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パンナコッタなんてこった

大学生の時の話。
当時、私はファミレスでアルバイトをしていました。
早朝の6時~9時のシフトで、土日祝は6時~11時まで。
6時~9時の時間帯はホール1人、キッチン1人というメンバー構成でした。

ファミレスって朝でもデザートの注文が可能で、土日祝のシフトの時は時々注文が入ることがありました。
アイスとか、コーヒーゼリーとか。

固定のメニューはもちろんありますが、デザートって季節によって度々変わるんですよね。
キッチンはキッチンでお料理を作る担当の方はいらっしゃるのですが、デザートの場合はホール担当の人が作るという決まりになっていました。

その日、ホールのシフトに入っていた私は、呼び鈴が鳴ったテーブルへ出向き、いつものように電子メニュー表を手に注文を伺いました。
朝食のメニューを注文されるかと思いきや、お客さんが指差したメニューは

”マンゴーとパンナコッタのフルーツデザート”

その瞬間、冷や汗が全身を覆いました。
しかし私はニッコリと笑い、「かしこまりました」と言ってメニューを打ち込み、送信ボタンを押下。

ホールからバックスペースへ戻るや否や、私は猛烈に頭を抱えました。
なぜって、パンナコッタが何なのか分からなかったから。

注文を断るわけにもいきません。作るしかありません。作り方のマニュアルはある。あるけれど、マニュアルには「パンナコッタを回し入れ…」としか書かれていない。そのパンナコッタがどれなのかをまず知りたいんです私は。

どうしたらいいの…!

A.キッチンの人に聞いたらいいじゃない。

そう、分からないなら人に聞けばいいのです。
なのに私にはそれができませんでした。
なぜなら、聞いて、こいつそんなことも知らないの?バカなの?と思われることが怖くて恥ずかしかったからです。

あまり時間を置くと遅いと言われかねない。
私は半分パニックになりながらパントリーを漁り、必死にパンナコッタを探しました。
でも、知らないのに分かるわけがありません。
どうしようもなくなった私は遂に奇行に走りました。

ナタデココを投入

マニュアルのパンナコッタという説明部分をナタデココに置き換えて作り始めました。
味のハーモニーに、奇跡が起こることを願って。

そして出来上がったものをお客様の元へ。
(今考えても、よくそんなことをしたものだと思います)

何食わぬ顔でバックスペースへ戻った私は、心臓をバクバクさせながら事が過ぎるのを待ちました。
すると

ピンポーン

呼び出し音。
嫌な予感しかしない。上部に表示されたテーブル番号を恐る恐る確認すると、デザートを注文されたお客様の番号。

ですよね!!

テーブルまで出向きお話を伺います。

「あの。これ、パンナコッタじゃないですよね?」

分かってました。分かっていましたとも。
でも、ここでも私は堂々とやってしまいます。

「えっ!?あっ、本当ですね!申し訳ございません!直ぐに作り直します!」

今気付いたという反応で何とかその場を切り抜ける。

そそくさとバックスペースへ戻るも、もう2度目は通用しません。
半泣きになった私はここでようやくキッチンの方に助け舟を求めました。

しかしながらキッチンの方もパンナコッタがよく分かっておらず…。
「あ、これじゃないかな」
と見付け出してくれたパックで再挑戦。
出来上がりの見た目も写真と似ている。

再びお客様の元へ。

きっと、この時の私の笑顔は引きつっていたことでしょう。

キッチンの方の助けもあり、ようやく正解のデザートをお出しすることができたようです。
お会計の際、そのお客様からは

「ナタデココ、あれはなかったわ」

とお言葉をいただきました。
本当に申し訳ありませんでした。

そんな私の失敗談。
ここから学んだことは

「分からなかったら人に聞く」ということ。

当たり前のようですが、「バカだと思われる」ことが
怖くて恥ずかしくなってしまう私にとっては、その行動が簡単にはできなかったのです。

今でもブレーキがかかってしまうことがあるのですが、大クレームに繋がり兼ねないので、そこは一回深呼吸をしてから人に聞くようにしています。

大丈夫、大丈夫。
周りはそこまで思っちゃいない。

そう思いながら取り組みましょう。

今日もよくがんばりました。お疲れ様でした💮

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