課題
1.はじめに
今季のブラヒム・ディアスのプレーを観て失望したミラニスタの方々は多いと思う。なにせよ現状ドライローンでの加入であるのに、即戦力とは言い難いプレーを我々に披露しているからだ。逆にブラヒムを18/19から観てきた私からすれば、今季の彼は課題点が多く残るとはいえマドリーに在籍していた頃よりかなり成長していると思う。だが、白いカミセタを着てプレーできる実力はまだあるとは言えない。ここでは、ブラヒム・ディアスについて掘り下げたいと思う。
2.課題点及び彼に求められること
全ての選手には必ず欠点を抱えていると思う。特に若手は沢山の欠点を持っている。言い換えればそれだけ伸び代があるということだ。ブラヒムの主な課題点は以下の通りである。
①守備の強度
②エゴが強い傾向にある
③ゴール前においての精度
特に②については彼の最大の課題点である。ただエゴが強いのは技術的な問題というよりはむしろ精神的な問題と言えるかもしれない。なぜなら、一部の顕著な例外はあるが、一般的に多くの若手はトップチームでの地位を確立するために数字を残したいと思うからである。それ故に出場時間が少なければ少ないほどプレーに焦りが見えてしまう。ここではブラヒムと彼の同世代の選手の出場時間のデータを挙げていきたいと思う。
Whoscored.comより
※1 19/20シーズンのコパの出場時間は記載なし。
※2コパの出場時間はおよそ120分/1G(公式アプリより計算)
↑バルベルデ
↑久保建英
↑ヴィニシウス
やはり同世代のプレイヤーと比べて出場時間が足りていないとわかるだろう。ブラヒムには元々エゴが強い部分があったといえ、出場時間が短い故に結果を残す為にエゴがより強くなるのは必然だと思うが、これらの課題点を改善していかなければマドリーでは活躍できない事は当然である。ビジャレアルで厳しい時間を過ごす久保建英にも同じことが言える。ビッグクラブに所属する若手選手に求められていることは、結果を出すことは勿論のこと、それ以上に自身のプレーに焦りを持ち込まないことだと私は考える。
3.ミランでの現状
ここ数試合の彼のパフォーマンスは”特に”不調であると感じる。そもそもイタリアで本調子の彼を観たことがない。ピオーリは中央で10番の役割を担っていたチャルハノールを左に配置し、ブラヒムを中央に据える起用をした。彼のトップ下起用はマドリーで観たことがなく、私にとっては新鮮味を感じるものだったが、攻撃面ではチャルハノールとのプレー範囲が重なり守備面でもミラニスタからも不評だった。ただピオーリにはこのままブラヒムを起用し続けて欲しいと思う。プレースタイルを考慮すると二人のプレーエリアが重なるのは自明だが、ここにはピオーリからブラヒムに与えられた使命があると私は考える。その使命とはあらゆる戦術に対応できるモドリッチのような柔軟力を身につけることである。また、この二人の同時起用は彼にとって最大のチャンスだと思いたい。彼がチャルハノールと被らないようにプレーをする努力をすることでチームのバランスが取れることに加えて、彼の戦術理解にも繋がり、彼にとってはメリットしかない。
ただジョーカーとして起用し続けるのは怪我人のいない完全体としてのミランには良いオプションだと思うが、スタメンで出続けることでしか得ることのできない経験というものが必ずあるはずだ。理想を言えば本職の右サイドでプレーさせたいし、ハウゲとの連携にも可能性を感じている。だが監督の意向に沿うような選手にならなければならない。今後のピオーリの指導にも期待したい。
4.まとめ
マドリーでは少ない時間で結果を残すも度重なる怪我に見舞われ、堅い序列を崩すことができなった。ミランでは当初懸念されていた守備意識のなさは二ヶ月で改善されるもゴール前でのプレー精度にかけるプレーが度々目に付く。彼には焦ることなく自分らしさをプレーに出して欲しい一方で、改善すべき問題点は周りのベテランに学び、同じ若手組と切磋琢磨して数年後にNewベルナベウで活躍していることを期待したい。
*ここ最近のパフォーマンスは良くないと思います。加えてミラニスタの皆さんからの評価もガタ落ちの状況でブラヒムニスタの私としてはまた厳しい時期に突入しました。しかし彼の初ゴールを見てしまった私はどうしても彼を諦め切れません。今後も彼の成長を見守っていきたいと思います。2021年もよろしくお願いします。よいお年を。