きましたが、壮年期を過ぎてフラれるのはかなりメンタルに来ます。
【背景】健康
病気をきっかけにキャリアを見返す方は少なからず居られます。事故などもありますが、痛風とかも複数件聞きます。今後予想されるのはワクチンの副反応でしょう。特に後ろ盾がないフリーランスでは、業務を休むとダイレクトに収入に関わるのでキャリアを見直すきっかけになりやすいようです。
下記の本ではやたらとマインドフルネスについて取り上げられていたというのが読後感想だったのですが、心身ともに健康である必要があります。
個人的には博士課程を拗らせていたこともあり業務委託契約で大学研究員をやっていましたが、社会人になって一番驚いたのは関東IT健保のフィオーレ検診クリニックでした。最後に行ってから数年が経ったので事情は変わっているかも知れませんが、男女完全別フロア、綺麗な設備、そして1Fで受診後の人だけが入れる休憩スペースでのアンパン、アイス最中食べ放題には感動しました。それまで採血もない体育館での検診で20代を終えましたからね。
【背景】バックオフィス業務の煩雑さ
法務、財務経理、営業事務あたりの処理コストあたりも理由になりやすいようです。こういう話をしているとフリーランス歴の長い方から「良い税理士と契約するのは必須」とコメントを頂いたのでそういうものなのでしょう。
【背景】案件サイズ
個人で動く以上、うまく立ち回らない限りは小規模な案件に終始してしまいやすい傾向があります。そのため「大きな仕事がしたい」という気持ちになられる方はよく居られます。予算が大きな案件とか、海外との連携とかはなかなか個人ではリーチしにくいものです。
元は開発案件だったけれども、顧客の話を次々と引き受けていたら情シスの色合いが強くなり、ヘルプデスクみたいになってきてつまらないという話も耳にします。
【背景】思ったより上がらない収入(公開後追記)
Twitterでご指摘頂きました。
特にスキルがまだ未熟だったり、未経験フリーランスと呼ばれるようなレベル感であれば実際の収入や納税を経て「(購入した情報商材から)聞いていたことと違う」と思うことは多いです。
月商を月収だと嘯いて「フリーランスになれば年収イッセンマン」と叫ぶ世界を信じてしまうと厳しいものがありますが、一度信仰してしまうと自主的に棄教するのは困難です。
旅するキャリア
キャリアが流動的となりキャリアチェンジやジョブ・クラフティングも随分とやりやすくなりました。観察範囲では「どうやら人生においてゴールや理想形などは存在せず、納得ずくのキャリアであってもそのうち不満が出て次の場所に行くものらしい」ということです。
これまで耳にしてきた転職理由や退職理由を整理し、抽象化したものが下記の図になります。労働年齢も長くなっていることですし、各ライフステージごとに転身しながらその時々で納得の行く生き方をするものなのではないでしょうか。「これからは◯◯だ」「◯◯の働き方しか勝たん」という断定的な論調は一時的な扇情をするだけの存在だと考えています。
正社員になりたいフリーランスの方々への注意点
フリーランスから正社員になって頂くのは全くもって問題ありませんし、歓迎です。
ただ昔からフリーランスをされている方が面接に来られた際に見られる傾向なのですが「質問が終始お金のことだけ」という方が少なくなく、とても気になります。サービスについての質問や、業務内容の質問とか一切なかったりします。
もちろんお金は大切です。福利厚生やら保険やら正社員は充実している分、提示金額が下がるケースは多いですし、フリーランスで通用した節税対策も通用しないのも理解できるのですが、質問が「お金だけ」というのは辛いものがあります。お金だけを理由に動く方は、お金で他社に移りますしね。もっと他にも興味を持って頂いたほうが面接官の心象は良いですよ。
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