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【第24章 最後の文化祭】                   

🎵パーティーは ガクサイ近い教室を 黒画用紙ではりつめて みんなで騒いだ放課後はランデブー🎵

9月も半ば

僕は、こと勉強に関してはイケイケ状態だった

初めての本格模試で納得の成績

その後も予備校の内部テストで成績上位者に名前が挙がるなど、調子づいていた

もはや、関学までの通学で言うなら、阪急十三駅で神戸線に乗り換えて、今は神崎川駅と園田駅の間くらいまで来ているような錯覚をしていた

9月と言えば、月末に高校生活最後の文化祭がある

部活の現役生は、文化祭で大きなステージがあるので、彼女は今頃、猛練習に励んでいることだろう

僕の方は、クラスの催しが昔遊びの縁日コーナーなので、準備も当日も気楽な文化祭となりそうだ

来月から本格的な模試シーズンを迎えるので、時間を取られないのはありがたい

彼女とは、このところ一緒にリモーネにも行けてないけど、仕方ないな

それよりも、文化祭の翌日の代休の月曜はどうしようか? 

デートに誘おうか?

これまで行事の代休や創立記念日など平日が休みになる時は、ことごとくデートに誘ってきた

さあ、今回の代休はどうしよう?

神戸か?

でも、模試の本格シーズンが目前だし、さすがにこの時期はなあ

神戸と言っても、もう今の気分は阪急神戸線だし、関学生になれたら、神戸がホームみたいになるんだろうしな~

過信状態に陥っていた

代休に彼女を誘うかどうか

とりあえず、今回はやめておこうか

もうなんだか、考えるのもおっくうになってきた

もうちょっと後で考えよう

最終的な結論は先送りにしたまま、ずるずるとなっていた

そうこうするうち、文化祭の数日前

急にぶれ始めた

僕の悪いクセだ

もし、彼女が僕からの誘いがあるかもしれないと思って、文化祭の代休に予定を入れずに待っていたらどうしよう?

思わず、彼女の家に電話をかけた

「文化祭の次の日って、もう予定入れてる?」

「うん、ミノちゃんと映画を観て、修学旅行に要るモノを買いに行くことに…」

ミノちゃんは、同じ部活で彼女とは中・高、ずっと一緒の大親友だ

「あっ、そうなんやぁ💨」

なんだかモヤモヤした

すぐに気持ちを切り替えるつもりで代替え案を伝えた

「そっか、じゃあさ、オレ、高校最後の文化祭やから、ちょっとだけ二人で回らへん?」

「うん、わかった」

これまで僕たちは、校内ではカップルとして公然と立ち振る舞ったことがなかった……

電話の後、さっきの僕のモヤモヤは彼女に悟られていなかったかと心配になった

ところが、逆にそのモヤモヤが荒波のように戻ってきた

僕が早く誘わなかったからか?

彼女は既に前から決めていたのか?

僕よりミノちゃんの方が優先なのか?

修学旅行は来月下旬なのに、もう準備なのか?

たまには、向こうから誘ってくれてもよかったんじゃないのか?

聞き分けのない幼児のように、やっかみ、すねた


そして、文化祭の日がやってきた

彼女が出演する合唱部のステージを鑑賞した後、校舎本館1階の階段下で彼女と待ち合わせをした

彼女がまたしても大人っぼくなっているように見えた

文化祭の終了まであと残りわずか

僕は部活の親友のフジイのクラスの模擬店に予約を入れておいた

模擬店に向かう間、僕と彼女は初めて校内をカップルとして歩いた

「僕たちは付き合っています」と、13か月遅れでの世間の皆さんへのお披露目式だ

海外の映画祭で表彰されるアクターになったつもりで、わざわざ廊下の真ん中を威風堂々と歩いた

周りの生徒たちからの

「へ~、この二人、そうやったんや~?」

という視線と

「ヒュ~ヒュ~🎵」

と茶化すような空気に包まれながら……

模擬店に着くと、フジイが入口で待っていてくれた

彼がこの模擬店の仕切り役をしているようだ

「おっ、待ってたよ~‼️」と歓待してくれた

茶店をあしらった甘味処

小上がりにゴザが敷かれて、低い円卓が置かれている

僕と彼女は寄り添うように並んで座った

一瞬、「めおと」になれたような気分になった

2年生のときに同じクラスだったクラタさんが、あん蜜と紙コップの緑茶を僕たちのもとに運んできてくれた

売り切れないようにと、フジイがキープしてくれていたようだ

クラタさんが「え~っ、りんたろう君の彼女なん?初めまして~。素敵な彼女ね~」と言ってくれた

嬉しかった

部活内では僕と彼女のことは知れ渡っていたが、それ以外の人は今まで知るよしもなかっただろう

僕たちは、今日やっと世間に認知されたと思った

高校最後の文化祭、いい記念になったな

昨日までのモヤモヤは吹っ飛んだ

🎵ふたつめ宿題は 今もわからない それでも人は 充分生きてゆけるけど~🎵

明日の代休には逢えないけど、来年、入試が終わったら、彼女を神戸へ連れていく……

……………to becontinued

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