憧れ女子のルーツを探ることで見えたこと
高校時代に憧れていた女子のルーツが、ヌーヴェルヴァーグの代表的な女優、ジーン・セバーグにあったことを探り当てた私は、まず「ヌーヴェルヴァーグって?その世代の女優って?」というところから調べてみました。
ヌーヴェルヴァーグとは、直訳すると「新しい波」。1950年代半ばから始まったフランスにおける映画の革新運動のことです。
代表的な監督には、ジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメール等がいて、女優のジーン・セバーグは、ゴダールの映画「勝手にしやがれ」という映画のヒロインだということが分かりました。
そこで初めてゴダールの存在を知り、と同時にゴダールにはジーン・セバーグの他に、彼の公私共にミューズだったアンナ・カリーナという女優がいたことを知りました。
アンナ・カリーナを見たときは衝撃が走りました。歌って踊れる女優さんで、動きがとてもチャーミングなのだけど、目は切れ長ので憂いのある三白眼のためか、どこか色っぽい。それでいて、品を失わない清潔さもあり、私はたちまちアンナに魅了されました。
つまり、憧れ女子のルーツを探ったらジーン・セバーグだと分かり、さらにその周辺を調べてたどり着いたのが、今でも私のミューズ、アンナ・カリーナだったのです。
ジーン・セバーグはとてもキュートで溌剌さがありました。セシルカットと揶揄されて彼女のトレードマークだったベリーショートは、憧れ女子にはよく似合っていたけれども、自分にはアンナのセミロングの髪型の方がしっくりくると気づいたとき、私ももう高校を卒業して美大に入学していました。
ルーツを探るにも、数年かかったのです。
その間、憧れ女子の髪型、つまりジーン・セバーグに近いヘアスタイルを真似してみたりしたけれども、いまいちしっくりこず。ファッションも彼女とジーン・セバーグの要素を取り入れて、白いパンツを履いてみたりしたけど、あまり似合わず・・・という失敗もしてきました。
とはいえ、時間はかかったけれども、この一連の「女子観察オタクぶり」で見つけたのは、深いルーツの奥に潜んでいた、「自分にぴったりのモデル」という重要な発見でした。
例えば、今現在活躍しているモデルやアーティストがあなたの憧れ女子だとします。その憧れ女子を、そのまま真似するのも勉強にはなりますが、できればその女子自体にも、ルーツと「元ネタ」があると考えてみてください。すると、観察に深みが出ます。
私にとっての憧れ女子の元ネタは、ジーン・セバーグだっただけど、周辺を調べてみたら、私自身の元ネタとすべく真のモデル、アンナ・カリーナだったように、本当に参考にすべき人物が見つかるはずです。
ちなみに、ひと昔前に流行った「小悪魔アゲハ」の読者モデルの人たちもルーツと元ネタは、ブリジッド・バルドーです。ジーン・セヴァーグとアンナ・カリーナと同時期に活躍したフランス女優でB.Bと呼ばれてました。
あなたが憧れ女子をそのまま真似したり、コピーしたりするよりも、ルーツを探ることで元ネタまでたどり着けます。そうすることで、よりあなたのファッションやヘアメイクのクオリティが高くなるのです。
なぜなら、元ネタを手繰り寄せると、生粋の情報が出てくるので、最初は真似だったとしても、より濃度の濃いクリエイティブなファッションやヘアメイクを体現できるようになってくるからです。
そうすることで「オリジナリティ」も身についていきます。この辺りもじょじょに書いていきたいと思います。
憧れ女子のルーツを探ることの大切さを少し、お分かりいただけたでしょうか?(つづく)
文・イラスト 柴崎マイ