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【CODE VEIN/コードヴェイン】なんだかんだで見た目って重要よ【ソウルライク】レビュー


はじめに

 「見た目はエチエチ中身はソウル」と言われればパンツ描写1つで3,000字越えのレビューを書くものとして真摯に紳士にプレイせざるを得ない。
 キャラクリに2時間を費やした挙句に開始直後のムービーを見てなんか違うとなり、さらに1時間かけて再作成。さながら初めて彼女を家に呼ぶ思春期男子のように入念な準備を済ませプレイを開始した。
 そう、期待していた。美男美女に囲まれながら未知のダンジョンを探索し、強大なボスに挑む。そんな極上の体験が俺を待っているのだと。

キャラクリは優秀

 間違っていた。お前は何度ソウルライクに期待し、裏切られるんだ。それでも期待してしまうのである。俺はいまだに探している。葦名一心を、ルドウイークを、無名の王を。
 ボスを倒して喜びを通り越して放心するような。気が付けばコントローラーを握りしめる手が固まっているような。そんな体験がしたいのだ。
 というわけで基本的に酷評レビューである。とはいえ良いところももちろんあるのでまずはそちらから始めたい。

良いところ

・・・・・・以上
 いや、あの、まじでこれくらいしかない。こいつら不死とは言え、心臓つぶされたら死ぬからね。守りなさいよ。何を下着みたいな服着てんねん。

 さすがにこれで終わるわけにもいかないからちゃんとやります。はい。

キャラクリ

ブレスレットを太ももにつけることもできる。

 本作で最初に目を引くのはアニメ調の美男美女たちだろう。「世界観に魅力を感じて」とか「アクション性に惹かれて」などと吠えるやつらがいたらそいつらは間違いなく人狼だ。吊るせ!!
 でキャラクリでは至極簡単に美男美女を作成できる。『バルダーズゲート3』や『ホグワーツ・レガシー』のようにどう足掻いてもブサイク一般的風貌しか作れずにNexus modsを徘徊する必要もない。
 衣服は細かいパーツのカラーリングや非表示設定まで可能で、アクセサリー類に至ってはカラーリングはもちろんのこと着用場所やサイズ、向きまで自由に選択できる。プレイヤーのニーズに応える素晴らしいキャラクリと言える。

キャラクターデザイン

エヴァ様(CV:早見沙織)
ちゃんと服を着なさい

 既に書いたがキャラクターも美男美女揃いで何とは言わないがデカかったり小さかったりする。多様性バンザイ。さらにカメラを下げるとそこには謎の暗黒空間も白い光も存在しない。貴方が求めるものがそこにあるだろう。
欲を言えばもう少しイケオジ枠が欲しかった。速水奨ボイスの劣化したボンボルド卿みたいなんはいた。いや、速水奨さんは何も悪くないんやけど。それにしてもあいつネタ枠として完璧やったな。
 何より闇落ち高垣楓でお馴染みエヴァ様の声優を早見沙織さんにしてるのが”理解ってる”感がある。早見沙織さんがいるだけで作品の価値が上がる。
 にしてもその服なんなんまじで?埼玉県を筆頭に下乳には風当たりが強いぞ。

衣装・装備デザイン

パリィ時の特殊攻撃

 衣装や装備のデザインもアニメ調のキャラクターとマッチしていて素晴らしい。防具による特殊攻撃類も「そうはならんやろ」と言う荒唐無稽なものであるが、本作の世界観なら違和感はなく、丁寧にこだわって作られておりかっこいいものとなっている。さらに特殊演出カメラまで用意されている。(致命時に周辺の敵確認ができないからオフにしていたが)
 プレイヤーキャラ含めてなんでそんな薄着なん?という話ではあるが、堕鬼の膂力に対し、それはあまりに無力なのかもしれない。過信することなかれ。まあプレイヤーキャラが薄着なんはこちらの匙加減やし。

ジョブシステム

ジョブ選択画面

 やっとこさゲーム的ないいところである。正直筆者的には微妙だったのだが独自性とビルドの組みやすさという点では特筆すべき点だろう。
 今作では「女王殺し」や「ダークナイト」といったブラッドコードと呼ばれるジョブが多く存在しており、攻略中であろうがいつでも変更可能となっている。それぞれが脳筋、技量、純魔、魔法剣士のように特徴を持っており、様々なビルドを自由に試せるシステムとなっている。
 レベルにより体力やスタミナ、攻撃力の基礎値は上がっていくもののステータス振りは基本的にこのジョブに依存する。ステ振りは不自由だが生まれ直しは自由といったかたちである。
 バカでかい大剣を振り回していたやつが次に会う時には魔法を連発してきたらボスも困惑するだろうが、ビルド選択肢が多いので試行錯誤がしやすく本作の魅力と言えよう。
 ただ、自由にステ振りができないためどうしても死にステが生まれてしまうという欠点もある。魔力や信仰系統には一切振らない技量マンである筆者にとって、技量系ジョブは装備重量が軒並み少なく、防具の選択肢が実質一択であった。
 しかし、必要ステータスなども加味するとこれは一長一短で片付く問題ともいえる。

閑話で休題

 いいとこほぼ見た目の話やないか。まあなんだかんだで見た目って大事やからね。アーロイとかアビーの顔面見ただけでプレイする気でないもん。内面の葛藤とか知らん。まずは外面の不具合を直せ。ゲームなんやから。
 ブスほどブスに厳しい気がする。ソースは筆者。
 そろそろ本気で怒られそうやから本題に戻る。ここからは悪いところを書き連ねていく。文字数とか気にしないで全部書く。

悪い所

 ゲーム性・システム面・オマージュ箇所もう全部。調整不足で済まされるレベルじゃない。膨大になるだろうが思いつく限り書いていく。

セーブシステム

 本作はオートセーブではあるが、ゲーム終了後の再開地点は最後に休息したヤドリギ(篝火)となる。つまりお馴染みのプロロができないわけである。
 ちなみにゲーム設定変更時にもオートセーブ表記がされるが、その場合でも再開地点は篝火である。しかしがら設定変更は反映されている。何故ここまで頑なに再開地点が篝火なのか?意地でもプロロさせたくないのか?よくわからん。
 筆者はRTA走者でもなければ索敵を切るためにプロロとかもしないので特に問題はないが。
 まあ、クリア後に篝火がないせいで倒したラスボスが普通に鎮座してたりもする。なんなのよ。この景色。ばかみたい。
 ただ、これが次項で述べる問題と合わさることによりとんでもない凶悪さを持つのである。

倒したのに普通にいるラスボス

エラー落ち

 論外です。
 筆者のプレイ環境はPS5。おま環でないはず。たぶん。その前提で話を進めさせてほしい。
 筆者が経験したエラー落ちは4回。もっとひどいゲームもあると言われそうだが、そもそもエラー落ちは駄目やと思う。内訳としてはキャラクリ中1回、ボス撃破後2回、ラスボス直前1回である。
 ここで前述のセーブシステムを思い出してほしい。本作の再開地点は最後に休息した篝火である。オートセーブ地点ではなく。
 つまりボス撃破後にエラー落ちするとボス撃破前の篝火に戻るのである。ボス撃破後は篝火に触れる前に強制ムービーが入る。このタイミングで落ちる。どのゲームでもそうだが特にソウルライクでボス撃破がなかったことにされるのは悪質が過ぎる。しかも落ちたボスが「喉骸の継承者」と「焔砲の従者・氷刃の従者」だった。クソボスひしめく本作においても屈指の悪質ボスである。対応策はありません。祈りましょう。
 さらにラスボス前エラー落ちでも当然ながら篝火まで戻る。篝火付近に到着した際の強制ムービーで落ちた。
 ソウルシリーズあるあるだが篝火を見つけても回復に余裕があれば休息まではせず起動するだけということがあるだろう。敵が復活するし戻って見落としを確認することも考えるとこういう駆け引きが生まれる。素晴らしい。
 で、落ちた時はダンジョン全てを休息なしで探索し終わっていた。はい、その通り。すべてやり直しです。対応策は全ての篝火で絶対に休息すること。駆け引き台無し。辞めたら、ソウルライク。
 筆者だけかもしれないがエラー落ちのタイミングが悪質すぎてゲームの楽しさを著しく損なってる。
 論外です。

オマージュって言えば許されると思うなよ

 本作はソウルシリーズとは異なる魅力があると思う。まあ主にキャラクターデザイン面で。それでもストーリー描写を直接的にしたりアイテム収集によるNPCの深堀りイベントがあったり。まあ正直それがソウルライクと嚙み合っているかと言われれば微妙やけど、ソウルライクに独自のアプローチをしてるという点は間違いないと思う。
・・・じゃあクソみたいな雑オマージュするなよ。比べるぞ。いいんか。

何も言うまい

 ファランの城塞にアノールロンド、竜狩りの鎧、オンスモ……いやまあ、やってたら気付くよ普通に。で?なんでオマージュしたん?
 良いオマージュと悪いオマージュの違いって難しくてそんなんプレイヤーの主観やんって考え方もわかる。でも今作のオマージュから感じるのは「別に愛があるわけじゃないんやな」ってこと。だって本当にオンスモに絶望して心を動かされた人ならあんな無茶苦茶な挙動にしない。「ソウルシリーズってあれでしょ?なんかダークファンタジーで難しいやつ」くらいの認識しかないんじゃないかと思う。そんなわけないんやけど。
 本家は複数戦の難しさを痛感してるからこそ毎度嗜好をこらして実装してる。深淵の監視者、デーモンの王子、ヤーナムの影、2頭獅子猿etc.(エルデンリングどうしたマジで?)

オンスタの乳をでかくしたいという性癖にだけはオリジナリティがあるかも

 だとしたらここでオンスモもどきを作るとしてもそこには明確なアンチテーゼなり回答なりがあるべき。”私たちの考える複数戦はこうだ!!どうだプレイヤー!!フロム!!”
 それがなんや大体の性質は本家オンスモのままで遠近対応させて挙動を積極的にするだけって。乳でかくするしか能がないんかお前らは。
 そして一番萎えたのが深層オンスモもどき。やりこみ要素で登場するこいつらは片方倒すと残った方が強化される。しかもやっつけレベルのムービー付き。
 どういうこと?ファンサービスのつもり?他社開発のコンテンツをそのまま真似して?わかってますよ感出すんじゃねえよ。
 人の褌で相撲を取るどころの騒ぎじゃないのよ。人の表彰台にのぼってんのよ。立ち合いすらしてないよあんたらは。

ボスのモーション

 やっとこさゲーム面に到達できた。まあこの後に演出面も書くんやけど。きりがないなほんまに。
 前提として本作はバディシステムを導入しており、NPCが1人同行している状態でダンジョンやボスを攻略する。
 筆者は基本的にダンジョンはNPC有り、ボスはソロで攻略していた。NPC有りで倒したボスは3体。劣化オンスモ、エヴァ様、ラスボス第二形態である。
 考えなしの複数戦や、遠距離ブッパ、足を殴るだけの巨大ボスなどクソの必修科目はちゃんと履修しているようなので割愛する。

・雑な対複数戦対策
 システム上NPCありきで調整しているのは百も承知である。にしてもひどい。どのボスも広範囲or全範囲攻撃、状態異常、スリップダメージ床のうち少なくとも2つは持っている。エルデンリングでも散々言われていたし、1対2になる以上多少はしょうがないのかもしれないが、どいつもこいつも芸がない。

地獄絵図

・異常に早い発生フレーム
 ソウルライクという言葉が市民権を得て高難易度ゲームというジャンルもポピュラーになってきた昨今、ボスの難易度をどう上げるかは難しい問題である。生半可なボスでは簡単と言われ、やりすぎると理不尽と言われる。開発者様の苦労は計り知れない。ディレイやモーションの複雑化、派生の多様性などの様々な工夫がこなされている。そのなかでも筆者が嫌うものの一つに発生フレームを取り敢えず早めるというものがある。(そのほかだと同一モーションから別攻撃とか)
 ではなぜ発生フレームが早すぎて高火力の攻撃は好ましくないのか。モーションを覚えて避けるというターン性アクションの前提を放棄するというのも1つ。なによりこういう類のモーションがあるとプレイヤーはボスが動いた瞬間に回避を押すしかなくなるのである。駆け引きも何もない作業に何の面白みがあろうか。
 にもかかわらず本作では多くのボスが目にもとまらぬ発生の攻撃で7割以上のHPを持っていく。あほか。

 ・隙の少なさ
 バディがいようがいまいが本作は本来ターン性アクションである。敵の攻撃を見極めて躱し、攻撃後の隙に攻撃を差し込んでいく。高火力だったり避けずらい攻撃は隙も大きく攻撃機会も多くなる。回復も無策で使うと回復中に攻撃を受けてジリ貧になっていく。どの攻撃をフレーム回避するのか、位置避けするのか、回避後は攻撃するのか、スタミナや体力の回復に充てるのか。そういう駆け引きが醍醐味である。
 本作における隙の少なさの程度はというとフレーム回避後の回復は通らない。バフのかけなおしなどもってのほか。「エスト狩りがきつすぎる」というレビューも見かけたが、こんなものはエスト狩りですらない。調整が下手なだけである。瓢箪めがけて突き連打する弦ちゃんに失礼だ。

親の顔より見た突き攻撃

 基本的な回復タイミングはタゲが同行者に向いているときであろう。では筆者のようにソロでボスと戦う場合はどうすればいいか?
 連撃中や全体攻撃中に位置避けする(回復時は移動不可)orダウン時に回復するしかない。たぶん。でもあと一つ方法がある。祈れ。発生が遅めの攻撃がくれば間に合う可能性がある。
 パリィで隙を作っても回復を狩られたときはさすがに乾いた笑いが出たよ。
 意地はってソロでやるからやろと言われればそこまでだが、タゲが向いてないときに背中を殴るボス攻略が楽しいかと言われれば疑問である。
 回避後の回復が通らないのはターン性アクションの根幹を揺るがすレベルの愚行であるのだが開発にその意識はあるのだろうか。

先行入力を受けつけない(たぶん)

 これはだいぶんシステム的な話になるし筆者の体感的な話として受け取ってほしい。多分このゲーム先行入力受けつけていないと思う。
 具体の話をすると篝火にワープしてきたくらいでダッシュ入力してもダッシュしないのよね。押しなおさないと。それくらい我慢しろやと言われればごめんなさいなんやけど、重大な問題がもう一つある。
 チェーン抜けができないのよ。厳密にいえばできるんやけど。被弾時にキャラクターが怯むのはどのゲームでもそうなんやけど、普通は怯んでる最中の回避入力が受け付けられて硬直明けにすぐ回避動作に入るんよね。
 たぶん普段は意識してないと思う。筆者もそう。だって当たり前やから。で、なんか全然チェーン抜けできんなと思ってた筆者が上記のダッシュ仕様に気づいて「え、まさか先行入力受け付けてない!?」となったわけですよ。
 試しに怯み後に回避ボタンを連打してみたらチェーン抜けできたんよね。おい、まじか。この時代に先行入力受け付けないゲームが存在するんか?知識がないのか技術がないのか意地が悪いのかどれなんや。

 2段目は先行入力回避が拒否られていて被弾してる。

マップとモブ配置

 これもまあひどい。白い血の聖堂が悪い意味で有名である。筆者としては扉を開けるために遠回りすることも、迷うことも、高低差があることも別に苦ではない。あっちこっち探索するのは楽しい。
 それでも本作のマップはひどい。

・徹底して複数戦を強いられる
 これもNPC有りきの調整(ド下手)だと思われるがとにかくモブ配置が雑。NPC同行と言えどもモブはスパアマこちらはヨワヨワというド定番の調整なので複数戦は避けるべきアクション設計にはなっている。
 よく考えて観察すれば対処できる場合もあるのだが、対応不可の場合も多い。狭い一本道に仁王立ちする敵に気づかれると奥から大量の敵が襲ってくることも多い。その場合索敵範囲外から逃げて一発当ててをひたすら繰り返すか、逃げながら足の速いやつから倒す新撰組ムーヴをするしかない。

・狭い足場での戦闘
 もうずっと足場が狭い。もちろん落ちる心配のない箇所もあるが(そういうところは大抵スリップ床)基本的にずっとマンイーターしてると思ってもらっていい。敵は3体以上一斉に来るけど。その上吹き飛ばし効果持ちが多い。NPCタゲの広範囲攻撃の巻き添えで奈落に吹き飛ばされたときは溜息が出る。
 そもそも狭い足場での戦闘を高難易度と思ってるなら勘違いも甚だしい。広い所に誘い出すとかそういう工夫の余地を残して初めて成立するんよ。誘い出そうにもずっと狭かったり、広い所が索敵外で帰って行ったりする。

・対応不可のトラップ
 本作のモブ配置は嫌がらせに終始しているが、別にそれ自体は悪いことではない。度を越しすぎて擁護しづらいが。それを看破して一つひとつ丁寧に処理していくのも探索の楽しみと言えよう。嫌がらせがピークに到達する終盤以降は特に顕著になるのだが、トラップ配置に気づいても対応不可なのである。
 まず死体に偽装したモブにはロックオンができない。そして本作の遠距離攻撃にはADSやFPSモードはない。つまり近づいていくしかないのである。
 とはいえ唯一と言える対抗策もある。遠距離攻撃を任意の地面に行える防具が存在するのである。筆者はそれを用いて死体に偽装するモブを吊りだしていた。
 そんな筆者をあざ笑うかのような仕様が登場する。起動するまで判定のないモブと宙吊りになっている死体偽装モブである。動画を見るとわかりやすいが露骨に隠れているモブに遠距離攻撃を行っても判定がなく、こちらが近づいて起動するまで攻撃ができなくなっているのである。

 Lies of Pでもモブが渡っても落ちない吊り橋がプレイヤーが渡った際にだけ落ちるという仕様があったが、プレイヤーを騙したいだけの仕様はやる気を削ぐだけである。

・ボスリトライがデモンズソウルレベル
 最近の本家や出来のいいソウルライクはちゃんと考えられてるんだなと痛感した。特にボス前の篝火配置。エルデンリングを筆頭にSEKIROやソウルライクだとThymesiaなど、最近のソウルライクはボスへのリトライがストレスなくできるようになっている。しかしながら本作の一部マップはリトライまでのストレスがとんでもないことになっている。
 筆者がソロで攻略しなかったボスのうちエヴァ様はこれが理由である。ショートカットで最初の篝火からボスエリアまで繋がる(やりたかっただけやろ)設計になっているのだが、演出の為かわからない何もない一本道も含めて道中が異様に長い。ダッシュの遅さとスタミナの調整不足も相まって3分ほど走り続ける羽目になる。
 敵すらいない微妙に遠い篝火からの道中に移動制限付きの水場があるマップもある。それはもう嫌がらせやん。

2分くらい走らされた挙句この長距離走である。ここに篝火置けよ。

・普通のマップは作れへんのか
 前述した狭い足場は毎度のことで、それに飽き足らず毎度毎度いらない要素を足してくるのはなんなんや。移動制限の水場、常時スリップダメージの火にMPスリップの砂……。よくもまあこんだけ嫌がらせに終始できるわ。毒沼と固定砲台がないのが逆に腹立つ。わかってますよ感出すな。

・マップの繋がりが無茶苦茶
 マップにはいろんなパターンがあった方がいい。陰鬱とした廃墟や寒々とした雪山(雪山……頭が……)など本作もいろいろな嗜好でプレイヤーを楽しまそうとしている(悪意しかないが)。
 それと同時に湧き上がる問題としてそのマップをどう違和感なく繋げるかというものがある。本作はその点を放棄している。基本的にクソ長い何もない地下道なりなんなりを進んだ先に次のマップがあるだけである。
 挙句の果てには只テレポートするだけの色違い篝火でマップをつなげている。じゃあもうデモンズソウルと同じシステムにしろよ。得意やろ。上辺だけ真似るの。

詰め込みすぎて調整できてないアクション要素

 詰め込みすぎなんよ要素を。案の定それぞれがろくに調整できてないし。
 まずパリィが死んでる。まあ一応モブ相手には使いものになるんやけど。バックスタブのほうが早いよね。そのバックスタブも判定が謎すぎるんやけど。バディと囲んで殴る方が早いよね。あれ?両方いらなくね?
 で、パリィ最大の問題点がボスには無効ってこと。厳密にはパリィはできる。でも致命ができない。何度パリィしようが。パリィするとボスが一瞬よろけるだけ、こっちのパリィ硬直も異常に長いから殴れて2発。最大のリスクを冒した結果が通常回避と変わらん。リスクとリターンはアクションの基本やろ。
 集中状態っていうのあるけどこれも微妙。ゲージが溜まることで条件が成立するんやけどその条件が被弾かフレーム回避。恩恵はスタミナ全快と強靭度アップ。特定のスキルを設定している場合は集中状態をトリガーに発動。ゲージは時間経過とこちらのアクションで減少。まあこんな敵の動きに依存するトリガーにスキル枠割り振らないよな。
 これが一番問題なんやけどスタミナ消費と回復が全く調整できていない。ボスの攻撃感覚が短いのは前述の通りだが、それに加えて各アクションの消費が多く、スタミナ値も少ない。ボスの連撃回避→弱攻撃でほとんどスタミナ切れ。次の連撃中にスタミナ切れになることもある。さらに悪質なのがスタミナが一定以下になると回復するまでに謎のラグが発生する。結局NPCと囲んでのタコ殴り対策なんやろうけど、プレイヤーの行動を無理やり奪う形でしか調整できないならアクション作るの辞めな。

ターゲット変更がおかしい

 前述の通り本作は徹底して複数戦を強いられる。弱攻撃にしろスキルによる連撃にしろその途中で敵が倒れることも頻発する。システムとしてターゲットの自動移行というものがあり、お馴染みではあるが敵を倒すと自動で付近の別の敵にターゲットが移るというものである。
 これが機能しない場合が多々あり、ターゲット自体は別の敵に移っておりカメラもその方向に向いているのだが、攻撃だけは倒した敵の上で空を切り続ける事象が多発した。
 複数戦を強いるならシステムくらいちゃんと構築してもらっていいですかね?特に調整もできないアクション要素増やすくらいなら先行入力とかターゲット移行とか基本的なところを成立させてください。まじで。

パッシブスキルの偏り

 本作では様々なスキルがあり圧倒的な瞬間火力を誇るものから対複数特攻のもの、窮地からの起死回生を狙うハイリスクハイリターンのものなど非常に楽しい要素となっている。スキルにはパッシブとアクティブがあり、前述したのはアクティブに分類され、アクティブを8つパッシブを4つ選択できるようになっている。
 パッシブに分類されるものには「スタミナ上昇」「HP上昇」「各種ステータス上昇」など恒久バフ的なものや「集中状態で武器にエンチャ」「パリィ時にスタミナ回復」といったビルドの多様性を広げるものまでこちらも幅広く存在している。
 しかしながらただでさえ敵の動きに左右されるトリガーを必要とするスキルに4つしかないスキル枠を使うかと言われればそんなことはない。こういった性質のスキルは本来ハクスラやMMORPGといったスキルを大量に重ねてビルドを構築するゲームに向いているものであり、本作との相性は非常に悪いと言える。

実質必須の火力スキル

 さらにパッシブスキルには使用する武器種の攻撃力をとんでもない補正で上げるものがあり、これが必須スキルとなっている。前述の通りスタミナが圧倒的に不足しているのでスタミナ補正も合わせると実質的に自由に使える枠は2枠しかない。ここに腕力補正なども合わせるとパッシブスキルのビルド枠はとてつもなく限定される。(少しテストプレイすれば気づくやろ)

演出面

・噛み合わないムービー演出
 本作はストーリーに力を(恐らく)入れており、本家のように火のない灰?獣狩りの夜?悪夢の苗床?結局なんやったんや???とはならない。
 要所要所でムービーが入りしっかりと説明をしてくれるし、キャラクターの深掘りもしっかりとしてくれる。とはいえそれがソウルライクというジャンルと噛み合っているようには思えない。
 ボス前や新マップ到着時に長々とムービーが入るのだが、正直いいからボスと早く戦わせろとなるし、早く新マップを探索させろと思ってしまう。これはまあ人それぞれであろうが。とはいえそのムービー読み込みでゲームが落ちるのだからこっちは気が気でない。
 特にソウルライクの華ともいえるボス戦前で長いムービーはテンポが悪いと言わざるを得ない。
 そのくせボスムービーはなんか出てきてポーズ決めるだけっていうパターンがほとんどで全然盛り上がらない。

・そんな根性の別れみたいな演出されても
 本作におけるボスの多くは「災厄を押さえつけるためにその根源の一部を体に埋め込まれた器である吸血鬼が暴走した存在」である。
 倒すと心象風景の中でその人格が石化し消え去ってしまう。どいつもこいつもなぜかパーティ主要メンバーの大事な人たちであるので、毎度のことながら長いムービーで今生の別れみたいなシーンが入る。

1秒後に復活するのにそんな顔されても

 いや今生の別れなんやからええやんと思うかもしれないが、普通に復活するんよね。エンディング後とかじゃなくムービーの1秒後に。マップ上の記憶の欠片みたいなアイテムを集めてたら復活する。やから今生の別れムービーも見ててしらけるんよね。”いやもうお前らも復活するん知ってるやん”ってなる。
 まあ姿はボス状態のままやけど。あ、エヴァ様だけは姿すら元に戻る。なんやねんそれ。まあ、キャラデザいいしね。しょうがないね。雌豹モチーフのボスに関してはボス状態のほうが刺さる人には刺さるんじゃない。断じて筆者には刺さってないが。断じて。

……よき

・ボス前での心象風景演出
 ボス前のムービー演出は前述の通りだが、それとは別にマップ上で集めた記憶の欠片みたいなものを復元するフェイズもあるんよ。大体1個につき2分くらいでそれが4個くらいある。
 さっさとボス戦やらせてくれ。

走らせてくれよ

 これも演出自体は全然いいんやけど画像みたいな心象風景を歩きながら記憶を辿っていく感じ。ちなみに走ったりは一切できないから普通にかったるくなってくる。演出優先でプレイの快適性を損なうっていうのは本作通しての問題と言える。

・で、お前はなんでそこにいるの?
 本作のボス戦が盛り上がらない理由として「そのエリアのボスがなんでそいつなのかがわかりづらい」というのが大きい。中盤以降は暴走した器なのでなんとなくわかるが(なんでどいつもこいつもパーティメンバーの大事な人やねん)。チュートリアルボス以降の3体に関してはどういうことなん?俺の読解力がないだけやと思いたい。

こいつとかどういう設定なん?

 狩人の悪夢最奥に悪夢に囚われた堕ちた英雄「ルドウイーク」、その悪夢の奥には隠された罪である実験棟が広がる。悍ましい実験の成れの果てをこれでもかと見せつけられた先に「失敗作たち」、そして秘密の番人「マリア様」。時間が遡り秘密、そして罪の根源たる漁村の「ゴースの遺子」。悪夢は海へと帰り、始まりのヤーナム市街へと至る。なんという完璧なマップとボス構成であろうか。
 難しさというソウルライクの上辺だけを雑になぞる本作には決して成しえない緻密な演出と構成。これこそが真髄と言える。

さいごに

 いやまあ字数気にしないとか書いたけどさすがに1万字を超えてきたのでここらあたりで終わりにする。強制複数戦イベントとかは各所でボロカスに言われているので死体蹴りはやめておこう。
 創作物は多くの方々が心血を注いで作っているものなので中途半端な批判はしたくない。筆者なりに真摯に批判したつもりである。
 本作において筆者が学んだことといえば”見た目ばかりに気を取られていると痛い目を見る”ということであろうか。
 アーロイとアビーもやるかあ。

AI LIMIT 無限機兵
同じような気配。まあ可愛いから買うけど。


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