マッチング攻略note② 病院選びで一番大切なこと
こんにちは内科専攻医をしております、わんと申します。
m3.com(エムスリー)のメンバーズメディアにて「専攻医が語るマッチング攻略法と病院選び」というマッチングの攻略法についての連載記事を書かせてもらっています。以下、記事のリンクです。
このnoteはm3.com(エムスリー)で書ききれなかったことを補足するnoteなので、まずは以下のm3.com(エムスリー)の連載記事を読んでいただきたいです。
第1回記事:『「知らなかった」では損する、マッチングの落とし穴(ダイジェスト記事)』
第2回記事:『候補は実に1000以上、初期研修先探しをどう始めるか』
第3回記事:『知らぬは損、研修医が「成長できる病院」の選び方』
第4回記事:『医学生必見!進路、キャリアに繋がる病院の選び方』
第5回記事:『額面給与は一緒でも…本当に稼げる病院はココが違う』
第6回記事:『初期研修前に知りたかった! 労働環境の6つの視点』
初期研修で最も大切なこと
前回のnote(『マッチング攻略note① 勉強になる、成長できる病院の選び方』)では第1回〜第3回の記事の補足として、「成長できる病院の選び方」について書きました。
その後第4回〜6回の記事を通じて後期研修以降のキャリア、お給料、労働環境について書きました。
ここまで色々な要素を書いてきまし、どれも大切な要素だと思っています。しかし、研修病院を選ぶ上で結局一番大切なポイントは何でしょうか??
僕の中で答えは決まっていて、間違いなく「無事に初期研修の2年間を終えられること」です。
少し意外に思うかもしれませんし、そんなことより少しでも多くの経験や指導を受けて成長したい人、給料の高い病院に行って貯金したい人、中には結婚相手を見つけることが大切な人もいると思います。
初期研修は多大なストレス
しかし、現実に、初期研修の2年間はとんでもないストレスがかかります。特に医学科6年生の後半はほとんど実習も無く、マッチングとオスキーの後は国家試験の勉強さえしていれば良いので生活リズムが崩壊している人にとっては朝起きるだけで少し大変でしょう。そして、最初は病棟で飛び交う略語の意味も、病棟ルールも分からず理不尽に怒られることの連続です。毎週のように当直があることの体力的な負担もありますし、慣れた頃には次のローテーションでまた新たな人間関係や業務で多大なストレスがかかります。そんな生活ですから、抑うつ状態になり休職・退職してしまう人は珍しくありません。実際僕の初期研修の同期も休職した人は複数いて、なんとか全員初期研修は終了できましたが、全国規模で見るとそのまま退職してしまう人も珍しくはありません。学生の頃は誰よりも部活も勉強も頑張って成果を残していた人も例外ではありません、全員にそのリスクはあります。
初期研修は終了できればある程度勝ち
逆に、「初期研修を終えさえすればある程度その後の人生はどうにかなる」という面もあります。
もちろん、初期研修をどれくらい頑張ってきたかで後期研修の初期の急変の対応力や、所見や検査を解釈する能力など差がつくのは間違いないです。しかし、後期研修以降の頑張りでいくらでもカバーできますし、日本においてはどこも医師不足なので、初期研修を終えてさえいれば大体どこでも雇ってくれます。(都内のマイナー科など一部コネが必要な所もありますが。)
逆に急性期病院には疲れてしまって、もう少し落ち着いた生活を送りたいという方は健診や寝当直などの負担の少ないアルバイトで収入を得る生き方や、自由診療などの問診業務のみで勤務できる分野で当直や休日出勤なしの業務も可能です。むしろそういった業務の方が急性期病院で勤務するよりも給料が高いということも珍しく無いです。(自分としてはもう少し急性期病院を優遇して欲しいですが…😢)
そういった生活をするにも、まずは初期研修を終えていることが必須になります。
つまり、初期研修を終えさえすれば色んな道があり、どこでも生きてはいける、ということです。
バランスを考えた研修病院選びを
ここまで脅すようなことを書きましたが、必ずしもハイポ病院で研修しろという訳ではありません。
将来目指す診療科に必要な手技を身につけること、診療科横断的な知識を身につけること、お金を稼ぐこと、自然が豊かな土地で2年間を過ごすことなど、人によって求める物は様々で全部大切だと思います。
僕は本当に行きたかった研修病院で研修できて2年間大きく成長できましたし、そこで出会った仲間は貴重で、専攻医になった今も仲良しです。
来月は初期研修の同期とコンサートに行ったりします笑
ですが、マッチングで志望する病院を決める時に必ず「自分はこの病院の初期研修2年間に耐えられそうか?」ということを1歩踏みとどまってしっかり考えてください。具体的な見るべきポイントは第6回の記事に記載していますのでそちらも参考にしてください。そこについては妥協せずに得られる情報は少しでも得て、後悔しない研修病院を選んでください。
この記事を読んでくださっている皆さんが無事に初期研修の2年間を終えられることを祈っています。
是非今後の連載記事も読んでいただけると嬉しいです。