【第25章 リアルに生きてるか】
🎵逢うたびに どちらかをつらく 傷つける ぜいたくすぎたあの頃~🎵
10月に入った
今月は下旬に彼女の修学旅行がある
行き先は九州の離島らしい
その前に逢っといた方がいいかな
久々のリモーネに誘った
喫茶リモーネ
狭い間口だが、奥へと長く、店内は大型帆船の客室のようなしつらえだ
高校の合格発表の日に、たまたま母と来て以来、僕のお気に入りのお店で、彼女だけでなく、これまで多くの仲間を連れてきた
思えば、僕の人生初の接待用のお店だ
入口の木製の扉を開くと
「カラ~ン コロ~ン🎵」
洋風の鈴が鳴る
ハイジに登場するヤギたちが付けている鈴の音のようだ
僕は、今日はホットコーヒーにする
ミルクを入れず砂糖だけの、彼女の飲み方を初めて真似てみようと思った
彼女は、レモンスカッシュを注文した
僕の「温」に、敢えて抗う「冷」の注文?
いやいや、たまたまだろう
コーヒ一に少量のザラメを入れて、かき混ぜて飲んだ
う~っ、、、にがい💦
僕は、これからの模試のスケジュールや、入試が終わってから彼女を連れて行きたい場所などの話をした
彼女には、もうすぐの修学旅行の話を振ってみた……
が、なぜかあまり多くは語らなかった
高校生活最大のイベントなのに……
どうしたんだろう?
これから高校生活のクライマックスを迎えようとする彼女に対し、僕の視線は、もう年明けの入試と、その先に向いていた
僕にとって残りの高校生活は、もはや最低限のことを淡々とこなすだけになっていた
喫茶店で向き合って話すには、共通のトピックスが乏しくなってきていた
二人の間に吹く微妙な秋の隙間風
まぁ、どんなカップルにもこういうのって、一時は必ず来るんだろう
今日の会話の重たさのせいなのか、苦いコーヒーのせいなのか、後味が悪かった……
次からはコーヒ一には必ずミルクを入れるようにしよう
そして、修学旅行の前日になった……
彼女に一言、声を掛けておいた方がいいな
部活の始まる前に、彼女に声を掛けに行った
「楽しんでおいでね、いい思い出をね」
「うん、ありがとう」
彼女は頷いたが、表情はどこか硬かった
そういう僕も、彼女から見ると表情が硬かったのかもしれない
🎵リアルに生きてるか 誰にも邪魔されず 憎む全てを消せなくて 泣いたりしていないか~🎵
それから6日が過ぎた……
彼女の修学旅行は昨日までだった
今日、火曜は代休で彼女は学校には来ない
修学旅行で当然、彼女は僕にお土産を買ってきてくれているだろう
翌日の水曜……
今日から2年生が登校する
彼女からお土産を渡したいという声が掛かるのを待っていた
お土産は何だろう?
楽しみにしていた
ところが、待てども音沙汰がなかった
ん?なぜ?
そんなことってある?
これまで、節目節目にはお互い誠実に対応し合ってきた
互いを軽んじることなどはなかったと思う
(僕のキラキラちゃん❇にまつわる蛮行を除いては……)
何かで忙しいのかな?
それとも、体調を崩したのかな?
翌日の木曜……
修学旅行から戻ってЗ日目だ
今日は僕は夕方に予備校がある
彼女もそれは知っているはずだ
せめて、お土産を渡しに来るだけでもいいのに。
何でだ?
こっちから、ご用聞きのように「修学旅行、どうでした?」って、行かないといけないのか?
そこまでしないとダメなのか?
何それ??💦
修学旅行から逆算して僕は彼女をリモーネに誘い、出発前日も一声掛けるために足を運んだのに……
もはや、交際というよりも、スジ論のように捉えてしまっていた
先日の文化祭の前と同様に、またモヤモヤした
一時的だけど、僕はあのキラキラちゃん❇に言い寄られたんだよ
来年もし、関学に入れたら、もっと自慢の彼氏になってあげられるんだよ
一旦、高まったプライドが変に邪魔をしていた
だけど、仕方ない
明日の金曜は、僕から声を掛けよう
明日で10月も終わるし、次の日曜には、また模試がある
モヤモヤは早めに解消しておきたい
彼女はしっかり者だけど、意外とまだ幼さも残っているんだな
ここは年上の僕がフォローしておこう
切り替えた
翌日の金曜になった……
彼女の部活終わりに声をかけよう
終了時刻は5時25分
僕は、初めて学校の図書室で自習をして待った
時間になり、部活の部屋から出てくる通路で彼女を待った
さすがにこの季節のこんな時間、こんな場所で人を待っている3年生は僕ぐらいだ💦
情けなくなった💧
部活を終えて、部屋から出てきた彼女に声をかけた
「修学旅行のお土産話、聞かせてよ」
これが当時の僕に言える最大限の謙譲語だった
「はい」
頷いた彼女がいつも一緒に帰るミノちゃんに先に帰ってと伝えに行った
そして、僕たち二人はリモーネへと向かった……
「カラ~ン コロ~ン🎵」
扉を開けて店内に入り、二人席に向かい合って座った……
……………to be continued
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#大江千里さん好きと繋がりたい
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#大江千里ファンでした
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