纏って整う
纏→というと、江戸時代の火消し組のイメージだったりしますが、
今日お話しするのは「まつわりつく」方の纏(まとい)です。
舞扇のお稽古の中には、「纏」という練行があります。
纏は、確かに見た目は火消し組のマークをてっぺんにつけた棒をグルグル回す、
大きなデンデン太鼓みたいですが、
練行の纏では、ただ身体を旋回させて手をぶらんぶらんするわけではありません。
この回転の中には「分離」と「統合」が含まれています。
では、始めてゆきましょう。
まずは基本の立ち方です。
反っている腰を、尾骨を前方へ巻き込むようなイメージで骨盤を立てます。
こうすると、背中が丸まって下を見てしまいがち。
目線は真っ直ぐ、遠くを見るような感じで。
耳眼水平(じがんすいへい)になるようにします。
胸は力を抜いて落として。
胸を張ってしまうと、せっかく真っ直ぐにした腰や背中が反り返って、力が入ってしまいます。
頭の天辺から、紐で吊られているような
身体の中に、天から真っ直ぐ芯が通されたような
イメージを持って立ってみます。
そして「合足」をする事で、重心をググッと下に下すと、内圧が上がります。
踵に重さを感じる事ができるでしょうか。
頭のてっぺんから吊られた状態で
骨盤の水平を保ったまま右または左に回旋します。
この時、お顔は真っ直ぐ前を向いたままを保ちます。
顔が動かない事で、首と体の分離が起きます。
が、天から吊るされている感覚を持っていると
軸で繋がっていることを確認できます。
体の中に軸ができるわけです。
この動作を、始めは手を股関節の辺りに固定して
等速で続けます。
慣れて来たら、腕の力を抜いて垂らし、腰の動きに任せて揺らしてみます。
この時、肩や腕の力で手を振らないように気をつけます。
腕から先は、肩からではなく腰の辺りから繋がっていて、ここから振り回される感覚を見つけられるように集中してみます。
肩の力みが抜けて、どんどん腕が長くなるような感覚になるでしょうか。
腕が振られることで、状態がブレやすくなりますが、
ここのバランスは「足の裏」で調節します。
けっして腕や肩で調整しないように気をつけます。
頭、胴体、腕が分離されて、
分離されるから統合が起きる。というのはなかなか難しい表現ですが、「纏」の練行をやってみると何となく分かって頂けるかと思います。
舞扇道のお稽古は、激しい動きではありませんが、じわりじわりと効いてくる練行です。
日常生活に取り入れて、突然やってくる不調やイライラにも対応できたりしています。
畳半分でできるボディワーク舞扇道(まいおうぎのみち)。
お稽古会は毎月開催していますので、気になる方はご連絡下さいませ。