フラワーエピソード⑧自分しか出来ないお花のデザインを求めて
東京のフラワースクールでオランダ人の先生からのレッスンを受講して、今までそれが正しいと思っていたお花との向き合い方がガラガラとおとを立てて崩れてしまったところまで、前回のエピソード⑦までのでお話です。
その頃は堺市にあるホテルの花屋さん サトウ花店で働いていました。
当時はホテルウエディング、ハウスウエディングの全盛期でした。
毎週末は結婚式やその打ち合わせが沢山ありました。
が…しかし…
在籍していたホテルには競合の花屋さんもいらっしゃいました。
全国展開されている花屋さんで知名度も高く、そちらの花屋さんを選択されるお客様が多かったように記憶しています。
そこの花屋さんのお仕事はホテル館内のレストランで飾られているお花や宴会場で使用されるお花など多岐にわたっていました。
中でも、日本食のお店のお花の池込みは大変勉強になりました。
限られた花材を使って季節感を出しながら、存在感を出し、スケール感をも演出する。
そして、水盤に剣山を置いて花をいける。
生け花のスタイル!
そう私は華道未経験者です。
剣山にお花を挿すと全て真っ直ぐ、空間もできません。
どうしたら、角度をつけて空間が作れるのか、平面的なところから立体化出来るのか頭を悩ましました。
考えました…
そうそう、母が華道習ってた!
剣山にお花を挿す方法、角度の付け方、花の配置の仕方、バランスの取り方を教えて貰いました。
そんな日常的なお花屋さんの業務をバタバタとこなしながら、月に一度東京のフラワースクールへ通いました。
モダンなスタイルのお花のデザインの仕方、古典的なフラワーデザインの仕方、オリジナルなフラワーデザインの仕方様々なことを学びました。
以前はお花の顔は自分の方へ向けるという方法でお花を挿していました。
しかし、ヨーロッパのお花のデザインは太陽の向きを意識してデザインしていきます。
そして、お花一輪一輪をじっと観察するとそれぞれ個性があります。
お花の向き、傾き、咲き方、質感、どの様な環境に生息しているかなどなど…
それらを見て、そのお花個体の声に耳を傾けます。
右に居たいのか、左に居たいのか、上に向かって勢いよく居たいのか、その花の居場所を決めるのは自分ではなく、そのお花自身。
お花との向き合い方を変えていく必要がありました。
意識的な変化から、自然にお花を見て感じてデザインしていく。
このお花の場所はここだから違和感あるけどここに挿してという方法から、お花に合う場所へ誘導していく方法へ
これらは目に見える部分のデザイン的なことです。
もちろん、テクニカルな部分も意識を変える必要がありました。
吸水フォームに挿す茎の長さ、器に吸水フォームをセットする時にお水が入るスペースを作るとか、どの様にフォームを固定するか、お花の葉っぱの残し方などです。
最初の半年ぐらいは意識を変えていくことにとても苦労しました。
戸惑いから理解、確信、無意識へと毎回トレーニング。
先生とお話することで意識の改革をしていきました。
ほぼ、レッスンが先生とのマンツーマンだったので、先生との対話がとても大切で、勉強になりました。
この時間はお花との真剣に向き合う時間でした。
レッスンを受ける中で、他の先生から受けたフラワーレッスンとの大きな違いがありました。
◯その日作るフラワーデザインの見本がない。
◯お花の配置が決まっていない。
◯デザイン理論、カタチの形成の仕方のレクチャーのみ
◯自分が作ろうとするスタイルのデザイン画を複数描く。
今まで受けていたフラワーレッスンとの違いに戸惑い、危機感を感じていました。
フラワーデザインの流行りに乗り遅れてはいけないという焦りもありました。
この頃はお花漬けの毎日を過ごしていました。
まだまだ続きます。
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