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異常対抗リーグX3:ベストナイン

サムネイル:


はじめに

打てない打者と打たれる投手を集めて競うリーグです。
2024年のポイント配分は以下のとおり。

打者
PA: 5
1B: -14
2B: -20
3B: -26
HR: -33
SO: 0.5
BB: -11
HBP: 2
SH: 9
GIDP: 5
SB: -4
CS: 9
CI: 23
SLAM: 84
CYC: 213

投手
IP: -3
H: 3
HR: 25
SO: -5
BB: 6
HBP: 7
WP: 7
BLK: 28
SB: 4
PICK: -14
CG: -56
SHO: -56
NH: 336
PG: 1008

ここで、上記の項目のうち、取得するのが面倒なCI, SB (Allowed), PICK、そして全てを愚弄する意図で設けたSLAM, CYC, NH, PGを省いて計算したポイントと、$${\rm wRAA+wSB+wGDP}$$または$${\rm ((lgFIP-FIP) \div 9) \times IP}$$との関係を紹介しておきます。データはFanGraphsから。

打者

投手

看板に偽りなきことが確認できたので、今回の本題であるベストナインを発表します。

選出基準

  • 各ポジションで最もポイントを得た選手

  • 各ポジションでの出場試合数が打者は50%以上、投手は80%以上

  • トレードなどでリーグを跨いだ選手は対象外

アメリカン・リーグ

データ:FanGraphs

ジョナ・ハイム

コメント
捕手としては上々の105 wRC+をマークした2023年から見事な急降下。打撃はもちろん守備でも軒並みキャリアワースト級の成績に終わりました。
2025年は?
90 wRC+くらいまでは戻すような気がします。いずれにせよ捕手の層は信じられないほど厚いので、指名されるのは中盤以降でしょう。

ハート (2023-2024)

DJ ラメイヒュー

コメント
なぜか満塁弾を1本放っているので84ポイントのブーストを得ています。6年契約 ($90M, 2021-2026)の後半に入った2024年は、試合にあまり出なくなるというアガった選手にとっては基本的な境地にようやく到達しました。
2025年は?
アーロン・ヒックスは、およそ3年$30Mを残して迎えた2023年の5月にヤンキースを飛び級で卒業したので、指名する際はそのあたりも考慮する必要がありそうです。

ブランドン・ドルーリー

コメント
ホームでは度肝を抜く3 wRC+をマーク。堅い成績を残していたここ数年の姿は完全に消失し、考えられる限り最悪の形でFA市場に出ます。
2025年は?
メジャー契約を得られた場合は中盤までに指名されそうです。良くて1年$5Mくらいでしょうか。その他の場合は様子見でいいと思います。

FanGraphs

マイケル・ガルシア

コメント
やがてキブライアン・ヘイズになる者。開幕から6試合で3本のHRを放ち、見切り発車が得意な識者にブレイクを確信させたあとは151試合で4本のHRを放ちました。向こう3年はブレイク候補として挙げられ続けるでしょう。
2025年は?
守備である程度の貢献が見込めるので、プレータイムを心配する必要はなさそうです。スイングを修正、そして成功するといったことがない限りは、ハネにハネても110 wRC+くらいが関の山だと思います。

FanGraphs

ブライアン・ロキオ

コメント
この手のプロフィールの選手は本当に嫌になるほど見ていて、特にセンターラインでグラブ・ファーストな50 FVのプロスペクトのデビュー後数年は、大概こういう感じになる印象があります。
2025年は?
ショートの前任者と比べると遥かに守れそうなので、ガルシアのところで書いたことと被りますが、プレータイムを心配する必要はなさそうに思えます。

1番ヘッジス、2番ロキオで打線を組むと良さそう

アレックス・バードゥーゴ

コメント
2023年オフにリチャード・フィッツ、グレッグ・ワイサート、ニコラス・ジュディスとの3対1のトレードでレッドソックスから移籍。この惑星の誰よりも多くセカンドにゴロを打つという奇妙な方法で、持ち味のコンタクト能力を存分に発揮しました。
2025年は?
キャリアワーストの成績を引っさげてFA市場に出ることになりましたが、少なくとも若さがあるので複数年契約は得られるでしょう。契約の予想はとりあえず4年$48Mで。

唯一無二の1試合3セカンドゴロ3回達成者

ホセ・シリ

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満塁弾が1本、打撃妨害が2回で計130ポイントのブースト。絶え間ない三振の合間に突発的にHRを放つ平均以下の打撃を、GG級のセンター守備でカバーする平均的な選手という印象です。
2025年は?
打撃については2023年くらいの成績がキャリアハイになりそうな気がします。プレータイムについては、ジョニー・デルーカと多少は分け合うと思いますが、守備能力を維持できれば影響は少ないでしょう。

2023年と同様に二度のマルチHRゲーム

ドミニク・フレッチャー

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2023年オフにクリスチャン・メナとのトレードでダイヤモンドバックスから移籍。開幕前にオスカー・コラスと入れ替わったので、そのタイミングで指名した覚えがあります。シーズン中は二度オプションされましたが、それでもなお栄光の121敗を支える礎となりました。
2025年は?
80 wRC+くらい打てれば良いほうだと思います。愚かにもレフトはアンドリュー・ベニンテンディ、センターはルイス・ロバートJr.によってロックされているので、プレータイムについてはザック・デローチらと分け合うことになりそうです。

タイラー・フリーマン

コメント
内外野を平均をやや下回るレベルで守るユーティリティで、ちょうどリプレイスメント・レベルの選手という印象。ご多聞に漏れずコンタクト能力は高いです。
2025年は?
レーン・トーマス、ウィル・ブレナン、ジョンケンジー・ノエルあたりが健在なうちは大したプレータイムは得られないと思います。

ゾーン5 (2024)

グリフィン・キャニング

コメント
31試合に先発しキャリアハイの171.2回を投げシーズンを完走した一方で、レシオは軒並み悪化。すぐ目につくところでは、対戦する回数も割合も増えた対左打者における成績が、2023年の.278 wOBA (259 TBF, 48.3%)から.357 wOBA (386 TBF, 52.2%)に後退しました。
2025年は?
FAイヤーです。2025年のエンゼルスの立ち位置(恐らく良くはないでしょう)にもよりますが、ローテを守りながら100 ERA-/FIP-くらいでTDLを迎えるのが現実的なベスト・シナリオだと思います。

対左打者における投球割合 (2024年)

ヘネシス・カブレラ

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7, 8回を主として69試合に登板。平均LIが2.0以上だった9登板(FanGraphsではLIが2.0以上でハイレバレッジ)のうち、7登板でプラスのWPAをマークしており、実際の印象は例えばK-BB%などより多少は良かったのではと思います。
2025年は?
FAイヤーです。ブルージェイズがまたも売り手となった場合にも、トレードの弾にするには難しい何とも言えない成績に終わりそうな気がします。

FanGraphs

ナショナル・リーグ

データ:FanGraphs

ニック・フォーテス

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優れたブロッキングを含む守備での貢献をパーにするほどの打棒の持ち主。7月だけは不可解な.404 BABIPのおかげで100 wRC+を超えました (123 wRC+)。
2025年は?
プレータイムについては、ジャズ・チザムJr.のトレードで獲得した選手のうちの一人であるアグスティン・ラミレスが捕手として目途が立つか否かに大きく左右されると思います。あとのジョニー・ペレダとかいうマジで知らない選手は無視していいでしょう。

リース・ホスキンス

コメント
満塁弾が3本、打撃妨害が2回で298ポイント(!)のブースト。ブレーキング・ボールにかなり苦戦していたようです。
2025年は?
$18Mのプレイヤー・オプションは行使するとして、110 wRC+で1.5 WARくらいであれば十分バウンスバックと言えると思います。

対ブレーキング・ボール (2024)

タイロ・エストラーダ

コメント
2022-2023年で6.3 fWAR, 4.1 rWARを残すも2024年はついに大コケ。BABIPがその間の.309から.249に下がったこと以外には大して変わっていないように思えるのですが、とにかく8月26日にウェイバーに置かれ、30日にアウトライトされました。
2025年は?
10月1日にマイナーFAを選択していました。軽く他チームのセカンドの選手層を眺めた感じだとエンゼルスがフィットしそうに思えます。

Pulled Fly Ball (2022-2024)

キブライアン・ヘイズ

コメント
かつてマイケル・ガルシアだった者。怪我の影響がどこまで及んでいるのかは分かりませんが、2023年に26%程度まで引き上げたFB%がそれまで (2020-2022) のキャリア平均に近い17%に後退。また、キャリアを通じて顕著だった対戦投手の左右による成績の違いもさらに極端なものになりました。
2025年は?
まだ契約 ($70M, 2022-2029)がかなり残っているのでプレータイムを心配する必要はありません。とはいえ流石にもうブレイクを期待する人はほとんどいないと思います。

vs RHP (2020-2024)

オーランド・アルシア

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ロナルド・アクーニャJr.やスペンサー・ストライダーといったコア・プレイヤーがアガっていくのをよそに、特に離脱することもインパクトを与えることもなくシーズンを完走。WPAでドルーリーすらも上回るMLBワーストの-3.74をマークしました。
2025年は?
$2Mと格安なので、ブレーブスがウィリー・アダメスを獲得した場合を除けば、少なくともバックアップとしてのプレータイムは得られると思います。いずれにせよ2023年のような働きは期待しないほうがいいでしょう。

Swing/Take

エディー・ロサリオ

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ナショナルズ、ブレーブス、メッツ(出場なし)とナ・リーグ東地区をコロコロ。45 wRC+はぶっちぎりのキャリアワーストでしたが、フライボールにおける逆方向の割合が増えたことも関係しているかもしれません。
2025年は?
どこかのタイミングで再びブレーブスとマイナー契約すると思います。

FBのスプレー・チャート (2024)

ジェイコブ・ヤング

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GG級のセンター守備のおかげで平均未満の打撃ながら2.6 fWAR/rWARをマーク。私は(確かその週に産休リストに入ったマイケル・テイラーの穴埋めで)6月10日にクレームしたのですが、結局最後までロスターし続けるほどには活躍してくれました。
2025年は?
これくらい守れる(平均的な選手よりも10点ほど失点を防いでいると推定される)センターなら80 wRC+でもフルタイムに近いプレータイムが得られると思われます。異常対抗リーグ2024における最大のバストだったブレントン・ドイルとは違ってホーム球場がクアーズではないので、安全な上位指名候補になりそうです。

Outfield Directional OAA

サル・フリーリック

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3回の打撃妨害で69ポイントのブースト。BBEが200以上あった打者のうち.287 xwOBAconはMLBワースト5位でした。ちなみにこのランキングのワースト10にはフォーテス、ロキオ、ドルーリー、フリーマンが含まれています。
2025年は?
ジョーイ・オルティズがショートに移ることで空くサードのオプションの一つとして数えられている様子ですが、個人的にはあまり成功するイメージは浮かびません。

キーバート・ルイーズ

コメント
2024年はついにキャッチャーの守備評価にフレーミングを含んでいないrWARでもリプレイスメント・レベル程度の成績に終わりました。年々打撃成績が落ち込んでいっているのが切ないですね。
2025年は?
出さんとしゃーないという選ばれし者のみがたどり着ける領域に若くして到達しつつあるという認識です。スタメンです。正捕手です。ロック・インです。

ロデリー・ムニョス

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6月24日にクレームしました。その後も三振は取らずHRは許すという本リーグにおいては理想的と言える登板を連発。なぜ先発登板の機会を与えられているのか分からないままロスターし続けていましたが、8月28日のオプション以降はMLBに戻ることなくシーズンを終えました。
2025年は?
少なくとも先発投手としては滅多なことがない限りお目にかかれないと思います。

ワーストFIP- (1961-2024, 80回以上)

ジャスティン・ローレンス

コメント
開幕時点ではクローザーの役割だった記憶があるのですが、こんなことになってたんですね。ツーピッチが一方(彼の場合はシンカー)の球種で苦労すると当然厳しくなるなあという印象を受けました。
2025年は?
アーム・アングルだけで言えば貴重な投手だと思うので、仮にDFAなどの憂き目にあっても拾う球団はありそうです。あるいはニック・ミアーズみたくトレードによる脱クアで心機一転という可能性もあります。

Pitch Arsenal Stats (2024)

次回:異常対抗リーグ2025

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