好き好き大好き/戸川純(1985)(2019/9/8)
【レビュー】
80年代最強の病み系アイコン、戸川純。
活動したり情報が途絶えたりと、詳細が不明ながらも生存確認をしてほっとする、という状況が長らく続いておりましたが、ここにきて動きが活発化し、ついに、ヤプーズとしての活動を再開、8月17日にはライブ・レコーディングを敢行(一早い発表を期待。)。
情報を仕入れるのが遅く、やむなく上記ライブには参戦出来ず、代わりに、過去作をちょろちょろ聴いている昨今でありますが、今回は、1985年発売の本作。
TOTOのCM等を経て、恐らく、この頃が戸川純が一番お茶の間に食い込んでいた時期。
80年代ということもあり、こういった不思議ちゃん系を受け入れる度量があったのでしょうが、いかんせん、この人は美大に巣食っているような単なる「なりたがり」ではなく、リアルに当落線上のお方。
それに加え、アルバムも、統一的なところはほぼ無く、唯一、ヴォーカル戸川純、ということでトータルアルバム風に仕立て上がっている、という何とも不思議な作品。
「理屈っぽいんだもん」と、80年代でも赤面では済まされないような叫びが耳から離れない1、軽く「愛してるって言わなきゃ殺す」とリアル・ストーカーの資質が垣間見える2、意味不明ながら名曲の5、いきなり男を殺す7と、30分弱ながら疲弊しきってしまいます。
ちょっと触れ難いキャラの方なのですが、80年代の徒花でもあり、でも、当時リアルタイムで聴いていた人間にとっては忘れ難い、そんな作品であります。
【結論】
★4.5。
個人的な思い入れが強くて、の高得点ですかね。
ちなみに、どこかのブログで見て膝を打ち、以前も少し触れたのですが、戸川純を、極限までに商業的に昇華したのが初期の椎名林檎なわけで。
つまり、戸川純が東京オリンピックのコーディネートをしていた可能性もある、ということですね。
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