【マッチングアプリで26人と出会い、6人とお付き合いし、全員とお別れした話】④動帝ひびきくん2/2
まさかのクルージングデート
初デートの後、すぐに2回目のデートを提案してくれた動帝くん。
みなとみらいが好きという私の話を覚えていてくれて、場所はみなとみらいになりました。
もちろん、時間帯はお昼から。
デートまでの間も1日2〜3通はLINEをくれたので、忙しい中でも私のことを頭の片隅に入れてくれていることが伝わり素直に嬉しく感じました。
そしてデート当日。
この日も、暑さで遠くの景色がゆらゆら見えるほどの猛暑日でしたが、動帝くんは上下スーツ姿。
「あ、動帝くん、こんにちは!今日も暑いですね…ジャケット、気にせずに脱いでくださいね」
さすがに気になってそう声をかけると、
「あっ、お気遣いありがとうございます。暑いですが、今日これから行くところはスーツがいいかなと思って」
…え?ただみなとみらいをお散歩するだけじゃないの??
特にデートプランを立てているわけではなかったので、戸惑う私。
「ぜひ、まいこさんを連れて行きたいところがあるんですよ。これから案内するので、楽しみにしていてください」
またサプライズ…!
サプライズ好きだなぁ。人を喜ばせることが好きなんだな。
みなとみらいを知り尽くしている私でしたが、目的地の検討はつかず、ドキドキしながら彼の隣を歩き出しました。
そして…たどり着いた先は、大桟橋。
私の大好きな場所でした。
「今日は、ロイヤルウイングっていう、大型船のランチクルーズを予約してみました。僕はあまりこの辺り詳しくないので、船で一周してみたいなと思って」
ロイヤルウイング。
一度は乗ってみたかった、プチ豪華客船。
一気にテンションが上がります。
そういえば、LINEでの話の流れで、乗り物酔いをしないか聞いてくれていたな。
「えっ?!いいんですか?!ロイヤルウイング、ずっと乗ってみたかったんです。大桟橋から出港するのを見るたびに憧れていて」
「それは良かったです!あまり揺れないみたいだし、ランチも景色も楽しみましょう」
そうして、昼間でもキラキラ輝く豪華客船に、二人でウキウキしながら乗り込んでいきました。
輝く花束と愛の告白
初めて入った、ロイヤルウイングの船内。
赤いじゅうたん、豪華なシャンデリア、大きなグランドピアノにイケメンのウェートレス。
想像通り船内もとても豪華で、なんだかセレブになった気分です。
あれ…でも、とっても嬉しいはずなのに、なんだか違和感が。
動帝くんと付き合ったら、デートは毎回、こんな豪華なのかな…。
ランチコースじゃなくても、ホッと落ち着けるカフェで、趣味とか、これからやってみたいこととか、子どもの頃の話とか、そんな他愛もない話をしてまったりするだけでも、十分なのにな。
なんなら昼飯、ラーメンでいい。
本当はもっとカジュアルな服装で来て欲しいし、そんなにピシッとキメてこられたら、私も常に背筋を伸ばして綺麗にしていないといけない緊張感から抜け出せない…。
いやいや。そんなワガママばかり言うのはダメだ。
こんなにも良くしてくれる動帝くんに大変失礼ではないか。
複雑な感情が私の心を揺さぶりますが、ひとまず、目の前の優雅なひとときを楽しまなければと気持ちを切り替えます。
「本当に豪華な船内ですね〜!非日常的です」
「僕もこんな大きな船、初めて乗ったので新鮮です。デッキにも出れるようなので食事のあと一緒に行きましょう!」
テーブルについて間もなく、前菜が運ばれてきました。
またもや、フォークとナイフが色々並んでいますが、学習した私はもう怖くありません。
窓から見える景色や、お料理の感想などを話しながら食事を終え、無事にコーヒーとデザートにたどり着きホッと胸を撫で下ろしていると、
早速動帝くんが言いました。
「風が気持ちよさそうなので、良かったらデッキに出てみませんか?」
「そうですね!行ってみたいです」
船上から一望するみなとみらい。
憧れが現実となり、ワクワクします。
っと、ここで気になることが。
実は待ち合わせの時から気になっていたのですが、動帝くん、何やら大きな紙袋を持ってきているんです。
男性で、財布と携帯以外にデートに持ってくる大きなものって…。
期待というより、なんだか嫌な予感。
気にしないようにしていましたが、やはりその大きな紙袋を持ってデッキに上がったので、私の予感は的中しました。
中身はもちろん分からないけど、間違いなくプレゼントだろう…。
階段を登り、パッと目に飛び込んできたのは、真っ白で大きな入道雲と、どこまでも青く広く続く横浜港。
潮の匂いと生暖かい風。
最高のロケーションに思わず感動してしまいました。
「まいこさん、あそこに日陰のベンチがあるので座りませんか?」
あ…。いよいよその紙袋のお披露目かな。
なんでしょう。期待していいことなのに、気持ちが乗りません。
だって、あなたが私を良いと思ってくれているのはきっと、私が上流階級のフリをしているから…。
二人でベンチに腰掛けると、動帝くんはまっすぐ私の方に向き直り、両膝の上に乗せた手をぎゅっと握りながら言いました。
「あ…!あの…まいこさん。僕、まいこさんと初めて会ったときから、も、もう、まいこさんとけ、結婚したいと思いました。良かったら、あの、結婚を前提に、ぼ、僕と、お付き合いしてくれませんか?」
吸い込まれそうなほど真剣な眼差しでした。
そして、あの大きな紙袋から取り出したのは…。
お洒落なクラフトボックスに入った、色とりどりの花束でした。
しかも、花束の周りに、小さな豆電球のついた電線が張り巡らされているんです。
「これ…まいこさんに似合いそうな花だなって思って。スイッチをつけると、光るんですよ、ほら」
そう言ってカチッとボタンを押すと、花束の周りの豆電球が、
ピカピカチカチカピカピカチカチカピカピカ……
すごい…こんなのあるんだ。
アプリで会って2回目でほぼプロポーズ。
ピカピカ光る花束と、恋に落ちた盲目な瞳。
私の方がパニックです。
「えっ…!なんかそんな、えーっと…。こんなに色々良くしてもらって、すごく嬉しいです。でも、なんだか私では動帝くんに釣り合わないような気がして申し訳ないような…」
絶対に、「そんなことない!」と言われるのは分かっていましたが、アニメかマンガのワンシーンにありがちな単純な言い訳しか出てきません。
すかさず動帝くんは猛アタック。
「そそそんなことはありません!!それはむしろ僕のセリフです。至らないところばかりの僕ですが、絶対にまいこさんを幸せにすると約束します」
あ…ダメだ。ここまで追われると、逃げたくなってしまうのが私の悪いところです。
そしてさらに良くないのが、自分の気持ちに気づいていながら、それを隠してしまうところ。
「あ…えーっと…そんな風に言ってもらえて嬉しいというか、光栄です。私の方が至らないところばかりですが、こんな私で良ければ、ぜひ……」
引きつった顔で、そう答えました。
(あぁ、いつかの硬杉まじめくんのときと同じことをしている…)
「ほほほ、本当ですか!!う、嬉しいです。ありがとうございます!!!」
目と口をぱあっと開いて、全身で喜びを表現する動帝くん。
ああ…申し訳ない。申し訳ない。申し訳ない。
でも、どうしてもこの状況で断ることができなかったのです。
だって、断ったら、
このピカピカの花束は誰が持って帰るの…?
下船するまでの時間はどうやって過ごすの…?
相手に失礼と分かっていながら、その場しのぎのためだけに告白をOKするという、
最低なことを二度もしてしまいました。
人生で一番の快挙を成し遂げ喜びに満ち溢れた動帝くんと、
罪悪感にさいなまれながらも何とか笑顔を保つ私。
下船までの時間が鬼のように長く感じました。
初めての手繋ぎ
「えー、まもなく、大桟橋に到着します。お忘れ物のないようお確かめください」
はぁ〜〜。やっと出れる!
でもこのあとどうしよう…。
もう私には、どうやって前言撤回するかしか頭にありません。
しかしこの後、動帝くんのさらなる暴走が始まります。
船を出て山下公園の方に歩いていると、突然立ち止まる動帝くん。
「あ…、あの…!!良かったら、てて手を、繋いでもいいで、しょうか…」
「あっ…あっ、手!ですね!い、いいですよ!」
そぉっと、割れ物でも扱うかのように私の手を優しく握ります。
握手繋ぎが、純白な童貞であることを顕著に表していました。
そして私は思ったのです。
女性と付き合ったことがないって、こういうことだよね…
手を繋ぐのも、キスするのも、青春真っ盛りのピュアな高校生のように、
全部全部、初めてなんだ。
もっと言えば、その先は…
私が誘導するの…?ここがこうで、実はこうなってるんだよって、私が教えてあげることになるの…?
ちと、無理かもしれない。
というか、無理だ。
お付き合いの経験がないこと自体は全然悪いことではないし、何もかも初めてで緊張するのも、ぎこちないのも、それはそれで可愛らしい。
はずなのに、なにせ動帝くんに自分の素を1ミリも出せていない私にとっては、
キスとその先も、上品でピュアで可愛い自分を演じなければならない気重な感情の方が、
ずっと勝ってしまうのです。
私の手を握る力がどんどん強くなって、気づけば動帝くんの手のひらは汗でビショビショでした。
「あっ…あ、汗かいちゃってごめんなさい!こ、こういう時って、ふ、拭けばいいんですかね」
そう言ってスーツのポケットからシワひとつない綺麗なハンカチを取り出し、手汗を拭い、また優しく私の手を握りました。
大道芸で婚約を宣言
山下公園に到着すると、ある場所に人だかりができていました。
覗いてみると、それは大道芸。
真っ赤な衣装を着た派手なおじさんが、真っ赤に燃える炎がついた太い木の枝を、口の中に入れて火をかき消すというなんとも危険な芸を披露していました。
「はーい!みんな盛り上がってくれてありがとーう!じゃここで、どなたかに、この真っ赤に燃える炎を僕の口の中に突っ込んでもらおうと思いまーす!」
なんて危険なんだ!と二人でびっくりしていると、
この暑いのに上下スーツ姿の動帝くんがよほど目立ったのでしょうか、
大道芸人が動帝くんを指名してきました。
「おっ、そこのスーツのイケメン!ちょっと僕の手伝いをしてくれないか!こっち来てこっち来て!」
周囲の大勢の観客の視線が一気に動帝くんと私に集まり、
戸惑いながらも観客の輪の中心へと歩いていく動帝くん。
「スーツ似合ってるね!今日はデートかい?何かいいことあった?」
「あっ、えーっと。今日は実は、結婚したいと思ってる女性に告白してきたんです。無事にOKをもらえました」
…!!!
まじかよ!!!
観客の視線が今度は私に一点集中。
「おっ!!それは最高な日だねぇ〜!おめでとう!それじゃあ、その記念すべき日の思い出に、この炎を僕の口に突っ込んでくれ!」
動帝くんは言われるがままに、真っ赤に燃える炎の灯った太い枝を恐る恐る大道芸人の口に突っ込み、
無事に火をかき消した大道芸人と共に拍手喝采を浴びていました。
公共の面前で、ほぼ婚約のようなことを宣言させてしまった罪悪感。
帰りたい…。
「いや〜、恥ずかしかったけど楽しかったです。まいこさんといると色々なことができて嬉しいです!」
ひと仕事終えて興奮した様子の動帝くんと公園でしばらくゆっくりしたところで、明日の仕事に備えて早めの帰宅を提案してみました。
「今日は人生で一番、幸せな日でした。絶対に幸せにするので、これからよろしくお願いします!」
「こちらこそ、今日はありがとうございました。いつも色々良くしていただいて本当にありがとうございます」
当たり障りのない返事をして、その日はさよならをしました。
私の心はもう、クタクタです。
OK返事を撤回
次の日の昼過ぎ、私は動帝くんにLINEを送りました。
そう、後出しジャンケンです。
「動帝くん、昨日は本当にありがとうございました。
動帝くんのお気持ち、とっても嬉しかったんですが、家に帰ってよく考えると、まだまだお互いを知らない段階で、結婚を前提にしたお付き合いをすることに少し不安があります。
もし良かったら、また、お友達として、お茶でもいかがですか?」
決して悪い人ではない動帝くん。
このまま関係を終わらせるのは、せっかく好意を抱いてもらっているのにもったいないと思い、
もう一度お友達からの関係スタートを提案してみました。
しばらくして既読になるとすぐに返事が。
「こちらこそ、昨日はありがとうございました。そうだったんですね。お気持ち伝えてくれてありがとうございます!僕の方は、またまいこさんと会えるなら何でも嬉しいので、ぜひまたお茶でもしましょう」
泣けるほど優しい返事でした。
しかし私は。
またすぐに、今度は友達からゆっくりスタートすれば良かったのに、
彼のLINEに返信をすることはありませんでした…。
(後々、ある人とアプリでお付き合いした際、動帝くんにすがりたくなる出来事が起こるとは、この時は想像もしていませんでした)
動帝くんと、結婚相談所で出会っていたら
動帝くんの人柄は最高でした。
高身長でスタイルも良く、相手に尽くしてあげたいという熱い想いを持っている。
そんな「良い人」なのに、なぜ私はお付き合いを断ったのか。
それは、
動帝くんといて、リラックスできなかったから。
本当の自分を出したら、嫌われてしまうんじゃないかという不安が拭えなかったから。
そしてそう感じてしまった要因は、
本当の(素の)動帝くんがどんな人か分からないまま、事がどんどん進んでしまい、気持ちが追いつかない状況になってしまったこと。
動帝くんの方も、初めてお付き合いするかもしれない女性を目の前にして、
張り切りすぎてしまった可能性もあります。
この先ずっと、スーツとドレスコードで毎回デートをするのは動帝くんだってきっと疲れてしまうでしょう。
考えれば想像がつくことですが、
初デートで高級レストランのランチコース、
2回目のデートで船上プロポーズ。
いきなり2連続でそうされると、相手によっては、私のように、逆に窮屈さを感じてしまうこともあるのです。
初デートと2回目のデートは、2時間程度のカジュアルなお食事を
結婚相談所では、初めましてのお見合いは、ホテルラウンジでの1時間程度のお茶。
その後仮交際に進んだ場合の初デートは、高級すぎないカジュアルなお店での、2時間程度のランチをおすすめしています。
そして2回目のデートも基本的にお食事のみ。
2回目となればディナーをおすすめしていますが、
半日以上のデートをするのは出会って3〜4回目のデートからとしています。
理由は、特に初回と2回目のデートでは『物足りなさ』をお互いに感じる程度の内容と時間がベストだから。
初対面の相手といきなり何時間もおしゃべりするのは、
よほど気が合った相手でなければ疲れてしまいますよね。
「もっと話したかったな」「時間があっという間だったな」くらいにお互いが感じるのが、次につながる1番の近道です。
そして、相談所では、
結婚を前提にお相手を一人に絞ってお付き合いする『真剣交際』は、出会ってから4〜5回目くらいを目安としています。
真剣交際に移行する前には必ず、双方の相談所のカウンセラーがそれぞれの会員に気持ちの確認を行い、ズレや温度差がないことを確認したうえで、男性会員に告白を行なっていただきます。
仮交際でも真剣交際でも、会員様には、デートをしたら必ず『デート報告機能』を使ってカウンセラーにデートの振り返りをしていただき、
そこでお二人の気持ちにすれ違いが生じていれば、双方のカウンセラー同士が協力し合い、軌道修正のためのフォローを行います。
もしも、相談所の仕組みの中で動帝くんと出会っていたら、アポを含めて3回は食事デートができ、会って2回目にして結婚前提のお付き合いに進展することもなかったように思います。
そして私の心のモヤモヤや不安も、カウンセラーを通じて動帝くんに伝わっていれば、
心優しい動帝くんはきっと、デートの仕方を変えてくれていたでしょう。
女性の前だとつい暴走してしまいがちな男性、
良かれと思ってやっていることがいつも裏目に出てしまう男性。
彼らは往々にして、誠実で、真面目で、心優しい傾向にあります。
そんな彼らは、自己流で婚活するよりも、プロに任せて、戦略的かつ効率的に婚活するのが結婚への一番の近道です。
どうか、今、あの純白で優しい動帝くんが、幸せでありますように。
以上で、動帝ひびきくん②暴走する動帝くんと船デート編
終了です!
次回は、『仮面梨(かめなし)ウソツキくん』編をお届けします!お楽しみに♪
♡いいなと思ったらスキ(ハートマークを押す)していただけると励みになります!
★弊社、結婚相談所 結light(ユライト)のHPはこちら
婚活、恋愛に関するご相談、無料で承ります!お気軽にお問合せください♡