④自由になって出会ってしまったもの
一人暮らしする部屋を父と探した。
私の住みたい街は却下され、姉が昔大学時代に住んでいた街を指定された。
父が出張の際に泊まれるように、2LDKのファミリー向けマンションを借りた。
父は2ヶ月に1度くらいの頻度で来ていた気がする。
確か、家賃は13万。
それとは別に仕送りが13万と携帯代は別で払ってくれていた。
贅沢過ぎる…
それをなんとも思わずに過ごしていた私は、相当な世間知らずだった。
遠距離していた彼は就職して、同じ街に引っ越して来てくれた。
上京したての私は、この街でその先20年も生活するなんて想像もしていなかった。
大学は楽しかった。
同じような遊び好きな感じの子達と話すようにして、そういう友達を作った。
毎日のように、友達がウチに泊まりに来たり、毎日のように飲みに行って、遊んでばっかりだった。
相変わらずバイト禁止だったけど、充分遊べた。
彼ともよく近所の飲み屋に通った。
そこである人と出会った。
お店に行くといつも私達と会話してくれて、仲良くなった店員。
それもあって私1人でも、その店に遊びに行くようになっていた。
ある時、就職していた彼が職場でケンカをして仕事を辞めてきた。
暫く働いていなかったのか、私がお金を貸しながら2人で出かけたりしていた。
それが嫌でケンカをする事があった。
そのうち、彼が居なくても大学の友達とか例の飲み屋とかで遊ぶのが楽しくて、彼の存在が少し鬱陶しくなっていた。
他が楽しすぎて、5年付き合った彼と別れた。
それから、飲み屋通いが増えて店員の勧めでその店で週2日だけ、勿論親に黙ってバイトするようになった。
そのせいで、店員とぐっと距離が近くなった。
店を閉めると、お酒が入っているのに店員の運転でクラブに遊びに行ったりしていた。
その日も客が早めにはけたので、常連と3人で閉店後の店内で喋っていた。
「一服する?」店員が言った。
大学でタバコデビューしていた私は、特に考えもせず「うん」と答えた。
店員が取り出したのは、しわしわの巻きタバコだった。
それに火をつけ一服、そしたらそれを常連に回した。
常連も同じように一服、次にそれが私に回って来た。
なんだかよくわかんないけど、私も同じように一服しすぐ煙を吐いた。
「煙吐くの早いよ。もっと肺に溜めなよ。」
「出来れば鼻から吐くのが良いよ。」
2人にコツを教えられた。
そんなのを2周か3周するくらいで瞼が重くなった。
よく見たら2人とも凄い笑顔。
気付いたら、私も目が無くなっちゃうくらい笑顔になってるのがわかった。
(ああ、これそういうのなんだ。)
タバコの正体に気付いた時は、既にがっつりキマっていた。
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