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やばい、まじやばい!  由美ちゃんが結婚するって言い出した

やばい、まじやばいよ。
何がやばいって、由美ちゃんが、俺に相談なしで、結婚して寿退社するとか言い出した。
いきなり結婚とか言われても、まだ心の準備できてねーよ。
俺としては共働き希望なんだけどな。 どうするよ。

前々から結婚してしてアピールはあったんだよね。
俺としてはもっと先のことだと思ってたんだけどな。
まさか、今結婚したいと言い出すとは思わなかったよ。

前々からっていつからかって?
由美ちゃんが隣の管理課に配属されたじゃん、新人研修終わって。
で、うちの販売課にも来て「末永くよろしくお願いします」って言ったじゃん。挨拶で。
「これじゃお嫁入りの挨拶ですよね」って自分で突っ込んで、みんな爆笑したじゃん。

あれ、俺の目をじっと見て言ってたんだよ。実は。
俺さ、新人研修の講師やったじゃん。営業のパート。
あれで運命感じたんだろうな。
いきなり結婚したいアピールを配属挨拶でやるなんてな。びっくりしたよ。さすがに俺も。

それから、由美ちゃんの結婚してアピールがすごかった。

最初納豆ダメだったろ、由美ちゃん。 あれすぐに頑張って食べれるようになったじゃん。
俺の自家は水戸だかんな。親との同居も視野に入れてますアピールだよ。

髪もばっさり切ったじゃん。短く。メガネもかけだしたし。
俺がショートのメガネっ子キャラが好きだって知ってんだよなー。

由美ちゃんのが設定した書類ロッカーの暗唱番号知ってる? 
0804なんだよ。
これ決定的。何を隠そう、俺んちの郵便番号の下4桁。
自分の住所も同じにしたいアピールよ。

もう、ホントにまいっちゃうよ。

さすがに俺もそこまでされると、由美ちゃんとの結婚考え出したよ。
最初はそんなでもなかったけどさ、だんだん俺もその気になった。
俺ももう35だし、まだ独身楽しんじゃおうかなって思ってたけど、まあ結婚んしてもいい歳だしな。

うちの課で飲み会やるとさ、いつも由美ちゃん来るじゃん。
あれ、もう完全な俺目当て。
で、絶対俺の対角線側に座るわけ。隣とか正面とかじゃなくて。気づいてた? 
一番遠い対角線の席に座っちゃってさ。もう俺のこと意識しまくり。
俺が見ると、ちらっちらっと俺をちら見るわけ。必ず。
わかるでしょ、私の気持ちは・・・ みたいな目で。見るわけよ。
やっぱ、隣り同士で座ったりするとあからさまだもんな。
そういうところが奥ゆかしいんだよ。由美ちゃんは。

で、用もないのに、由美ちゃんちょくちょくうちの課に来るじゃん。
あれも俺に会いに来てるわけよ。 
お前とかといつも気楽に話してっけど、そういう時も俺に好き好きサイン出しているのよ。俺をちらちら見ながら。
で、たまになんか困ってるときに、俺が手伝おうかって言うとさ、他の女の目を気にしちゃって、「全然、大丈夫ですから」っていつも言うんだよ。
女ってよく見てっからな。他の女のことを。女の敵は女ってホントだな。

この前のバレンタインも、うちの課に来て義理チョコ配ってたじゃん。お前ももらってたろ? 
で、俺だけ例によって特別扱い。
これ、余っちゃたんで・・・とか言っちゃってさ、いかにも余りものみたいな体で俺にはチョコ渡すわけ。
そこまで周囲の女の目を気にするんだって思ったよ。

でも、あれが結婚の申し込みとは気づかなかったな。さすがに俺も。
余りものってのを自分にひっかけてたんだな。今から思えば。ちょっと俺も鈍感すぎた。

で? 今日は何? 主任、話がありますって言ってたろ? 
へえー、結婚すんの? お前も?
誰? 会社の子? え? 言えない? なんで? まあ、いいか。
あっ、俺、会社関係の結婚式出ない主義だから、無理して呼ばなくていいから。どうしてもっていうなら行くけど。
でも、俺ん時は来てくれよ。お前、由美ちゃんとけっこう仲いいじゃん。


ねえ、私がなぜか自分と結婚するって思いこんでる超キモいおやじに、オメ―じゃねーよ、俺だよってちゃんと言ってくれた? 
え? 今日は無理だったの? なんで?


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