
独立する時に意識したい、4つの資本。
サラリーマンからの独立は「自分の道を自分で決める」という楽しさや喜びと同時に、強固な労働法や組織から得ていた恩恵を手放すというステップでもあります。
そういうとハードルが高いようにも聞こえますが、実際には様々な方法で不用な苦痛やリスクを減らすこと可能です。
今回は4つの資本という観点から、そのあたりのことを書いてみます。独立を意識し始めたときには、このあたりのことをチェックしてみるといいのではないかと思います!
経済的資本〜最低限の健全さにお金は欠かせない〜
ごくごく当たり前のことを書きますが、お金はやっぱり大事なのです。なぜ大事かというと、お金がないと凄まじいストレスがかかり、思考が鈍ってしまうことが恐ろしいんですね。
究極的には、私たちはお金がなくても生存すること自体は割と可能です。しかし難しいのは、「お金がなくても大丈夫だ!」と心の底から腑に落ちることです。それができればお金がなくてもストレスを感じず思考も鈍らないでしょうが、そんな達人の域には容易には達せられないのです。
なので、まずは経済的資本、要はお金のセーフティネットを準備することが非常に重要になります。特に独立初期は後述の3つの資本も少ない状態になりやすいので、殊更なるべくお金に起因するストレスの影響を受けにくい状態にしたいところですね。
具体的には、「最低約半年は収入がなくても生活できるぞ」という生活防衛資金は貯蓄しておきたいところです。例えば月の生活費が30万円なら、30万×6月分=180万円の貯蓄は最低限しておきたいということですね。(これは独立云々に関係なくですが。)
とはいえ、貯金があっても残高が減っていくのはリアルに心が削られていきます。なので支出はとにかく抑える。例えばサブスクは本当に必要な最低限をのぞいて、片っ端から解約したいですね。蛇口をギリギリまで絞って余計なお金が出て行かないようにもします。
ただし、後述の他の資本を獲得するためには投資を惜しまないリスクテイクも重要になってきます。経済的資本、お金はこれを元手に別の資本に変換していくことも大切です。
人的資本〜知識やスキルを磨きましょう〜
人的資本は「自分の持つ能力」についての資本ですね。当たり前ですがもしコーチングで独立するなら、コーチングの知識やスキルも当然ながら重要です。
要は市場で差別化しちゃんとした値段をつけて売るするための強みはなんですか?という話です。知識やスキルがさえあれば売れるというわけではありませんが、ここが抑えられているのは最低限です。そう、最低限です。守破離の守です。
そういうのは働きながら獲得していく部分もあるので「完璧」にしてからスタートする必要はありませんが、自身に教育投資をしながら技術を向上させつつ走っていくことが望ましいです。
経済活動を通じた経験の獲得と教育投資を行き来することで、筋のいい人的資本の強化ポイントを発見しつつ、体系的な知識を学び「守破離の守」まで効率的にたどり着けらるようになります。
自分の経験だけだと独りよがりになりやすく、一方で学ぶだけだと経済的資本に返ってこない(売れない)投資になりやすく、どちらも行き詰まりやすくなってしまいます。
また独立するなら様々な知識やスキルも求められていきます。会計や税務も確実に立ちはだかりますね。お金を出せば税理士さんに丸投げもできますが、本当に最低限は自分である程度は扱えるようになっておきたいところです。
そして大事なのは営業。これは独立前に経験があるか否かでだいぶ独立の難易度は変わります。が、私も未経験でしたがなんとかなっています。腹をくくってやりながら学ぶのが大事ですね!
社会関係資本〜当たり前だけど人とのネットワークは大事です〜
社会関係資本は人との関係性やネットワーク、要するに人脈みたいなものですが、やはりこれもまた大事です。
良いか悪いかはさておきですが、世の中、前述の人的資本よりも社会関係資本が大事というコミュニティは多々あります。要は実力云々よりも、「知っている人か否か」で仕事を出すかどうかを決定する局面も意外と多いということです。
実際的には実力と関係性のハイブリッドで仕事は流れているわけですが、なんにせよ自分のネットワークを強化していくことがとても重要です。まぁ、知らない人に仕事は出せないですからね。
ここでポイントなのは、初対面でいきなりガツガツ営業活動をしないことです。それをやってると「お互い自分の売りたい商品のアピールをし続けるだけ」の関係になってしまいます。ちょっとしんどいし、結果として仕事に結びつくイメージがあんまりないですよね。
普通に友人を増やしていく感覚が大事ではないかと思います。他者に好奇心と誠意を持って接する。そしていつの日かもし必要とすることがあれば、お互いに仕事を頼んでいく。
先輩経営者の方々を見ていると、このくらいの肩に力の入らないスタンスの方がとても多いです。なのでとてもオープンなコミュニケーションを取る方をよくお見かけします。
そんなわけで、フットワーク軽く色々な場所に顔を出してコミュニケーションを取っていきたいですね。これも経済的資本、つまりお金を旅費、交際費、会費などとして使って獲得していくものです。
また、社会関係資本はビジネスのためだけに重要というわけではありません。個人的な苦しい逆境を乗り越えるには共感してくれる友人の力も重要ですし、人とのつながりは人生の幸福感にも影響します。
むしろビジネスで丁寧に大切な関係性を広げながら、人生全体を豊かにしていきましょう!
心理的資本〜自分の心を整えポジティブな行動エネルギーを獲得しよう〜
心理的資本とは、自己効力感・希望・楽観性・レジリエンスの4つから構成される、前向きな行動を引き起こす心のエネルギーのことです。
アカデミックな研究も進んでおり、SNSの「ポジティブ教」的な自己啓発とは異なるので注意が必要です。
さて独立直後は基本的には心理的資本は低下した状態でスタートすることになろうかと思います。
例えば自己効力感は「特定の領域におけるやればできるという自信」ですが、独立するということは良くも悪くもサラリーマン時代と比べて必要な能力の領域が変わっているので、自己効力感もかなりリセットされてしまいます。
なので意識的に心理的資本を再構築していくことが大事です。
具体的には、コーチやメンターからのサポートを得ること。クライアントからフィードバックをもらうこと。過去の体験を振り返り改めて自分の強みを確認すること。シンプルに友人に励ましてもらうこと。近しい境遇で成功している仲間をロールモデルにすること。自己効力感に関してはこういった打ち手があります。
また、自分が心から達成したい目標を見つけ(これが言葉にできなければコーチのサポートを得る)、そこに到達する具体的手段を複数プランニングしていきます。「もしプランAがダメだったときのプランB」を用意しておくことも希望を高めるために重要です。
どうしてもストレスが強く心が乱れるときは、コーチやメンターだけでなくセラピーのアプローチも使います。それによって自らの過去に寛大になり、今ここにあるものに感謝することは、楽観性を高めて行動に伴う不安や恐怖といった苦痛を減らす効果があります。結果、行動量が増えて打席に多く立てるようになり、成果に結びつきやすくなります。
ちなみに前述の社会関係資本を獲得することは、レジリエンスを高めていくことにも繋がります。例えば同業のコミュニティで信頼関係を相互に持っていれば、仕事上の悩みも1人で抱え込まずに相談できますよね。レジリエンスは実際に起きてしまった逆境を克服するためのみならず、将来の逆境を招きかねないリスクを取って前に進むための支えにもなります。
***
独立は我が道を行く孤独さもある一方で、これら4つの資本を意識して育んでいくことにより、自分を孤立させずに歩める道でもあります。
バランスよくそれぞれの資本を育みながら、楽しい独立ライフを送ってくださいね!