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【第18章 思い出の高原】
🎵ホイッスルが響くころに まつげをぬらすきみがいた なぜって聞かれても 困るよ 朝日がまぶしかった~🎵
キラキラちゃん❇が差し入れと称して僕にくれたハンドタオル
7月の終わりに、僕が3年生として混声合唱部の合宿の陣中見舞いに行くことを伝えていた
ヨコちゃんもまたメンバーの一員として行くので、キラキラちゃん❇と相談をして、僕にハンドタオルを差し入れることを勧めてくれたようだ
「あの子にちゃんと言っといたからね」
ヨコちゃんが言った
当初、今回の陣中見舞いへの参加は迷っていた
合宿は例年、但馬の高原の常宿「高峰荘」で5日間の日程である
そこへ部活のOBや3年生が陣中見舞いで行くのが慣例だった
今年の3年生も、3日目から1泊で参加する有志が募られた
とは言っても、よほど勉強に余裕があるか、あるいは逆に諦め半分でないと、この時期の参加は厳しい
僕はそのどちらでもない……
2日間勉強できないのは正直、痛い
この夏は不退転の覚悟なのに……
ただ、まさか狙ったかのように僕の日程は空いていた
あれだけ講習を埋めたのに、不思議だ
これは行けということか?
そして何よりも……
合宿で頑張る彼女の姿が見たい
陣中見舞いに参加することを決めた
🎵もうちょっと進もうよ 尾根からずいぶん歩いたね 真昼の月を ライトに 一気に頂上目指そう~🎵
夏休みと共に始まった十三の予備校の夏期講習……
この夏、まずはここから
これを乗り切れば、彼女がいる但馬の高原が待っている
そう想って踏ん張った
🎵仕事中は集中できずに 驚く顔ばかり思った~🎵
僕たち3年生の有志は、大阪駅発の急行但馬号で出発した
一緒に参加するヨコちゃんには、車中でキラキラちゃん❇からもらったハンドタオルを見せて、お礼を言った
最寄りの駅に着くと、そこまでは「高峰荘」のマスターがワゴン車で迎えにきてくれていた
🎵文科系だよね ぼくら へたっても 休んで行こう~🎵
青い空に白い雲
真夏の但馬の高原は、小学生が描く絵日記のような典型的な青空だった
カーブを幾度も過ぎて「高峰荘」に辿り着いた
1年ぶりに戻ってきた思い出の高原
🎵宝物は チキチダ~ン チキチダ~ン 迷ってでも 足で稼ごう~🎵
「高峰荘」では約60人の部員たちが練習に励んでいた
その中にはもちろん彼女も
🎵もったいないって 深呼吸を 何回かして 振り返ったら~🎵
「忙しい中、来てくれてありがとう」
そんな眼差しで、彼女が笑顔をくれた
🎵yes,yes,yes,yes きみが笑った~🎵
思えば、去年のこの「高峰荘」で僕は彼女を意識し始めた
そして、その後の甲子園決勝戦の日から僕の「彼女」になってくれた
迷ったけど……
やっぱり、ここへ来てよかった‼️
心から思った
🎵頑張っちゃってと ぼくが言うと 頑張ったよって きみが返した~🎵
大所帯の合宿
パートに分かれての練習と全体練習
その上、夜間練習まで
パートの異なる僕と彼女との接点はほぼない
宿舎の部屋も階が違う
唯一、至近距離になれる可能性は食事会場だけだ
ただし、座席は毎回クジで決める
それが部員の交流を図るためのお決まりだった
今回、与えられた食事のチャンスはたったの3回
食堂入口で番号クジを引く
せっかくここまで来たんだ‼️
せめてものお願いだ‼️
しかし、その思いも虚しく……
クジは僕たち二人を一度も近付けてくれることはなかった……
あっという間の2日間
彼女とは、大した会話も交わすこともなく、僕には一足先に但馬の高原を去る
上級生としての責務は果たせたものの、彼氏としてはロクな振る舞いもできなかった
だけど、これでいい
十分だと自分に言い聞かせた
そして、この2日間で明らかになったこと……
やっぱり僕は彼女のことが好きだ‼️
さあ、明日から新たな予備校での講習が始まる
見知らぬ受験生たちと共に……
気持ちを切り替えていこう‼️
🎵背筋をぴんと 空に張って 満天の星 手を伸ばした~🎵
難波にあるエー○予備校の夏期講習
2日目に入った
ところが、何でだろう?
いまいち気合いが入らない……
但馬の高原では、周りの眼もあって彼女とほぼ交流できなかったな💧
彼女はあれで平気だったのかな……?
そんなことないよな……?
彼女の方ももっと話がしたかったよな……?
淋しかったよな……?
逢いたいよ……
衝動……
彼女は昨日、合宿から帰ってきていて、今日は部活はオフのはず
家にいるかな?
出かけていないかな?
夏期講習が終わるや否や、予備校のロビーの公衆電話から彼女の家に電話をかけた
彼女が出た……
「今から難波を出たら、3時頃にはそっちの駅まで行けるんだけど、逢える?」
「うん」
快諾してくれた
……………to be continued
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