実録!(業務改善)BPR記#02 当たり前は当たり前ではない(愚痴回)
こんにちは、まじこじまです。
業務改善の現場から…大切にしてほしいことをお伝えします。
昨日「愚痴」について書いたので、今日は私も愚痴ってみようかと思います。
以前、業務改善で入ったプロジェクトでその会社の派遣社員の方から
「今時、そんな情報くらいスプレッドシートで管理するのは簡単でしょう!なんでそんな簡単なことができてないんですか!だから我々現場の社員にこんなくだらない工数負担を強いるんですよ!」
と電話口で怒鳴られたことがあります。
これは役割上、従業員の全数調査を行う必要があったため社員アンケートを実施した時の事ですね。その簡単なことにこれまで手を付けてこなかったから私がテコ入れをしてるところなんですけど。
「本社からWebアンケートが送られてきたことに対して答えたくないと反発する」
という時点で会社員として業務命令を無視すんのかいと思わなくもないですが、自信も営業マンとして働いていた時はこういった
自分の業務に直接関係するかわからないし、答えた結果どのような改善につながったか見えないものを何度もやらされると腹立たしい気持ちが先に来る
こういう現象はあるあるなので、気持ちは分かります。
ただ、この時は私も引くわけには行かず、納得してもらう必要があったので粘り強く話をしてなんとかやってもらいました。社内での色々な矢面に立たされるのも仕事のうち、という感じの契約だったので覚悟もしていましたが。
しかし、皆さんテクノロジーの進歩によって情報の一元管理、自動化などができるようになったと言えども…
最初に誰かが情報を登録しなければ始まらない
という事実がすっぽ抜けている、頭でっかちなIT妄信小僧が増えているというのが私の印象です。(ちょっと恨み節が入ってるので「小僧」という言葉を使ってます)
先に挙げた例で言えば、従業員1人1人の基本データとも言えるような内容を収集するものでした。
確かにそんなもん、システムを入れなくてもスプレッドシートにでも保存しておいて管理すれば良いと思うかもしれません。
そうすれば必要な時に従業員個人個人の情報を検索して、煩わしい事務手続きが簡略化されることでしょう。
じゃあ、その従業員情報は誰がいつ入力するんだい?
という事実に気付かずに
「そういう事は会社が当たり前のようにデータベース管理している」
と思い込んでいる方が非常に多いです。
特に若い世代、デジタルネイティブ世代からしたら
従業員情報をデジタル管理していないなんてことはあるはずがない
そう考えていると思います。
今や大学の授業だってアプリで管理する時代ですから
よもや企業が従業員の情報をシステムで一元管理していないなんて…
あるんですよ。それが。
企業の大小は関係ありません。
大企業でも、こうしたバックオフィス系の管理が後回しにされ続けてしまっている所は沢山あります。もちろんあるべき姿は一元管理ですが、
・従業員1人1人のフォルダをドライブ上に作って管理している
・入社時の書類はスキャンしただけでデータ入力していない
・そもそも紙管理
ハッキリ言ってこんなのは序の口です。
「うちの会社はお恥ずかしいんですが遅れてて…」
と仰る方が相談時には多いのですが、全然そんなことありません。
普通です。
管理側の問題だけでなく、従業員側の不手際によって起こっている問題も多々あります。
・数年前に引っ越したけど住所変更していない
・数年前に結婚したけど知られたくないから隠していた
などなど、これらは数カ月くらい何も言われないと
「なんだ問題ないじゃん」みたいな認識になっている人が多いです。
が、それは問題が顕在化していないだけで
何かあった時に大目玉を喰らうリスクを毎日積み上げているに過ぎません。
なので最初のお話に戻るのですが
「スプレッドシートで管理しようにも、そもそも管理する元データが無いんだから無理なんですよ」
というのが伝わらない人が結構います。
は?なんで?元データが無いなんてそんなわけないでしょ。
元データから関数で引っ張ってくれば何か変更があっても修正効くじゃん。
なんでいちいちそんな非効率な事してんの?バカなの?企業のくせに!
という感じでネチネチ言われたわけですが
誰かが入力しなかったらデータベースが出来上がるわけないじゃないですか
30分ちかく平行線でしたね。苦い思い出です。
こうした「情報の集積と管理」は当たり前ではありません。
学校、会社、国家といった組織と言えども、大量の人員のデータを管理するのは大変ですし、手が回っていないが故に起こっていることは沢山あります。
感覚的に「管理されているはず」と思っているものが実は管理できていないことは沢山あります。
年末調整だって、どうしてやるのか?といえば
国が正確な国民一人一人の収入を把握できていないからです。
豊臣秀吉が行った「太閤検地」が以下に画期的で超スタミナのかかる公共事業だったのか。
今「キングダム」で秦のやろうとしている「戸籍調査」がなぜ一大事業なのか。
組織が大きくなると管理は行き届かなくなります。
行き届かなくなってから改革を始めると、しんどいプロジェクトになります。人事総務などの課長~部長クラスの人間が大抵の場合リーダーとなって、この大改革に挑まされますがそこには苦難の連続です。
どうしてこうなる前にもっと早く手をつけなかったのか…
管理部門にBPRのための予算がおりてくるのは大抵の場合、問題が顕在化してからです。
制度改革、システム改修、シェアードセンター化、アウトソーシング化…
こうした事を、会社が大きくなる前に先手を打てる経営者は敏腕です。
ただ多くの場合は会社を大きくすることが優先されてしまい
「ちょっと頑張れば取り返しの効く」
ポイントを過ぎてから問題が顕在化します。
「昔はこのポンコツシステムで管理できたけど、組織が20人、30人って大きくなって無理が出始めたのを、マンパワーで何とかしている」
この言葉を私は何度聞いたか分かりません。
さいごに…
BPRコンサルタントが思わず愚痴るこのような状況を回避するために、早くから手を入れておいて頂きたい事をまとめます。
問題は顕在化する前に「予防」するのが一番です。
むし歯の治療は痛みを伴いますし、放っておくと歯を抜くしかなくなります。
企業経営に例えれば、「人が抜ける」くらいのインパクトということです。
コンサルタントと言う名の歯科医のお世話にならなくとも、日々のセルフケアで済ませられるうちに何とかした方がお金も時間も節約できます。
人事、総務、労務、経理、営業事務などのバックオフィス領域において
その為にやっておいて欲しい事がこちら
マスターデータを作り常に最新化できる状態にしておく
従業員からの問い合わせ窓口を絞って定量報告させる
フォルダ管理の全社ルールを作り徹底させておく
この3つが出来ている会社/現場は業務上のミスがそもそも起き辛いです。
大事なところが太字です。
マスターデータは作って終わりではなく、従業員の情報は常に変動しますから、毎日触って更新できるように管理しておかねばなりません。
(必然的にシステム投資をした方が管理しやすくはなります)
従業員からの問合せをバラバラと全員が受けている状態よりも、どのような問い合わせが何件来たのか?日計表を作って集計する習慣を作っておかないといざ会社が大きくなりヘルプデスクを作ろうと思っても余計な手間がかかるだけでなく「問合せしてくる側=全従業員」が反対勢力化しかねません。
フォルダ管理のルールも早いうちに設計すべきです。また全社の共通ルール化しないと生産性の低下を招きます。よくある例として
〇〇本部➤アイウエオ順に顧客フォルダがある
△△本部➤業界別に顧客フォルダがある
みたいな感じです。従業員の異動が起こるたび、同じ会社の中で環境適応しなければならないし、組織変更で2つの本部が合併したりするともう手が付けられません。
「2019年以前の顧客提案履歴はこの過去フォルダから探せ」
みたいな新たなルールが発生し、業務整理など夢のまた夢となります。
会社や事業は続けていればいつか大きくなるもの…(と信じて)
早いうちから「イケてる管理」を始めておくことで
従業員が不要なストレスを抱えず生産性高く仕事ができるようになります。
そうなったら私の仕事は無くなりますが、それで良いかと思います。
コンサルタントなんて本来不要なもの。
大規模な業務改善が必要になるために、コツコツ綺麗な環境を整えていきましょう。
以上、コンサルタントの愚痴でした。
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