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まいぱんだ なんちゃって小説家『コーヒー☆クエスト』第3話

謎のコーヒー豆・豆太郎コーヒークエストに挑戦することにした「ひかる」と「コウちゃん」。早速練習問題が出題されて…。そんな前回のお話はコチラ ↓

カランカラン。
「いらっしゃいませ」
桜が咲き始めた日曜の午後。
豆太郎から「お前たちを連れていきたい店がある」と言われて、私とコウちゃんは海岸沿いをドライブ。
それから細い路地を抜けて一軒の店にたどり着いた。
木製の看板には『ププ丸コーヒー』という文字。
入口のドアを開けた先にいたのは以前公園でコーヒーを売っていたニット帽のお兄さんだった。
「おぅ、鶴、ただいま帰ったぞー」
店の中に入るなり豆太郎が威勢よく言った。
「おかえり、師匠」
お兄さんは慣れた口調でそう言うとコーヒーを淹れ始めた。
「まだまだ冷えるからホットがいいですよねぇ」
お兄さんは私たちに言っているのか独り言なのか分からない感じでつぶやきながら手際よく淹れたコーヒーを私たちの前に置く。
「はい、よかったらどうぞ」
「どうもありがとうございます」
「いただきます」
湯気がホワッと立ちのぼるカップに口をつけると香ばしい風味が口の中に広がった。
「あ~、おいしい」
思わず笑みがこぼれる。
「よかった。新しく作った春のブレンドなんですよ」
お兄さんは満足そうに微笑む。
「へぇ、そうなんですね。あ、そうそう!この間公園で買ったブラジルのコーヒーも美味しかったです!」
「ふふふ、よかった。でも、どうやら師匠が豆の中に紛れこんでたみたいですね」
「師匠?」
お兄さんは豆太郎に視線を移す。
「おぅ、オレが鶴の師匠だ」
視線を感じた様子の豆太郎は威張って言った。
「僕、焙煎士の鶴井です。だから鶴」
「えっと、私は波瀬(はぜ)ひかるです」
「浩太郎です」
私たちも自己紹介する。
「それで、あの、師匠っていうのはどういう意味ですか?」
「あぁ、僕は師匠からコーヒーの素晴らしさを教わってコーヒー屋になったんです」
鶴井さんはサラッとそう言った。
「そういうことだ」
豆太郎はウンウンうなずいている。
「それってもしかして鶴井さんもコーヒークエストに挑戦したってことですか?」
コウちゃんが尋ねると鶴井さんはうなずいた。
「えー!!それで鶴井さんは全クリしたんですか?ご褒美って・・・あ、いや、ご褒美は聞いたらつまらないよな。えー、でもすごいっすね」
コウちゃんはテンションが上がっている。
「その様子だと君たちもコーヒークエストに挑戦するんですね。ふふふ、これから楽しくなりますよ」
鶴井さんは意味深な笑みを浮かべた。
「いやー、この間練習問題やったんすけど当てられなくて」
コウちゃんは悔しそうに言う。
「ふふふ、そうですか。結構難しいですよね」
「でも絶対豆ポイント集めようって思ってます!」
「ふふふ、応援してますよ。あ、コーヒー温かいうちに飲んでくださいね」
「はい!いただきます」

それから私たちはコーヒー片手に鶴井さんからコーヒーのことを教わった。
時間はあっという間に過ぎていく。
「あー、もうこんな時間。鶴井さん、いろいろお話ありがとうございました」
「僕も楽しかったですよ。コーヒーの話するの大好きなんで。またお待ちしてます」
そして私たちは前回と同じブラジルの深煎りの豆を買ってお店を後にした。
豆太郎も「また来るからなー」と鶴井さんに言い残し、当たり前のように私たちに付いてきた。
ふとコーヒークエストが終わったら豆太郎はいなくなるのかななんて考えてしまって寂しさを感じてしまった。
まぁ、まだ始まったばかりだけれど。
「ねぇねぇ、帰ったらおやつタイムにしよっか」
「そうだな。おやつ何かあったかなぁ」
運転席でコウちゃんが家のおやつの在庫を思い出そうとしている。
「そうだ!帰りにイチゴ大福買って帰るのはどう?」
「いいねー。そうしよう。コーヒー飲んだばっかりだけどブラジルの豆もちょっとだけ飲もう」
「うんうん、そうしよ」
車は和菓子屋さんに向けて出発した。

☆☆☆つづく

ブラジルの深煎り

『ププ丸コーヒー』の鶴井さんと出合ったひかるとコウちゃん。
コーヒークエストをクリアするための強力な助っ人になりそうな予感??
なにはともあれ、コーヒーを飲んでちょっと一息。
深煎りコーヒーは苦いから甘ーいおやつと合わせるのもオススメです。
意外と和菓子とコーヒーって合うんですよねぇ(*´ω`*)

最後まで読んでいただきありがとうございました♪とっても嬉しいです(*^^*)