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ハーブショップ2
そして最後のP店。1番お世話になった店だ。
外観も夜の店の地域にあったからオシャレなのよ。電光掲示板もあって入り口は普通の夜の店みたいな感じ。
ドア開けると同時に『すいませーん』って言ったんだけど。客が入れるスペースは約2人分。すれ違うことも難しいぐらい狭かったが、店内は外観と同じくオシャレだ。
お香の香りも心地いい。
奥から『いらっしゃいませー』と店員がヒョコッと現れる。
!?!?
ヤクザだ。この人絶対ヤクザだ。
1件目は廃人。2件目は愛想の無いアフロ。3件目にヤクザ。
内外装から見てインテリ系かなって思ってたから意表を突かれた。
ヤバい。超怖い。
見た目は顔は昔ながらのヤクザ顔に色の付いたサングラス。体型は中年。空いてる服から見える刺青にビビりまくって縮こまってる俺を見て、気さくに話かけてくれるヤクザ。
世間話から始まって俺の気持ちも楽になって来た。口上手いなー。騙されないようにしねーとって思いながら会話してたんだけど、そんな方ではなかった。
途中で息が詰まるほどの大爆笑を掻っ攫った俺は向こうにも気に入られたらしい。
『これオマケで付けてあげるよ』って言って売ってるハーブほぼ全種類1gずつくれた。
『ホントすか?最高すぎます。もう吸ってみてもいいですか?家まで待てないっす』
向こうも筋金のジャンキーなのだろう。ジャンキーにとって一緒に吸える仲間がいるってメチャクチャ嬉しいんよ。
俺はタバコの先の葉を抜いたところでヤクザが何してんのってきいてきた。
『こうやって吸うんじゃないんですか?』
呆れた顔して裏から新品のパイプをプレゼントしてくれた。
プラスしてアルミホイルでパイプの作り方も教えてくれて、出来上がった立派なアルミホイルパイプもくれた。
俺は『すげー。手際の良さから職人みたいっすね』って感動の眼差しを送った。
では、さっそく。
パイプの火皿にもらいたてのハーブをパンパンに詰め火をつけ、一気に目一杯肺に煙をプレゼントした。
ヤクザに教えてもらったように肺に入れたら限界まで息止めてから吐きなという助言通り限界まで息を止めフゥーと吐く。
ー身体から一気に力が抜け脱力する。
ー後頭部あたりの脳みそが後ろにグワーって引っ張られる。
ー目はブレて視界はヨレる。
ー体全体の毛が逆立ったのか全身がサワサワされてるかのよう。
ー見るもの全て模様や飾り物が一斉に踊り出して見える
あぁー最高だ。最高すぎる。
最高が最高で上書きされる。
ふと、ヤクザを見るとパイプに火をつけて煙を吐いていた。
お互いの顔を見ると笑いが止まらない。ずっーとずっーと笑ってる。
落ち着くぐらいまで時間を経て、ここでやっとお互いの自己紹介をした。
ヤクザの彼はNさんというらしい。
『また来てね』
ってニコニコしながら両手を振られ見送られた。
歩きながら帰ってると感動と感謝に包まれてた。
だってそうだろ?
タダ同然で4種類のハーブと新品のパイプ。ケミカルについての知識をありったけ教えてくれたんだ。最高だ。ありがとうNさん。
幸せを噛み締めながら俺は家についた。