" ユーモア " で世界に挑むブランドDoubletは何が凄いのか?
「ショーは見てる人を楽しませるエンターテインメント。事前に公開しているルックそのままの雰囲気で見せても面白くない。バイヤーさんや遠方からの取引先の方々が楽しんでくれるように、良くも悪くも期待を裏切りたい。0点か100点かぐらいに評価が分かれてもいい」。
Doublet (ダブレット)
この名前を聞いたことがあるだろうか?
これは日本人デザイナーの井野将之のブランドである。
日本で最も勢いがあると言っても過言ではない今世界の注目を集めているブランドである。
doubletのが一躍有名になったのはラグジュアリービジネスを牽引するLVMHによる世界最高峰のファッションコンテストファッションコンテスト「LVMH Prize for Young Fashion Designers 2018(LVMHプライズ)」のグランプリに輝いた為だ。
これはアジア人初の快挙となる。
「LVMHプライズ」のグランプリを受賞した時に隣にいたエマ・ストーンのVゾーンの深いジャケットを目を奪われたと言う彼の服への概念、そしてクリエーションの数々を見ていきたい
その前にまず、自己紹介をさせて頂きたいのですが、現在東京の某服飾学校に通っていて、将来的にデザイナーを目標に勉強をしています。
なので、主にファッション関連の記事を多く書いているので気に入った記事などございましたらフォローして頂けると幸いです<(_ _)>
---------ブランド名の" 由来 "--------
ブランド名の由来はルイス・キャロルの言葉遊びのゲームの「ダブレット」に由来している。
具体的にこのゲームは、プレーヤーに与えられた2つの単語の片方を、1文字ずつ、他の単語に変化させていき、始めに与えられたもう片方の単語まで変化させていく、というルール。
例えば「猫(CAT)みたいな犬(DOG)というテーマであれば「CAT(猫)→PAT(叩く)→POT(深鍋)→DOT(点)→DOG(犬)」と言った感じ。
... 言葉の通り「Doublet」はデザイナー井野将之氏の考える “ ユーモア " なアイデアをリアルクローズなアイテムに混ぜ込んだ『違和感のある日常着』をコンセプトに掲げている。
ブランドの特徴
ダブレットのスタイルを言葉にするならユーモア、ストレンジフィーリング。
ユーモアあふれるフリンジ風の刺繍ワークや、首がないように見えるコート、そして代表アイテムのスカジャンに見られるような文字やモチーフの刺繍を重ねていく高度テクニックが特徴。
↑2019年10月5日、北九州市で開催された「takagi presents TGC 北九州 2019」にて、斎藤工さんが同ブランドの通称 " ジャミラジャケット " を着用し登場した。
メンズウェアを展開しているが、ショーやルックに女性モデルを起用したり、また、女性が実際にアイテムを購入するケースも多々ありユニセックス的な雰囲気もある。
ストリートをベースとしたブランドカラーをしっかりと認知させ、世界で最も有名なコンセプトストアとして名高いパリにある『colette』や歴史に名を残すであろうデザイナーのブランドが並ぶ東京の銀座にある『Dover Street Market』といった、セレクトショップの頂点といってもいい2店舗で取り扱われており、勢力は拡大し続けている。
そして、アメリカ人シンガー兼ラッパーで、インスタグラムのフォロワー数237万人のタイ・ダラー・サインや同フォロワー数7662万人のモデル、ケンダル・ジェンナーが私服で着用しており、国内外で人気が急上昇している。
↑タイ・ダラー・サイン
↑ケンダル・ジェンナー
↑さらにファッションアイコンでもあるBIGBANGのメンバーG-DRAGONがこのファーコートを着用し、一時期とんでもない高価格で取り引きされた。
下積み時代
デザイナー井野将之は1979年に群馬県で生まれ、東京モード学園で服の基礎を磨き、2002年に卒業。その後株式会社アバハウスインターナショナルに入社し、企業デザイナーとしてキャリアを積むが、自分がやりたい企画が通らず不満が募っていく。
そして当時のことをWWDJAPANのインタビューにて
「学校を卒業し、アバハウスインターナショナルで靴やベルトを作っていたが、なかなか自分がやりたい企画が通らなかった。結局会社を辞め、浅草でベルトを作っているおっちゃんの所で働くことになり、ひたすらベルトにスタッズを打ち続けていた。
と話している。
その後、毎月のように、デザイナーである三原康裕氏の元へ一方的にデザイン画や履歴書を送り続け、そして尊敬していた三原康裕氏の「MIHARA YASUHIRO」の元で靴、アクセサリーの企画、生産に従事し、約7年間勤務する。
※ちょっとした小話ですが、ミハラヤスヒロで働いた当初は井野さんに浅草の職人さんのところへ行かせて、職人さんたちのモチベーションを上げてもらう為にギャグをさせていたらしいです(笑)
そして、オリジナルのデザインで、製品を手にする人との距離を縮めたいという思いから7年勤めた同ブランドを退職。
そして、2012年に学生時代の友人であるパタンナー村上高士とともに「Doublet(ダブレット)」を設立し、2013年春夏シーズンにデビューコレクションを発表した。しかし、順風満帆には行かなかった。
ブランド創設当初の苦悩を彼はこう語っている。
「最初は張り切って20型近く作ったが、全然売れずにガタガタだった。2シーズン目に『TOKYO 新人デザイナーファッション大賞』を受賞してファッション業界の方にも見てもらえるようになったが、その後数シーズンはストリートやモードなどを行ったり来たりし、デザインもビジネスも安定しなかった。よく買ってくれていたバイヤーさん数人に『何がやりたいのかわからない。アイデアは良いけど落としどころが下手』と言われた時は、正直、ブランドの終わりも考えた」。
そんな心境の中、やれることを思い切りやろうと決意し制作した16-17年秋冬シーズンのコレクション“DON’T DO IT YOURSELF”が好評価を得ることが出来た。https://www.fashion-press.net/collections/6008
そして2016年、東京ファッションアワードを受賞。
それからは海外の卸先も続々と決まり、ブランドイメージや売れる売れないよりも、思いついたアイデアを思いついたままやれば評価がついてくると確信する。
そしてそれから2年後の2018年には「LVMH Prize for Young Fashion Designers 2018(LVMHプライズ)」を獲得し、世界的ブランドにも引きを取らないほど有名なブランドとなった。
ファッションの道を志すきっかけ
そんな井野将之氏は幼い頃からユニークなアイデアを思案し、モノを作るのが好きだったらしく、高校時代にストリートスナップを取り上げたファッション誌『asayan』を手に取ることをきっかけに裏原の存在を知る。
「90年代後半は、“裏原ブーム”全盛期で、アンダーカバー、ジェネラルリサーチなどの服を着ている人たちがキラキラして見えた。アルバイトで得たお金は、すべて服につぎ込んでいました」
↑上記のように、裏腹ブーム、そして数々の偉大なブランドのデザインに触れることによりファッションの道を志す。
そんなダブレットでは万国共通で通じるもの、できるだけやりたいことをシンプルに出すこと、ストレートに飾らないで出すということに心掛けており、それは自社の服を買って頂くお客様への対応にも現れている。
発送する段ボールの中に「ありがとう」と書いた紙を中に入れたり、余ってセールになったら、正規金額で購入されたお客さんが嫌だろうと言う思いから、LVMH賞を受賞した後にも無理に店舗は増やすことはなかった。
作業場である自宅兼アトリエにはズラーっとサンプルが並び、商品の発送シーズンには部屋が段ボールで埋もれる。
ホームページに届く商品の問い合わせも、未だにデザイナー自らが返信し、取引先やショーモデルのブッキングなどの電話は一日中なり続ける。
そんな実直な働き方をする理由は彼の下積み時代に起因していると言えるだろう。
浅草のベルト工場で働いたことは
「今まで発注する側だったのが、される側の立場に立ったことで作り手側の気持ちを知れた良い経験だった」
と語るように、まさにこの経験がLVMH賞やその他の受賞をしてもなお、無駄に規模を拡大することはなく、作り手、そして商品を買って下さるお客様重視になった理由なんだなと思う。
ブランドを50年継続する目標
「海外の展示会でも感じたのは、今『ダブレット』は色物扱いされているということ。『ダブレット』らしさは見えつつあるが、いずれは飽きられるかもしれない。どんどん新しいモノを提案しないといけない。今はスニーカーじゃないと合わない“着崩れてるスーツ”を作っていて、今後もこういったアイテムを増やしていくつもりだ。ブランドをあと50年やりたいので、焦らず、じっくりやっていきたい」。
ユニークでどこか皮肉も混じったような彼のクリエーションはポップだか考え方は実に奥が深い。
そしていい意味で期待を裏切ってくるエンターテインメントを提供する彼のクリエイションには今後も期待だ。
今回参考にした記事
三原康裕から井野将之へ。受け継がれてゆく哲学。
https://www.houyhnhnm.jp/feature/185448/
ファッション業界で活躍する若手クリエイターをピックアップ
https://sow-fca.tokyo/sp/think/fnv/doublet.html
取り扱い店舗
MIDWEST TOKYO
東京都渋谷区神南1-16-1
https://store-midwest.com
NUBIAN HARAJUKU
東京都渋谷区神南前1-20-2
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