天気の子感想文
朝からこの話題でテレビももちきりだった。予告CMはここ最近何度も見て来たし、内容よりもまずRADの曲が優しげでいいなあと思っていたしつい口ずさんでしまう曲は素晴らしい。というわけで映画公開初日から人混みの中を見て来た。ガンガンネタバレするので覚悟してノックを受けて欲しい。
公開初日の状況
本日の昼に職場で天気の子の座席予約をしたのだが、その時点でレイトショーの座席の真ん中の席はほぼ埋まっていた。確かに金曜日だし、休みの前の日とあって映画館が人が多いのはわかるがこれは異常だ。世界の期待する新海誠の偉大さを痛感した時だ。
夜、満を持して出陣するも予約した座席券の券売機の前に行列ができている。上映の30分前に到着したのだが発券するまでに15分は要した、まじかよ。それから映画のパンフレットを購入するためグッズ売り場に並ぶも一向に進まない。皆が異様にグッズを注文しているし、入場客が途切れないためにスタッフが4人フル稼働しても全然マンパワーが足りていなかった。
そもそもレジに到着した時点でグッズは20種類以上あるのだが既にいくつか売り切れていた。地方の一映画館でこれだと都市部は更にすごいことになっているだろう。グッズを買って入場したときには既に上映時間を過ぎていた。グッズが欲しい人は有給をとって朝買いに行くべきだろう。
雨の描写がものすごく綺麗
映画の内容に入ろう。新海作品の真骨頂である作画の綺麗さ、芸術性は遺憾なく発揮されていた、ビューティフル!特に天気がテーマであり雨の描写がとても多いが様々な種類の雨、強弱、角度など細部まで強いこだわりを感じた。
カメラワークも素晴らしく、君の名はと同じく東京の背景も合わさって幻想的だ。陽菜が晴れにするシーンで夕日がとてもきれいだったので雨のシーンにとどまらず全体的に素晴らしい風景作画になっている。アニメーションは芸術だと改めて思ったので是非楽しんで頂きたい。
話は「君の名は」よりはわかりやすい
今回は前作よりも話自体はすっきりしてわかりやすい印象だ。若年層向けに作っているのかもしれない。「君の名は」は1回観ただけでは話がよくわからなかったので3回は見に行ったが、今回はストーリーの把握で何度も観る必要はなさそうだ。正しい選択ではないかもしれないが東京の街と引き替えにヒロインは救ったしそういう意味では「君の名は」とは対照的だ。
「君の名は」では隕石が町を滅ぼしてヒロインが死んだ後に主人公がそれを救ったが、今作ではまず東京の異常気象をヒロインが人柱で正常に戻した後で主人公がヒロインを救い、代償として東京の街は水没した。滅び→救いと救い→滅びという対立である。
東京の街は怖い
「君の名は」では東京に憧れる三葉のキラキラしたイメージ、晴れた良いイメージの東京が多かったが、今作は対照的に雨の日で暗くて怖い東京という街のイメージが強かった。家出少年の16歳の帆高からすれば東京という街の大人は怖い人ばかりだ。実際銃を拾ったり、水商売のスカウトにぶん殴られたりと荒っぽい描写が多かった。
あとは街が現代なのに対し若いリーゼント刑事がでてきたりと所々でツッコミ要素が多い。陽菜の弟は小学生なのだが女の子にモテモテで帆高は最後まで先輩と呼んでいたのが面白かった。
個人的に気になるキャラクター
今作は夏美という女子大生がいいなあと思った。最初はただのお色気担当だと思っていたが(そこもいいんだけど)、各キャラクターとの距離感が上手いキャラで大人の圭介や子供の帆高のどちらの話もわかってきいてくれる感じがとても良い。あーいう大人にも子供にもなれるキャラって良いよね、憧れる。就活は是非頑張ってくれ。
また本田翼が声優ということでかなり心配されていたが無難にこなしているし、特に問題はないと思う。
後は前作のキャラである瀧と三葉が現れるシーンはやはりファンとして嬉しいものがある。そうか東京だからお前らいるんだよな!ちゃんと元気でやってるか?という田舎のかーちゃんみたいな気分にさせてくれるのだ。時系列的には2人はまだ出会ってないのかどうなのかはよくわからない。
他にもクレジットで四葉などの名前もあったのでどこかで出ているはずなのだがマジでどこかわからなかったので知っている人は教えて欲しい。それかもう一回見に行こうかなあ。
音楽はやはりRADが素晴らしい
今更語るべくもないが私は通常のRADより新海誠と仕事している方のRADが大好きだ。なんというか優しい歌声で青春を歌っている爽やかさが素晴らしい。彼らの曲なくしてこの映画はできないし、数多くの作曲だけでなく映画の制作にも深く関わっているらしい。
愛にできることも勿論良い曲なのだがその他の挿入歌もナイスなので是非聞いて欲しい(歌っているのはRADではない曲もある)。
おわり
最後に主人公の選択は間違っているかもしれないが、一人の少女を救った事実は消えないしそれでいいのではないかと思う。「君の名は」ではSF的な夢の中の出来事として徐々に薄れていったが、今作は夢のような出来事ではあったが確かに二人とその周りの人間に残ったお話として終わっているのがとてもよかった。
最近の新海作品の変電所爆破したり、銃ぶっ放したりする結構ワイルドな所嫌いじゃないし、少年少女の出会いに事件はつきものなのである。
「君の名は」が入れ替わりという非日常で衝撃を伝えてくる作品だとしたら「天気の子」は日常のわくわく感を感じさせてくれる作品だった。天気という日常的な要素と晴れ女の人柱というSF要素をミックスし、子供だけで一緒に逃げていくシーンも結局失敗してしまうがとても楽しかった。
煌びやかな宝石でぶん殴ってくる作品と日常的でありふれたものからとんでもない威力を繰り出してくる作品みたいな。自分でもよくわからん。
私自身16、7の頃高校を辞めて東京に一週間ほど滞在したことがある。その時に感じた東京の街や人の怖さや暗さは今でも忘れないし、「東京って怖え」という帆高のしみじみとした台詞はとても共感できた。
私は地元が大嫌いだったが帆高のように帰りたくはないと東京に家出する度胸もなかったし、単純に帆高すげえなと思った。一度東京を体感するとここよりマシだなと思えたのであれは意味のある旅だったなあと今になって思う。息苦しさを克服した帆高はきっと少年から素敵な大人になるのだろう。
「君の名は」に匹敵するかどうかはわからないが十分楽しめる作品なので私の中では今年一番のおすすめ映画だ。現実も雨ばかりなので狙ったかのような内容ですごい。
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