健康的なバターに出会うと決めた日
1⃣ 2016年11月
自分の孤独が浮き彫りになる、この時期がとても嫌いだ。
朝起きるのがだんだん辛くなるし。
もうすぐ誕生日がきて、30歳になるし。
どこかにたどり着くと思っていたはずの、2年越しの恋の相手とも、あっけなく破局を迎えたし。
マッチングアプリに登録しても、なーんもなさそうだし。
連絡を取っているうちの一人は、超イケメンだけど海外に住んでいるし。
もう一人は、同じ県内に住んでいるが、真剣な交際には至らないし。「お互い好き同士だから、彼氏・彼女って言わなくていいよね」とのことだった。
この時期が嫌いな理由は、もう1つある。
私は、空港でグランドスタッフとして働いているので、朝が早い。日が昇る前に出勤し、日が落ちてから帰宅する。これが本当に滅入る。
また師走が来て、忙しい時期に入る。お客さんたちは休みだ、旅行だって楽しそうだけど、働いてるこちらは全然楽しくなかった。
とはいえ、仕事以外が充実しているわけでもない。休みの日は単なる屍。
寒いからなかなか起き上がれず、結局昼前までベッドの中にいる。その後何とかベッドから這い出して、ポヤポヤしながら近所のイオンへ行って食料を調達する。
マッチングアプリをスタバで一通り見てから、帰宅。昼ご飯と食後のデザートを食べ終わる頃には、もう既に夕方。
また明日は仕事か…。しんどいなぁ、平日なのに満席かなぁ。タメ息しか出てこない。
そんな時の慰めは、海外ドラマ。
最近気になるのは、『クレイジー エックス ガールフレンド』という、ぶっとんだ、ちょっとイタいアラサー女子の話。
今日こそ、見てみようと思い、夜ご飯を食べながら(また食べてる)、再生。
開始から3分。主人公のレベッカが、テレビをつけっぱなしにして寝てしまい、目覚めたときにバターのCMが流れるというシーンだった。
そのCMの最後に、「あなたが、心から幸せを感じたのはいつですか?」という音声が入った。
単なるバターなのに、他の意味も含ませているこのCMに、レベッカが首を傾げた。
どんどん見進めると、レベッカがとてもバカな行動をしてしまい、自己嫌悪に陥るシーンがあった。またそこでも、別のバターのCMが。
「今お使いのバターに、うんざりしていませんか?」、「自分は健全な選択をしている!と言えますか?」という音声が流れた。
このバターのCMと、自分の情けない姿を重ね合わせ、レベッカはハッと我に返った。
私もそこで「私何してるんだろ…」とぼんやり思った。最後に健全な選択をして、心から幸せだと感じたのは、いつだろう。
大学の選択、選考するクラスの選択、友達の選択、仕事の選択…。
これまでいろいろ岐路に立たされてきたが、どれも割と良いチョイスをしてきた方だと思う。
ただ、恋愛相手のチョイスに関しては、誤った選択ばかりしてきた気がする。
「このままではダメだ。」
そう私は思った。
「健康的なバターを見つけて、絶対幸せになってやる。」
そう自分に約束した、2016年の秋でした。
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