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和食を美味しくいただくための「おもてなし」
はじめに
日本の「おもてなし」は、料理を通じて特に顕著に表現されます。そのおもてなしの精神は、料理の提供だけでなく、食べ方やマナーにも深く根ざしています。このエッセイでは、焼き魚、煮魚、寿司、そば、すき焼きなど、日本の代表的な料理を楽しむ際の作法と、それに伴う「おもてなし」の心について、四つの章に分けて詳しくご紹介します。それぞれの料理には独自の楽しみ方とマナーがあり、それを知ることで日本文化の深さをさらに理解することができます。
第1章: 焼き魚と煮魚
焼き魚(一尾)
焼き魚をいただく際には、魚の身を少しずつほぐしながら食べることが大切です。特に注意すべき点は、魚をひっくり返さないこと。ひっくり返すことはマナー違反とされ、魚の身を骨に沿って丁寧に取り分けていきます。中骨にレモンを掛けると、下の身が外れやすくなり、さらに食べやすくなります。食べ終わった骨や皮は皿の隅にまとめておきましょう。
煮魚(一匹)
煮魚も同様に、魚をひっくり返さず、骨に沿って食べます。身は煮汁を少しずつ掛けながら食べると風味が増します。煮魚の場合は、食べられる部分を全ていただくことが推奨されます。食べ終わった骨や残骸は皿の隅にまとめておきます。
第2章: 寿司とそば
寿司
寿司は手でも箸でも食べられますが、手で食べる際には合間におしぼりを使うことが重要です。醤油をつけるときはネタの方につけるようにし、シャリ(ご飯)にべったりつけないようにします。また、寿司のカウンター席でゲタ(木製の器)を下におろしたり、ネタが乾くほどおしゃべりに夢中になることは避けましょう。
そば
そばを食べる際には、風味が飛ばないうちにいただくことがポイントです。一口で食べられる分のそばを持ち上げ、つゆは軽くつける程度にします。そば猪口は必ず手で持ち上げて食べ、音を立ててすするのは日本独特の文化です。吸う時に音が出ても構いませんが、そばを口いっぱいに頬張ったり、歯で噛み切ったりすることは避けましょう。
第3章: すき焼きとふぐ料理
すき焼き
すき焼きを楽しむ際には、肉を煮すぎないことが大切です。肉を固くする白滝や春菊は肉の近くに置かず、煮始めたら灰汁をこまめに取り除きます。関東風は割り下を使い、関西風は肉を焼いた後で砂糖等を入れて味付けします。鍋を箸でかき回したり、肉ばかり食べるのはマナー違反です。
ふぐ料理
ふぐを堪能するならコース料理がおすすめです。てっぴ(フグの皮の湯引き)、ふぐから揚げ、てっさ(フグ刺し)、てっちり(フグ鍋)、ふぐ白子、ふぐ雑炊など、多様な料理が楽しめます。ひれ酒も絶品で、香ばしく炙ったフグのひれを熱燗の日本酒に浸していただきます。
第4章: その他の料理
うな重
うな重を食べる際は、お重の左側に手を添えて、右手に箸を持ちます。ご飯とウナギをバランスよく食べることが大切で、お重を持って食べても構いません。山椒を大量に掛けたり、ウナギだけ先に食べたり、蓋を勢いよく開け閉めするのは避けましょう。
土瓶蒸し
土瓶蒸しはお猪口を取り皿として使い、スダチは土瓶ではなくお猪口の方に1~2滴搾ります。汁と具を交互に食べ、いきなり具から食べるのは避けましょう。また、具を土瓶から直接食べたり、蓋を開けたまま食べるのもマナー違反です。
おわりに
日本の「おもてなし」は、料理の作法に現れる心遣いによってさらに際立ちます。各料理には、それぞれ独自の楽しみ方とマナーが存在し、それを理解することで料理をより一層楽しむことができます。このエッセイを通じて、焼き魚、煮魚、寿司、そば、すき焼きなどの代表的な料理の作法を学び、日本の食文化の奥深さに触れていただけたでしょうか。正しい作法と心遣いを持って、これからも日本の美しい食文化を楽しんでいただければ幸いです。