宝石と絶望。無条件の愛。
The Happy Prince.
童話 「幸福な王子」 をテーマに “今” を生きる貴方へ。
と題して展開された23-24 A/Wのfurutaのラインナップ。
一度は読んだことがあるかもしれない童話「幸福な王子」
その物語の大ファンだったり、その逆で大嫌いだったり
微かにしか覚えていなかったり、親となり改めて知ったり...
多くのこども達に親しまれる物語には、その数分の十人十色の記憶や感想があるものです。
【Wikipedia 引用】
苦労や悲しみの中にある人々のために博愛の心で自分の持っている宝石や自分の体を覆っている金箔を分け与えていくという“自己犠牲”の物語。
と、ありますがよく言われるような 「慈悲」 のニュアンス以外にもっと「絶望」や「死」といった生き物らしさ、そして、種属や性別等に関係なく「愛」や「パートナーシップ」について
“今” と重ねて読み解くところが各所にあるように感じます。
未来はわかりませんが、今言えることはどの時代でもどんな世の中でも私たちは「生」と「死」の間では本質が変わらないということ。
王子とツバメが展開するストーリーはもちろんのこと、そもそもそれは童話であり「物語である」ということにもフォーカスするとアイルランド出身の作者オスカー・ワイルドの存在も忘れてはなりません。
彼が育った風土や光景をスパイスの要素で組み入れながら物語の外側も舞台に パラレルワードを行き来するように描いてゆます。
古書のハードカバーによく見られるビリジアン、ネイビー、ボルドーなどといった深い色合いのキャンバスに黒や箔押しされた表紙。
ビンテージタイルの精密さと手描きの無骨さが混在した建築資材をインスピレーションにはじまり
人の手が入ったモノをそのまま解釈し、丸みのある身体に四角的パターンで形成してゆくという手法を使っています。 ビンテージの複雑なニュアンスを表現するために優等生に均一に見せないために角度をひねり緻密なフォルムを形成しています。
オリジナルで制作した幸福な王子刺繍ははじめに物語のイメージのラフを描き、一つ一つの“様”を決めて配置とサイズを決めるのに随分描きなおしてしまいました。(汗)
アンティークジュエリーを模した王子の宝石
シグネットリングを思わせる 【f】 のイニシャル。
別名「飛燕草」と呼ばれるデルフィニムやコデマリの花もツバメと一緒に飛び交います。
聖母を思わせる博愛から王子の鉛のハートは コラソン (メキシコのマリア様のハート) にしました。
古書やビンテージタイルをインスピレーションに金糸(銀糸)を使用しました。
登場キャラクターのツバメ。
ツバメのモチーフは幸福の象徴として色々なジャンルに親しまれています。
特に男性性のイメージ、 オールドスクールタトゥに注目しデザインをしています。
furuta の 「ドレスを日常に。」というブランドコンセプトの解釈の中に(肉体に関係なく)男性性と女性性の両立があるからです。
また以前からスワローテールデザインをいくつか取り入れていますが 、王子=フォーマル × ツバメ (燕尾服) とかけてディティールに登場。
今まさに旬のアガパンサスの花は別名「ナイル・リリー」 または 「アフリカン・リリー」とも呼ばれています。
幸福な王子の舞台はフランス。
渡り鳥であるツバメはそこからエジプトへ向かう途中でした。
【一節】
「私はエジプトに行きたいんです」とツバメは言いました。
友人たちはナイル川に沿って飛びまわったり、大きな蓮の花に話しかけたり しています。」
英語で「Agapanthus」と書きますが、ギリシア語の「agape (無条件の愛)」 と「anthos (花)」が語源です。つまり、「アガパンサス」には「愛の花」という意味があるのです。
薄紫色はアガパンサスの花から派生したカラー、そしてラストシーンの黄泉の世界を彷彿とします。
王子が像となって初めて知った外の世界は、苦労や悲しみの中で生きる人々でした。
博愛の心で自分の持っている宝石や自分の体を覆っている金箔を分け与えていく王子は絶望と優しさの中にいます。
私たち人間は常に対極な感情を右往左往しながら生きていているから生々しくそれでいて美しいのではないでしょうか。
剥がれゆく金箔や絶望を洋服に置き換えると「多くの可能性がある」ということに気づきます。
ベルト付きでベストにもできる何wayも着回し可能なジャケットがそれに等しいと考えます。
プライベートなところでは今年に何人か亡くなった知人がおり、その中でも愛猫の命を救ってくれた旧友のお母さんが最近亡くなってしまったこともあり追悼の意も含め「生きるってなんだろう」「死ぬってなんだろう」と今一度デザインで考えることとなりました。
愛猫は拾い猫なので適当誕生日を7/7にしており今年3歳になります。
その人に助けてもらわなければこの命は儚くこの世を去っていたかもしれないのです。
私はかねてより喪服を作りたいという思いがあります。
日本には暗黙のルールの難しさがあって、 愛する人の死に目にお洒落れをしてはいけないのか。ということへの疑問は深まるばかり。
日本の喪服のギリギリ、スレスレはどこだろう。
という意識を持って作ったラインナップも王子とツバメの死とシンクロしています。
ちなみにルックはフォトグラファー枦木さんと「作者の生まれた国、アイルランド。と、いうよりむしろ、もう少し寒い国アイスランドをイメージしよう」と話して作り上げています
自分のルーツも重ねて。
私は愛知県出身で二十歳までそこに住んでいました。
ふと、ルーツを取り入れたいと思っていた際に、本当に偶然ひょんなことでご紹介いただいた瀬戸焼のstudio kaiさんに陶器釦を作っていただくことになりました。
MOEMI SUGIMURAの美しい宝石。
彼女は海外に住んで、世界に沢山散りばめられた美しい風土、色やアイデンティティを肌で体験してきた彼女は子供を育てながら世界最難関の宝石鑑別の資格 FGAを取得。
職人の手作業や最新のデジタルも取り入れながら自然の中から偶然にも生まれた奇跡の鉱物達と毎日真摯に向き合っています。
文化服装学院時代からの友人であり、ブランド立ち上げも同じくらいの時期でした。
私はシンプルに彼女のジュエリーのファンであり、いくつか購入させてもらっていますが洋服との相性がとっても良くて大好きです。
そんな彼女との取り組みで始まったジュエリーを今回ルックの中に使用しています。
furutaが愛する花や生き物日常にある美しい〝いのち〟を手描きデザインから起こして刺繍にした図案のアイデア。
それらをMOEMI SUGIMURAのフィルターを通して新しい形として生まれさせたジュエリー達。
(10月以降本格始動ですがご興味ある方はお問合せくださいね。)
Thank you.
photographer Isao Hashinoki(nomadica)
hair Tsutomu Namaizawa(B.I.G.S.)@b.i.g.s.management
makeup Tae(B.I.G.S.)
model Rin ishikawa(FLOS)@model_agency_flos
jwellery moemi_sugimura × furuta
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