【時代の曲②】およげ!たいやきくん/子門真人(1975)(2024/6/23)
【レビュー】
Questlove 提唱の、各人の「時代を理解するために最も重要な10曲」、2曲目。
1975年発売、Wikipedia によれば売り上げ450万枚以上。
シングル売上歴代1位、当然、この先も破られることはないわけです。
当時、私は4歳ですが、ポンキッキを見ていたこともあって、この曲は鮮烈に覚えていますし、それこそ毎日のように耳に入っていました。確か、実家にはシングル盤もあったはず。
一定の年齢以上の人は、それこそほぼ100%知っている曲でしょう。
その意味で、間違いなく「時代」を反映した曲なのですけど、それ以上に、本作が印象深いのが、歌い手の子門真人の印税問題。
話を聞いたのは70年代後半になってからだと思うのですが、子門真人が5万円しかもらえなかった、という噂は、当時の小学生にも伝播していました。
5万円・・・1枚あたり0.01円強。
これが本当かはともかく、どうも、完全買取の扱いだったことは確からしく、会社と比して収入につながらなかったのは事実のようです。
小学生が5万円の貨幣価値は理解していなかったと思いますが、契約の恐ろしさを若年層まで知らしめた都市伝説なのであります。
あと、ある事態に追い込まれたら、何がなんでもゴネなきゃだめだ、ということも。
古くは歌い手は歌の職人さん、あとは会社任せ、という意識が一般的だったと思うのですが、そレに対する疑問を一般人にまで知らしめるきっかけとなった、まさにある意味時代を反映する一曲なのであります。
なお、B面は「いっぽんでもニンジン」。
これもまた名曲で、歌い手はなぎら健壱。
ですが、まあ、それも良く聞いてみたら、ということであり、A面もB面も、それまでのヒットチャートの常識からして、爆発的に売れるとは思わないかもしれませんね。
契約書は舐めるように見ましょう、という教訓でした。