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【第20章 裸足のマドモアゼル】

🎵たしかめもせずかけた 電話の声に驚いて 君ははじめてぼくと うらはらの別れをした~🎵

その日の夜だったのか、あるいは翌日の夜だったのか……

僕は極悪非道の一方的な通告をするためだけに、キラキラちゃん❇の家に電話をかけた

「こんばんは、松ヶ谷高校のノリカワです。ユキエさん、いらっしゃいますか?」

「あぁ~ノリカワさん、いつもどうも。少々お待ちになってくださいね」

キラキラちゃん❇のお母さんは、相変わらず僕をもてなすように電話口で応対してくれた

あの雰囲気からして、きっとキラキラちゃん❇は、普段からお母さんにも僕のことをいいように話してくれていたのだろう

そこへ、僕は今からとんでもないことを告げることになる

キラキラちゃん❇が電話口に替わって出た……

「あっ、こんばんは。お帰りなさい‼️合宿どうでした?疲れました?」

無邪気なキラキラちゃん❇は、遅ればせながら、僕から合宿の報告と差し入れのお礼があると思ったのだろう

そこへ、まさかの非情通告……

「ごめん、実は言わなあかんことがあって…………」

キラキラちゃん❇にも、真実を全て打ち明けないと、彼女と不公平になる……

「思い計らい」よりも「自分の歪んだ正義感」が優先された

人として大切なものが欠落していた

同じ部活の1学年下に彼女がいるということ……

そして、やっぱり、その彼女が大好きで、別れるつもりはないこと……

一方的に伝えた

そして、それはリアルリな一方通行となった

キラキラちゃん❇は、もう一切言葉を発しなかった

電話の向こうからは何も聞こえない

何かを感じたいが、感じ取れない……

いや、感じるのが怖かっただけか?

何も聞こえない

泣くような気配もない……

怒りに震える気配もない……

一切……

放心状態なのか……

あるいは、受話器を置いたまま立ち去ってしまったのか……

わからない……

そして、最後に僕が……

「ごめんね、ほんま、ごめんね、じゃあ」

と僕が言った途端…… 

ガチャッ・プー・プー・プー……

電話は切れた……

キラキラちゃん❇の方から切った……

キラキラちゃん❇の声を聞いたのは、僕の人生でこの日が最後だった

この後、キラキラちゃん❇の家では、どのような会話があったのだろうか?

いつもどおりに電話を取次いでくれたお母さんは、娘の豹変ぶりを見て、この僕のことを、どう思い、どう呆れ、どう憤ったのだろうか?

後になって振り返ると、良心の呵責に苛まれるが、当時の僕には、そのような想像力も備わっていなかったし、むしろ現実から目を背けていた

🎵男の罪と言わないで 運がありあり見えるから~🎵

これでいいんだ

この方法しかないんだ

これからは、彼女に真摯に向き合っていくしかないんだ

自分に言い聞かせた

とんでもない裏切り行為を犯し

そして、自らその裏切りを暴露し

無神経に彼女を傷つけた……

それと同時に、キラキラちゃん❇のことも傷つけた……

僕が合宿の陣中見舞に行くと聞き、キラキラちゃん❇が、それにふさわしいと考えて贈ってくれたハンドタオルを彼女の待つ合宿に悪びれず持参した

忙しい合間に時間を割く後輩想いの上級生と見せかけて、実は彼女に会いたいがために合宿に行った

まったくおぞましい……

🎵どうせそうなる運命なら その方がましさ~🎵

そうだ、ヨコちゃんにもこのことは報告しておかないと……

夏休み中しばらく顔を合わさないので

ヨコちゃんにも、経緯を伝えた

「そうなん?あの子、むっちゃ、いい子やったのに……もったいないことしたなあ。けど、彼女のこと好きやねんやったら、しゃあないやん。この間の合宿の時も、ずっと彼女のこと考えとったやろ?私、わかってたで」

いつもどおり、さっぱりしたヨコちゃんだった

🎵君が時間の中を 移ろうように遊ぶように ぼくはあれから違う 街のテラスでさまよった~🎵

この夏就航の「りんたろう機1986便」は、彼女とキラキラちゃん❇のダブルエンジンを搭載し、意気揚々と大空へと飛び立った

ところが、機長の驕りと慢心から来る判断ミスにより、まず、飛行中に片翼からキラキラちゃん❇エンジンを切り離すという蛮行に出た

そしてもう一方の翼の彼女エンジンにも大きな損傷を与え、同時に多くの燃料も流出させてしまった

早くも非常事態だ⤵

遠く大海原の向こうにある関学空港までは、まだ何時間、何千キロもフライトは続く……

ひょっとしたら、当機は、無事に大海原を渡ることはできないかもしれないな

離陸直後のあの勢いは、何だったんだろう?

束の間だったな……💧

🎵裸足でかけていった マドモアゼルと呼んでも 春先に見たパレードが 似合い過ぎていた~🎵

それもこれも、自分で捲いた種だ

受け入れるしかないよな

……………to be continued

 

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