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変わらない存在を見続けること-『【WWE】中邑真輔が3度目のUS王座奪取』の感想

私は、プロレスラーの中邑真輔を見続けている。
2024年12月 中邑真輔がWWEのUS王座を戴冠した。
11月に半年以上ぶりにスマックダウンに復帰し、今回、5年ぶりのUS王座を戴冠した。
WWE戦線の流れは、毎週ものすごい速さで進み、目まぐるしく変化し、観客を飽きさせないパフォーマンスを続けている。
その大きな渦の中で中邑真輔も様々に変化をしながら戦っていた。
その一方で、中邑真輔は変わらないものを見せてくれている。

中邑 真輔(なかむら しんすけ、1980年2月24日 - )は、日本男性プロレスラー京都府峰山町(現:京丹後市)出身。京都府立峰山高等学校青山学院大学経営学部卒業[1][2]WWE所属。血液型A型。アメリカ合衆国フロリダ州オーランド在住。

Wikipediaから引用

2015年から好きになった『プロレス』

私がプロレスを好きになり見始めたのは、大学生の時だ。
2015年頃からだ。
部活の先輩の影響から、新日本プロレスに興味を持ち、なんとなく試合や動画を見ているうちにどんどんハマっていった。
田舎の大学だったため、東京の会場に行くには金銭的に難しく、後楽園ホールの試合や、年数回のビッグマッチに行く余裕はなく、近くの会場に地方巡業で来てくれるのを楽しみに待ち、基本的にはテレビか動画で試合を見るのがほとんどだった。
私の実家のテレビは、CSのテレ朝チャンネル2を見れたので、1.4やG1、その他タイトルが絡むビッグマッチの生中継や、過去の試合の特集番組などを録画しては、何度も繰り返し見ていた。

2015年の新日本プロレスは、内藤哲也によるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンが結成された年であり、1年通じて内藤は大きく変貌し奇怪な言動を続け、最終的に新しいユニットを生み、そこから圧倒的な人気を得ていく過程は、独創的でドラマに満ち、目を奪われるものだった。
その年のG1は、棚橋弘至が優勝し、オカダ・カズチカのIWGPに1.4で挑戦する展開は、まさに当時の新日の絶対的王道であり、プロレス初心者の私には分かりやすくワクワクする流れだったのを覚えている。
その他にも、2014年から新日本プロレスに参戦したAJスタイルズのスピードと躍動感あふれる動きとキレのある技の数々は、圧倒的すぎて、もう誰も勝てないんじゃないかと思うほどだった。

中邑真輔の何が好きなのか

そしてなにより、プロレスを見始めたばかりの私が一番好きだったのが、
中邑真輔だった。
中邑真輔の好きなところは、大きく分けると以下の5つだ。

・独創的で唯一無二の存在
・世界観が強い入場
・説得力のあるフィニッシュ ボマイェ
・レザーな質感のコスチューム
・滾るマイクパフォーマンス

他の選手と比べて、中邑真輔の動きは独特で、体をクネクネさせ、何を表現しているのか分からないが興奮している。
最初見たときは、異質な動きに不自然さを感じていたが、徐々にその動きが癖になりだし、見れば見るほどカッコいい存在になっていった。
なぜカッコいい存在になったのか。それは入場と試合だ。
どんな選手も自分をアピールしながら入場するが、中邑真輔の入場は、他の誰にも当てはまらない世界観を演出していた。
それだけ独特の世界観を出していながら、試合での必殺技「ボマイェ」は、相手の顔面あたりへランニング式の膝蹴りをする技であり、絶対的に説得力のある打撃を繰り出すから、そのギャップにしびれる。
また、気持ちの解放を「イヤオ」という独自の言葉で表現している。
これが固有名詞やどこかで聞いたことのる言葉だと意味を持ってしまうが、「イヤオ」と叫ぶことで、感情の爆発や会場全体が持っているエネルギーそのものを表現するからこそ、イヤオという言葉は素晴らしいし、素晴らしい発明である。

忘れられない 中邑真輔 vs Ajスタイルズ戦

2015年からプロレスのあらゆる試合や情報を摂取し続け、2016年にはじめて1.4東京ドーム興行をテレビで生観戦した。
1.4の試合で、今でもたまに見返すくらい忘れられなかったのが第8試合の 中邑真輔 vs Ajスタイルズ戦。中邑真輔がIWGPインターコンチネンタル王座を賭けて、AJスタイルズと初対決した試合だ。
激しく攻守が入れ替わり、お互いの技と世界観をぶつけ合いながら、最後は中邑がボマイェを炸裂させて勝利した。その日のメインのオカダ棚橋戦も素晴らしかったが、私の中ではこの試合が最高だったし、ベルトをとるとらならないとか関係なく、この2人が戦った時になにが起こるのか、という緊張感と爆発力、試合後の感動は忘れらないものだった。

2016年3月 中邑真輔 新日本 退団

1.4東京ドームが終わり、2016年1月にAJスタイルズと中邑真輔は、新日本プロレスを退団した。
ショックだった。
中邑真輔に関しては、ロスインゴの内藤哲也との試合や、
棚橋中邑の黄金カード、後藤とのライバル対決など見たい試合は山ほどあった。
でも、中邑真輔の新しい輝きを見たいと思う自分もいた。
だが、それがどういう姿になるのか不安な部分もあった。

当時、恐らくwweに行くだろうという噂の中で、もしそれが本当なら、新日本の中邑真輔のままで戦い続けるのは難しいと思っていた。
WWEはテレビ放送を主軸として、試合が組まれるため、試合の内容と同じくらい派手な話術や表情のリアクションが求められる。
言語も違い、新日本の風土とも全く異なる環境において、中邑真輔の世界観がそのまま、その時のWWEやファンに理解され、受け入れられるのだろうかと不安に思った。
もしかしたら、WWE側からの何かしらのキャラ設定や変化を求められるのかもしれないし、だとしたらそれは私が好きな中邑真輔ではなくなるのかもしれない。
不安と期待が入り混じる状態のまま、その時を待ち続けていた。

NXTのデビュー戦

中邑真輔は、4月1日にアメリカ・テキサス州ダラスで開催されたWWE・NXT『テイクオーバー:ダラス』でWWEデビューをはたした。
当日、私はスマホで、公式Twitterなどを見ながら、どんなパフォーマンスになっているのかの情報を待ち続けていた。
そしてデビュー試合の開始時間。公式のTwitterか客席のファンのカメラの映像か、中邑真輔の入場シーンを見た。

真っ暗の中、WWEでの新しい入場曲が流れ始め、スクリーンに映し出される「shinsuke nakamura」という文字。
湧き上がる歓声と「NAKAMURA!」のコール。
そして、shinsuke nakamuraが入場した。

新日本プロレスで見てきた、そのままの中邑真輔の入場だった。
大歓声の中、WWE用に何か変化するわけではなく、これまでずっと見てきた中邑真輔が入場し、たぎっていた。
そして、観客に受け入れられていた。
大学でスマホの画面を見ながら、涙が出ていた。
うれしさと誇らしさと、また中邑真輔が見れるという喜びで涙が出ていた。
 
当時の私はまだ1年ちょっとしかプロレスを見ていないビギナーファンだ。プロレスの歴史も過去の名勝負や名選手のことも知らないことのほうが圧倒的に多い。
もっといえばプロレスとは何かもよく分かっていないし、他人に説明できる自信もない。
だが、そんな自分にも分かる。
遠くアメリカのNXTの会場の熱狂と観客の興奮が、本物だということ。
スマホを握りながら、大好きで変わらない存在がいてくれるありがたさを強く感じた。
その日のデビュー戦は、サミ・ゼインにボマイェ改めキンシャサにより勝利した。

WWEのメイン戦線へ

デビュー後、NXTで様々な名勝負を繰り広げNXT王座を獲得。確実に人気を集め、WWEメインに昇格した。
WWEでもIC王座やUS王座のタイトルを獲得し、メインとして戦っていた。
世界王座への挑戦や、ロイヤルランブルの優勝、ヒールターンなど、、
日本人選手として初めての快挙を成し遂げ、人気を確実にしていった。

だが、2022年の後半頃から徐々にシングルマッチでの負けることが増え、2023年からはテレビ放送の出演も少なくなっていった。
そしてついに2024年4月以降、テレビ出演がなくなり、完全にメインからは離れたのか思えた。
WWEの興行のツアーには出ているが、テレビに出ていないとなると、なかなか今のshinsuke nakamuraを見ることが出来ない。
どういう状態で、何と戦っているのかよく分からない状況が続いていた。

 それから約半年の2024年11月下旬。
突然、shinsukenakamuraはテレビ放送に復活した。
 
入場曲は別バージョンになり、ユニフォームも変わり、スター・ウォーズのシスのような黒いコスチュームになり、顔にはペイントをした姿になっていた。
今までも、コスチュームが変わったり、入場曲がラップ入りのバージョンになるなど、色々と変化を続けていたが、今回のバージョンは今までのものとは違い、キャラクターの変化も大きいものだった。
ヒールではあるが、これまで以上に冷酷な表情と、静かな動きが印象的になっていた。
wweに入って以降、様々に変化し、今やNXTでデビューした頃とは全く様相は違うものになっている。
だが、私が見ているshinsukenakamuraは、やはりいつの日も変わらない存在として映っている。
入場から言動、試合でのパフォーマンス、独特のコスチューム、それら全て、一貫して中邑真輔の世界観と唯一無二の説得力があるからだ。
色々変わったが、でもやっぱり中邑真輔は変わっていない。
変わらない存在として、私には見えている。
だから今もずっと見続けている。
2015年にプロレスを好きになった熱意をそのままに、私は今もこの先もきっと中邑真輔を見続ける。

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