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MAISUZKI|経産省のみらいのファッション人材育成プログラム5組へ選定

今日は1年半ぶりの投稿を。そしてうれしいご報告。
独立してから約2年、実験を繰り返してきたプロジェクトが経産省のみらいのファッション人材育成プログラムの5組へ選定されました。

みらいのファッション人材育成プログラムHPより

改めて自己紹介を

MAI SUZKI / 鈴木舞
1998年東京生まれ。「粋」をさまざまな視点から探求し、「粋」の宿る伝統工藝「組子」を通じて「真の豊かさとは何か」を問う。完全球体組子を開発した職人のもとで技術を学びながら、部品を3Dモデル化。従来の平面的な組子の枠を越えた自立する構造としての立体組子やウェアラブルな組子のドレスなど、伝統工藝とテクノロジーの両側面から未知なる可能性をデザインする。電通を独立後、プロダクトデザインを軸に戦略企画から携わる。2022年より東京都「江戸東京きらり」の事業者の最年少パートナーとしてプロジェクトを牽引。2023年、DESIGNART U30に選抜。2024年、経産省みらいのファッション人材育成プログラムに選定。

主なメディア出演に日経MJ、TSKテレビ、AXIS、DEZEEN、designboom、The Japan Times、商店建築、装苑がある。Forbes(2023年11月号)では「デジタル時代の粋」について執筆。

まずは、何をやるか。

▼▼▼▼▼

「伝統工藝「組子」×デジタルファブリケーションの融合による循環型・ウェアラブル新素地の開発」
伝統的な木工技術「組子」を3Dモデル化し、デジタルアーカイブすることにより技術を保存します。さらにデジタルファブリケーションを活用した新たな「組子」の製造方法を見出し、再構築可能で柔軟性のあるウェアラブル素地の開発を目指します。

うーーん。難しい。という方へ向けて。(ちょっと簡易版の説明)
1.組子技術をデータ化
伝統木工技術の、木と木を組み合わせて紋様を表現する「組子」という技術の部品をデジタルツールを使用しデータ化する。
2.伝統技術のデジタルアーカイブ
これは、伝統技術のデジタルアーカイブ(デジタル上で技術を保存する)ということにつながる。
3.伝統技術とデジタルファブリケーションの融合
そしてそのデータを使用して(ここでは3Dデータ)、デジタルファブリケーション(デジタルファブリケーションとは、総務省によるとデジタルデータをもとに創造物を制作する技術のこと。今回の場合は①で作った3Dデータを用いて、3Dプリント等のツールを用い制作する技術)で新たな組子を制作する方法を見出す。
4.ウェアラブルアートの新素地にする
そして①〜③で作った組子ピースで、柔軟性のあるウェアラブルアートの新素地を開発する。

やっぱり難しいという方へ向けて。(とても簡易版の説明)
「ウェアラブルアートを組子で作ります。」

なぜやるか。

私の夢は、
世界中で「粋ダネエ。」という言葉が飛び交うきっかけをつくること。

自分が大学生の時に出会った「粋」という日本独自の感性。
それは、自分のひとつの解釈としては「どのような状況でも生きることを面白がろうとする遊び心」、つまり生きる事を楽しむヒントだと考えています。

その中でも、現在この作品で探求している「粋」は、「もったいない精神」。
昨今「ウェルビーイング」や「サステイナブル」などという他の国の言葉でさまざまな活動が語られることが多いですが、日本には古くから素敵な考え方があったように思うのです。今から約300年前の江戸時代ではあたりまえのように「もったいない」といい、ものの形が残っている限りは最後まで使うという精神がありました。これはものを大切にする文化であるとともに、モノの形が亡くなる儚さへの美しさ、を感じているようにも思うのです。

そこで通常3D形状の組子には接着剤を用いて成形するのですが、自身の開発した組子の技術を用いると、接着剤を一才使わずに成形ができるようになっています。そのため、ピース同士が本当に組み合わさっているだけで形が成形できるため、一度形作った組子を、組み替えることも、、、。全て話してしまうと面白くないので、どのように「粋」がつながるのか、今後さらに探求して、表現として形にしたいと思っているので研究していきます〜。

本プログラムに至るまでの作品の変遷

従来、襖や欄間などの平面的で硬い組子が一般的でしたが、柔軟性をもち、柔らかい立体状の組子の新素地を開発することにより、着られるアートを作ります。ここに至るまでの作品の変遷の一部をお見せします。

2022年制作、従来平面的だった組子を立体形状にした作品。素材は檜のみ。

2022年の作品。素材は木材(檜)のみ。この作品は建築×ファッション×プロダクトの境界を探った作品です。自立する構造体としての価値を提示するとともに、組子を一つの言語として捉えると、建築とファッションとプロダクトを組子で語れるのではないか、というチャレンジの始まりでした。

なぜ建築とファッションとプロダクトなのか。「プロダクトは人が両手で持てるサイズのもの」と定義をすると、「ファッションは人が一人入れるサイズのもの」「建築は人が複数人入れるサイズのもの」というように、サイズの拡張性をひとつの視点として、定義づけられると考えたからです。(あくまでひとつの解釈、定義です。)

2023年制作、伝統的な組子技法によるピースと3Dプリントしたピースを融合した作品

そこから発展させ、2023年には黒い組子の作品を。円柱部分の直径は約1500mm。人が一人入れるサイズのもの=ファッションの領域のものとして、形状はドレスをモチーフにしました。実はこの作品では、伝統的な技法で制作した木材の組子ピースと、3Dプリントし制作した柔らかい素材の組子ピースを2:1の割合で組んでいます。触るとプリンのように柔らかいものになっているのです。※2023年10月に特許出願中。

そして2024年の現在は、さらにこの精度を高め、実際に着られるウェアラブルアートにしようと取り組んでいます。
2023年時点で、柔軟性を持つ組子を作ることに成功したものの、まだ精度が高まりきっておらず問題点があったため、それを今年度解決し新素地を開発します。
それが「伝統工藝「組子」×デジタルファブリケーションの融合による循環型・ウェアラブル新素地の開発」です。

もちろんその後の展開も具体的に思い描いている未来がありますが、今日はここまで!

独立してからの2年間

2024年までの独立してから約2年の間、とにかくリアル実験を重ねていた時間でした。様々な方向性の展示会に約10展ほど出展させていただき、全ての展示会に立ちました。そこでは、いくら調べてもでてこないリアルなお客様の声やショップの方の声、展示主催者の声、同業種、異業種の方々の声などに生で触れることができました。また、雑誌、新聞、TV等、分野もさまざまなメディアに取材いただいた際に、ライターの方やジャーナリストの方、その業界のプロフェッショナルの方々と対話させていただく中で、多くのヒントをいただき勉強していました。

その実験の時間を通じて、どこに可能性がありそうか、可能性がいくつか見つかった中でどのような順番でやろうか、これだ!という自分のなりの次に進みたい道が具体的に見えました。それが昨年の冬頃に具体的に見えてきたので計画を立て、今年の春から実行しています。
その道の過程として、今年度「経産省のみらいのファッション人材育成プログラム」に参加させていただいています。

自分が見つけた道が正解かなんてわからない。
正解なんてないから、いいんです。
誰かに否定されようが、馬鹿にされようが、なにがあっても、やる覚悟ができたので、やります。


貴重なチャンスをいただいたので、一歩ずつ精一杯進んでいきたいと思います。

このプログラムの開発について、毎月更新していく予定ですので(まとまりはないですが、ものづくりの開発途中の履歴を言語化して公開するのはレアかと。)ぜひご興味がある方は覗いてみてください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
みなさんも、今週もお疲れ様でした!
MAI SUZKI / 鈴木舞



おまけ)
この7年ほど、毎年夏は離島に行き、ダイビングをしたり夕日や星空を見たり、とにかく「なんにもしない」ことを楽しんでいたのですが、今年は行けません。笑 しんどいこともたくさんあるけど、踏ん張り時な気がしているし、今は頭の中で思い描いている世界がひとつずつ実現していくのが面白くてたまらない。だからどうしても辞められない。「好き」を超えて、もの/ことづくりの何かに取り憑かれてますね。笑

関連リンク

BEYOND MAGAZINE 取材記事

日本の粋と伝統技術に学ぶ、粋プロジェクトクリエイター・鈴木舞
幼少期の経験や考えていることなど、取材していただきました。

FORBES JAPAN 寄稿記事

「日本古来のクリエイティブな感性を生かす「デジタル時代の粋」」
アナログ時代に生まれた「粋」はデジタル時代でどのように生きているのか。生かすことができるのか。探求し、寄稿させていただきました。


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