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⑥20歳で勘当された話

お金の面で父の事が心配だった。
同時に鬱陶しかった。

仮にこのまま店員とデキ婚とかしちゃったら、好きな人と一緒になれるし、大学も辞めるだろうし父も楽になるんじゃない?なんてありえない想像をした。

夏休み、父の言う通りすぐ実家に帰った。
実家に帰ってから、毎日のように店員からラブコールとラブレターが来る。
実家にいてもつまらなかった。
全然面白くない。
店員に会いたくて、8月中に親に言わず勝手にマンションに戻った。
マンションの鍵を開け、ドアを勢いよく開けたらガードがかかっていてドアが開かなかった。
何事かと思い、父に電話した。
私の不在の間、父の仕事仲間がそのマンションに住んでいたのだ。
女子大生のマンションに知らないおじさんが住んでいた。
父からの連絡を受けそのおじさんは、マンションを出て行ったが不信感しかない。
色々と問題があるじゃないか。
実家に戻るつもりはない。


ここ数日、気に掛かっていた事があった。
夏休みに入って、実家に帰る前日に店員とした。
生理が遅れている。
調べてみると妊娠していた。
ありえない想像が現実になった。
店員は喜んでいた。
私はとうとうここまで来たかと覚悟した。
数日して、実家に帰らない私と話をつけようと父がマンションに来た。
そこで妊娠を知り、父は落ち込んだ。
そして、おろせと言った。
私は断った。
同棲して良いから、まずはおろせと。
店員はおろすことに猛反対している。
このまま突き進むしかないと私は思った。
父は何度か、まだ間に合うから考え直せと言ってきた。
このままだと、逃げ場がなくなるぞ、良いのか?と。
父の言葉は耳に入らなかった。
そのまま突き進んで、大学を辞めて入籍して、私は勘当された。
2度と実家に帰ってくるなと母から手紙が来た。

マンションを出て、店員の実家に転がり込んだ。
私の実家とは違う、マンションよりずっと古く狭い団地だった。
店員は母子家庭だった。
私の育った環境とまるで違った。
そして店員は、お義母さんに声を荒げる事があった。
キマっていない時はだいたいイライラしている。
お義母さんは店員の様子を見て、このまま続けて大丈夫なの?と私に言った。
付き合って3ヶ月で入籍した私は店員について、知らないことの方が多かったとわかった。

毎晩夜になると、店員の実家に父から電話がありお義母さんを責めている事を知った。
お義母さんは毎日胃薬を飲んで、母子家庭で頼りなく申し訳ないと私に謝った。
私もみんなに、ごめんなさいと心で謝った。

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