不健康なバターに出会った日
4⃣ 2014年12月
▶Previously on Majimena Butter
ロビーで私を待っていたのは、ものすごいイケメンだった。
そう、ジョン・ボンジョビみたいな、すごいイケメン(まさに、背はちょっと低め)。
ジョンは笑顔で、「こんばんは」と言い、これからどうするかを少し話した。もうホテルのレストランも閉店していて、ホテルの周りには何もなかった。
そして、彼の部屋へ向かうべく、エレベーターに乗り込んだ。
「あぁ、部屋行っちゃったら、ヤらないってもう無理じゃん。」
部屋はビジネスホテル並みには狭くなく、ソファーもあり、ベッドも大きかった。
彼とは、いろいろ話した気がする。
仕事のこと、彼がその日履いていた靴のこと、彼女と別れたばかりだということ(だから親切心から、キースは私と会わせたんだと思う)、その彼女が他のパイロットと浮気をしていたこと…。
終電の時間が近づいたため、帰ろうとしたと時に、「Don't go.」と言われてしまった。
帰るか帰らないかで、彼との関係性が決まってしまう。
ただの売春婦的存在で終わるか(お金ももらってないのに!)、ミス・ボンジョビと呼ばれるのか。
岐路に立たたされた私も、本心ではもう少し彼と一緒にいたかったのだと思う。
ナイーブにも「まぁ、ここまでヤらずに済んだ、このまま始発まで何とか切り抜ければいっか」と考え直した。
まぁ結局、ヤっちゃったんだけどね。
ということで、変な下着を着けていっても、やるときゃヤるんだなとわかった。脱いでしまえば、わからないし。
彼は朝早くのフライトがあったので、翌朝早めに起きた。
彼が「一緒に写真を撮って、友達に送ろう」と提案してきた。
「穴兄弟に本当に送るのかい?」と心の中で思いつつ、もしかしてジョンは私とキースの関係を知らないのかも、と思った。
写真を撮り、足がふわふわしたまま、彼のホテルから出た。
帰りの電車の中、親友に一通り何があったのかを説明し、2人で撮った写真を送った。
いろいろあったけど、その時は、「会いに行って良かったな」と思っていた。「本当にミス・ボンジョビになれるかもしれない」とぼんやり考えていた。仕事を辞め、結婚し、彼のフライトに一緒についていくような生活…。最高じゃあないか。
ただ、そう簡単には問屋が卸さない。
ジョン・ボンジョビとの出会いで、私は大事な大事な20代後半の2年間を、無駄にしてしまったのだ。