【ソウルライク】オートマタってだけで滾るものがある【スチールライジング/Steelrising】途中レビュー
はじめに
オートマタといえば眼帯レオタードのあの娘だったりショタコンお姉さん(CV:林原めぐみ)だったり、健全な少年少女たちの性癖をどうしようもなくどうにかしてきた罪な存在である。
断っておくが筆者がキャラクリで毎度のように銀髪ショートカット美女を数時間かけて作り上げることと上記は一切関係ない。なんならショタコンお姉さんに関してはオートマタですらない。
そんな素敵な題材×ソウルライクなスチールライジング/Steelrisingのレビュー?をつらつらと書いていこうと思う。
人形×ソウルライクと言えばLies of Pを思い浮かべる方も多いかとは思うが、あちらはほんまもんの罪なのでここでは触れない。誰だあんなもんをウェルメイドなソウルライクとか言ってる連中は。
という訳でかなり前置きが長くなったが始めたいと思う。
よかった所
デザイン
主人公でありプレイヤーキャラのアイギスはもちろんエネミーや建物にいたるまでデザイン面は素晴らしいクオリティといえる。
アイギスはまさにオートマタといった造形で不気味の谷をヤーナム由来の華麗なステップでフレーム回避し、醜くも美しいという独特のデザインとなっている。
舞台となるフランス革命下のパリも特筆すべきもので美しい庭園や城下町、そこに積み上げられた数多の死体という歪さが美しさとしてのグロテスクとして成立している。
武器とモーション
アイギスがオートマタであるという特性を最大限に活かした武器デザインとなっており通常時は両腕に格納されている。格納時にはメイスであれば棘球部分、レイピアであれば柄部分といった一部が見えるようになっており並々ならぬこだわりを感じる。これはSEKIROの忍義手をイメージしてもらえればわかりやすいかと思う。
モーションも洗練されておりこの手のソウルライクでは珍しく武器の重みを感じるようになっている。
攻撃モーションだけでなくパリィモーションまで武器ごとに異なるのは狂気の沙汰である。
アクション設計
先に述べておくとここでのアクション設計とは”開発が想定しているであろう本作におけるアクション”という意味である。SEKIROであれば弾きによる超高速のターン性アクションとなるし、Bloodborneであればリゲインシステムによる攻めのアクションとなるであろう。
実際はもっと奥深く繊細だろうがまあ大枠として捉えてほしい。
本作では致命攻撃条件の緩和による絶え間ない攻撃のアクションとなるであろう。ロックオンアイコンの菱形が体幹ゲージの役割を果たしており、ダメージを与えたりパリィをしたりすることで溜まっていき致命の一撃を叩き込める。
このゲージは弱攻撃でも簡単に溜まるのだが攻撃の手を緩めると瞬く間に減っていく。つまりプレイヤーは小さな隙であろうとどんどん攻撃を差し込む必要がある。
それを裏付けるように本作では「致命で体力回復」「パリィで体力回復」「パリィ受付時間延長」といった特殊効果を持つ装飾品類が存在したり、「20秒間HPを継続回復」するアイテムが店売りされてたりする。要は”多少の被弾は覚悟でどんどん攻めていけ”ということである。
本作独自のシステムである急速冷却もそれに寄与している。スタミナが底をついた際に動力源を急速冷却して瞬時にスタミナを回復するものだ。
こちらは連続して使用すると過冷却状態となり一定時間行動不能となる。
オートマタであるが故に痛みを感じず動力の限界すら超えてひたすらに攻める姿はアイギスやパリの醜悪でそれでいて美しいという全体的なテーマとも一致している。
アクションもゲームの世界観を構成する一要素だと考えれば、これは非常に重要なことである。
閑話で休題
長ったらしく偉そうに書き連ねているが筆者は本作をプレイ途中である。クリアしていない。それでもレビューじみたものを書こうと思ったのには深い理由がある。なんとなくである。9割方。
無理くりに理由を挙げるとすれば自分と似通った感想がなかったからという一点である。普段は文才ある皆様のレビューを読んで「それ!!」と気持ち良くなっていたのだが、今回は運悪くそういうレビューと出会えなかったのだ。
と隙あらば自分語りになったが後半を書き連ねようと思う。
アカン所
めちゃんこにある。
敵AI
さんざんっぱらアクションを褒めたのにいきなりアクションを貶すのかという話だが、アクション設計と敵AIとの戦闘の優劣は似て非なるものである。
例えるのであればウォーロンの江表の虎臣である。TeamNINJAはアクション設計は優れているのにその運用が下手なことに定評がある。(Rise of the Roninは大丈夫か?)
油断すると他作品に流れ弾が行ってしまうが、本作についていえば大まかに3つある。
・突然切れるやる気スイッチ
いやまあどんなゲームにも言えることなのだがどのモブも露骨に活動エリアが決まっている。
どこまでも追ってくるのはそれはそれで鬱陶しいのだが、釣り出そうとした敵が目の前で踵を返して定位置に走り去っていくのはどうなの。
無理くり屋根から落とすなどで所定エリア外に行くと、戻ってくる最中はロックオンすら不可になる理不尽システム。ちなみに高所からのロックオンも不可なことが多々あり。開発の様式美内での戦闘が必須。
後述する感知システムと相まって悪質さが増している。
・時間停止モノからの誘い受けムーヴ
ふざけているわけではないのだがそうとしか表現しようがないのでしょうがない。
本作ではモブからボスに至るまで主人公と相対しながら明後日の方向を向き静止する瞬間がある。最初は達人同士の仕合いさながらに緊張感ある瞬間だったが、主人公が一部界隈に多く存在する時間停止の使い手だとわかってからは攻撃のチャンスでしかなくなってしまった。
攻撃すると少しだけ動くところがなんともそれっぽいというかなんというかもう止めておこう。
かと思えば唐突に誘い受け状態で停止したりもする。ここで気を付けなければいけないのがこの時は誘い受けであるという点である。こちらの全攻撃が被パリィ扱いになるぶっ壊れモードである。その技くれよ。
被パリィ後の反撃をパリィしたり回避したりできるのでまあ別にいいのだが、主人公の3倍も大きいボスが覚えたての強技を繰り返す初心者みたいに攻撃待ちをしている姿はあまりに情けない。
・エリア内全感知システム
これほんとになんなん??一体に遠距離攻撃をするとエリア内すべての敵が襲ってくるふざけた仕様。銃だから駄目なのかと思って”注意を引くため”と明記された投擲アイテムで試しても全員反応した。お前の存在価値なに?
3体以上一斉に向かってきて一定のラインで仲良く定位置に走り去って行ったり、揃いもそろってパリイ待ちの誘い受けで静止したり見てて悲しくなる。本体含めた周囲へのダメージを半減させる(多分)悪質極まりないモブが中盤以降登場するので、それも含めての仕様と思われる。
そりゃ数が多ければ難しいよ楽しくないけど。難易度上げるために敵を雑に増やすのはやめなさい。お前のことやぞチーニン。
システム面
これもなかなか深刻である。篝火間の移動ができないのである。たぶんできない。少なくとも現時点では。中盤くらいには差し掛かっているはずなので今更解放されても遅い間が否めない。
特に本作では鍵縄による立体移動やポケモンの岩砕き的アクションによる一部オブジェクトの破壊などの要素が後から追加される。サイドクエストのキーアイテムが後々手に入ることもあり、一度行ったエリアに何度も足を運ぶことになる。ショートカットはあるにしても毎回エリアの最初から進んでいくのは何とも面倒くさい。
ではマップ間の移動はどうするのかというと無人馬車(キャリッジ)という乗り物を介して行う。要はデモンズソウルの楔の神殿である。神殿内部はないけど。ここが各マップのスタート地点となり、マップ内の篝火的なものを開放していくという流れである。
ここでさらに怖い話であるが本作にはダークソウルの”帰還の骨片”的なアイテムは恐らく存在しない。少なくとも今まで1つも拾っていない。目的地から楔の神殿まで歩きである。システムとしてないのかと言われればそんなことはなく経験値を全てロストする”ダークリング”的なアイテムのみ存在する。なめてんのか。
レベルデザイン
いやもう致命的やんけと思ったあなた。ここまで読んでいただきありがとうございます。その通りです。
前述したとおりに本作は同じエリアに何度も足を運ぶようになっている。じゃあ序盤は特定エリアの到達などをフラグに敵が強くなったり種類が変わったりするのか?
(そんなこと)ないんだなこれが。
別にソウルシリーズだって1週目は序盤エリアの敵は弱いやんと思ったそこのあなた。ここまで読んでいただきありがとうございます。甘いな。
全体的に中レベルの幅で調整されてる。つまり序盤のモブがクソ固い。平気で1体に3分くらいかかる。アホか。それが3-5体一斉に襲い掛かってくる。アホや。
アップデートでニューゲーム+が追加されたらしいが、当初は周回要素が無くてこの仕様になっていると思われる。レベルデザインを放棄したソウルライクという前代未聞のアバンギャルドさ。それがスチールライジング。
締めのようなもの
初めてゲームレビューのまねごとをしてみたが、ここまでで4,000字近くになっている。このタイムパフォーマンス全盛期に何たる愚行。でもまあ楽しかった。
ボス戦がつまらないとかBGMが空気とか話が盛り上がらんとか他所様で書かれているようなところはさすがに省いた。卒論越えの文字数を書くつもりはない。
誤解のないように言っておくとスチールライジングはそこまで悪いゲームではないと思う。良いところが突出してるから全然楽しめる。
また何か書くかはわからないけど『龍が如く8』の感想とかは書きたいなと思っている。
それではお一人でもこの冗長な駄文を読んでいただいた方がいらっしゃいましたら心よりの感謝を申し上げて終わりといたします。
PS.どこぞのピノキオへの流れ弾はネタではなくマジ。