管楽器と歯並びの深い関係〔クラリネットとめぞんぬしのつながり〕ーきっと、やさしくつながれる 深掘りその③ー
私は10代〜20代の頃クラリネットを約12年やっていました☺️
しかし、悩みがありました。前歯の歯並びが悪い事です😱
管楽器は口をつけて吹くものなので、歯並びとは密接な関係があります。しかし、私の前歯は4本とも生えている角度が違い、クラリネットを吹くのが大変でした😌
食事や会話には問題がないため、歯列矯正はした事がありません。
(歯並びに関連した過去記事も一緒に貼っておきます。infoブログの記事です↓)
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中学の吹奏楽部に入ったばかりの頃。
新入生の楽器決めのために、色々なパートで楽器体験をしました☺️
吹きやすいと思ったのは、フルート、ユーフォニアム、テナーサックスでした😃逆にホルンとトランペットはかなり吹きづらかったです💦ホルンなんてマウスピースを鳴らすのにも30分かかってしまって…。
クラリネットもマウスピースでは音が鳴ったのですが、楽器本体をつけると音が鳴りませんでした😅アルトサックスも、テナーと比べてなんだか音が鳴りづらいな…同じサックス属なのに不思議、と思っていました。
そんな具合に、管楽器には初期の時点で合う合わないが結構あります。逆に、どの楽器でもなんとなく音が出せちゃう、という人もいるみたいですね。これらの現象は歯並びやあごの骨格が大きく関わっているのではないかと思います(もちろん他にも要素があると思いますが)。
1〜2週間の楽器体験の後、私はクラリネットパートに決まりました。2回目に吹いたら楽器本体を付けても音が鳴るようになりました☺️
ただ、私はクラリネットを吹くと下の前歯の角が下唇に当たり、まだ吹き方が下手だったのでとても痛かったのを覚えています😱
私の下の歯の模型↓
中学3年生の時、吹奏楽指導で全国大会に行った実績のある先生が新しく異動してこられました。当然新しい顧問になりました☺️
ある時、合奏指導中に私のフォームを見て「なんだその角度は」と強めに言われた事があります😌💦私は下の前歯の角が当たらないよう、無意識のうちに楽器の角度が上がりすぎる事があるようだったのです。
しかしそこはさすがの先生。少し後にクラリネットパートに下の歯をガードする方法を教えて下さいました。紙テープを下の歯に被せて楽器を吹くのです。
パート全体に教えていて私個人に教えてくれたのではないですが、多分私の歯並びに気がついたんだろうな、直接言わないように配慮したんだろうな、と子供ながらに思いました。
しかし紙テープの味が苦くて、二度と使いませんでした…先生ごめんなさい😅
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私は高校の吹奏楽部でもクラリネットを続けます。
基礎練習をうんと頑張ったので、下の歯の角で唇が傷つく事も少なくなっていきました。
また、吹奏楽関連の書籍で、
〜歯並びと演奏は確かに関係があるが、歯並びの悪いプロもいる。言い訳ばかりではいけない。また、歯並びは「個性」とも言える。〜
大まかに言うとそんな知識を学び、なるほどなぁと思っていました。
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高校卒業後は専門学校でクラリネット専攻生となります。
入学後から「リップガード」という、柔らかい透明の歯に被せる道具を使い始めました。高校の時から使っても良かったのですが、「しっかり基礎を固めてから使おう」と自分で決めていたため入学後からの使用にしました。
ところが、レッスンを受けていると要所要所で「もっと大きく吹こう」と言われます。先生だけでなく先輩や同級生にも言われます😱
初めは「なんで?」と思っていましたが、どうやら自分の歯並びとリップガードに原因があるらしい事を4年生の時に突き止めました。
厳密に言うと、私は「ボリュームの大きな音」は出せます。しかし、現場で求められているものは「中くらいのボリュームできれいな強い音、通りやすい音」なんです。
きれいな強い音のためには、リードの振動をきれいに圧縮する事が必要です。
リップガードは柔らかいので振動が鈍くなりやすく、リードの振動をきれいに圧縮することが難しいです。
歯並びも並んでいる方向が楽器と折り合わないと、これまたきれいに圧縮するのが難しくなります。
原因を特定した私はリップガードを外して自分の歯並びに合う吹き方を追求しましたが、その結果私には「中くらいのボリュームできれいな強い音」が物理的に難しい(不可能?)という事がわかっただけでした😌💦
リップガードより固い材質の「アダプター」を求めて歯科を三件まわったりもしましたが、私の希望「小さいもの」を上手く作って頂けず(小さいと破損してしまうそうなんです)、アダプターを使う事も断念。
専門学校ではたくさん苦悩してきました。しかし、精一杯「楽器と音の不思議」を追求した事、後悔していません☺️
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最後にもう一つエピソードを語ります😃
専門学校でのオーケストラの授業の時のこと。
私のソロがあり、伴奏にホルンが入っていた所がありました。
そこを吹いた時、先生が「ホルンはもう少し小さく、クラリネットを聴かせよう」と指導しました。そうしたら、ホルンの子が「え〜聴こえな〜い」ってわざと私に聞こえるように独り言を言ったんです…。
私はひどくショックを受けました。
私が通りづらい音をしているのも事実なんですが、それなら正々堂々と先生や私に「クラリネットが小さいんだと思います」と言えばいい。
独り言でそんな言い方をするなんて、ただの悪口でしかない…。
でも今になって考えると、ホルンも小さい音を出すのが苦手な楽器なので大変だったのでしょう。
もっと、色んな楽器がやさしくつながれる世界って作れないかな。そんな風に思います☺️
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これらの経験をしてきて、私には思うところがあります。
こんなにも複雑な管楽器と歯並びの世界。多分、管楽器の音で1人で悩んでいる人はたくさんいると思います。(相談相手がいる方は良いですけどね)
こんなに難しい問題を、「個性」という言葉を盾に悩める孤独な1人に丸投げしてよいのでしょうか?
もちろん、「個性」と言う言葉で納得出来る時はそれで良いです。でもそれで解決にならない場合は多いと思います。
私は、あいまいな言葉に逃げて幸せな道を考え出す事をやめたくないです。
例えば、管楽器指導の現場では「大きい」と「強い」をしっかり分けて伝える。これだけでも指導を受けた奏者が身体的に得意・苦手な音を自らスムーズに理解していくのに随分と役立つと思います。
また、科学の力も有効だと思います。
私は現在ではDTMに取り組んでいますが、パソコンで音を操作出来る項目は山のようにあります。そして複数の音が複雑に作用し合います。音の性質の複雑さには日々驚かされるばかりです!
管楽器を学ぶ時もしっかり音の性質を追求しなければなりません。精神論で管楽器を学ぶのは一番いけない事だと思います。
しかし、「音と科学」は非常に難しく終わりがない分野なので、1人で深く学ぶのはかなり難しいし気が滅入ると思います。
この分野の入り口を易しく楽しく伝えられるような人の存在が必要なのではないでしょうか。…私も何か出来たら良いなぁ☺️
透明廻廊メゾンでは、管楽器と人、奏者と奏者がやさしくつながれるセカイを目指したいです✨