やばい、まじやばい! 僕がプロポーズしたメアリーは84歳だった
やばい、まじやばい!
何がやばいって、もう見た目では男も女も歳がわからない。
歳を取っているんだか、若いんだかもうよくわかない。
ステムセル(幹細胞)を活用した皮膚再生が実用段階に入ってからの皮膚移植技術の進歩は目覚ましいものがあった。
そのほとんどが、火傷を負った患者への皮膚移植を必要とする形成外科領域でなされたものではなく、もっぱら自身の外見への美的探求を求める顧客によって収益を支えられている美容整形領域でなされたものだった。
特に若いドナーセルによる皮膚移植技術、すなわち若い人から接取したステムセルで作られた皮膚の移植技術は、もっぱら美容外科医によって確立されたといっても過言ではないだろう。
その結果、美容整形業界は空前絶後の成長をとげ、今や世界で15億人以上が美容上の理由でドナーセル皮膚移植を待っている状態だ。
今や20代、30代の皮膚を持つ後期高齢者が普通に街を歩いている。
もはや見た目だけは何歳なのかさっぱりわからない。
僕がプロポーズしたメアリーも、見た目は20代なのに、実年齢は84歳だった。
みずみずしい肌を持つ美しい老婆なのだ。
残念ながら、皮膚以外の若返りはまだ無理だ。
老化を引き起こす染色体の先端にあるテロメアの喪失速度を落とすことはできるようになったが、テロメアを維持すること=老化を止めること、そして長くすること=若返ることはまだできていない。
テロメアの伸長に関わっているテロメラーゼ酵素を出す遺伝子をまだ人類は自由に制御できないからだ。
だから、老化はしにくくなくなったが、若返ることが可能になるのはもっとずっと先の話だ。
なので、メアリーも見た目は20代のすごい美人でも、その立ち振舞いは完全におばあちゃんだ。
歩くとよぼよぼしているので杖が欠かせない。
最新テクノロジーはさっぱりわからない。
ネットバンキングで振込みなんて全然できない。
「ごめんね、こんなおばあちゃんで」 それがメアリーの口癖。
それに対し僕はいつも黙って首を振って優しく否定する。
そして心の中でこうつぶやく。
そんなことはないよ、お金持ちのメアリー。
僕も外見は30代だけど、実年齢は92なんだから。
そして現役最高齢の結婚詐欺師なんだから。
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私事ですが、また静養することになりました。
すごく楽しかったです。
マジバイ
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