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不倫したら怖い国

私が多分まだ10代だったころ。母が言った一言がとても頭に残っている。

「叱られるうちはまだいいのよ。大人になると誰も叱ってくれなくなる。あ、こういう人なんだ、と思われておしまい。だから本人も気づかない。」

子供ながらに大人になるってそういうことか、と漠然と納得できた気がした。

昨今の不倫報道を見ていて、あっそ、と思ってしまう私は、母が言っていた大人になったのかもしれない。

しかし、この不倫報道を受けて、次々とあらゆる立場の人が良いだの悪いだのと意見するのを見てびっくりした。

しかも、某タレントは不倫したことで謝罪。ってそもそも誰に?と疑問を抱いたのは私だけだろうか?(しかもなぜか彼女のみ。不倫って二人でするもんじゃないの?)

まるで叱られた子供のようだと思った。社会全体が幼稚に見える瞬間でもある。

不倫は犯罪と見なされる国も未だにあり、死刑になる国もある。そしてこれは酷い人権侵害だとして強く批判されていることは周知の事実。

日本ではさすがに不倫が法で裁かれるわけではないが、この騒動を見ながら、法で定められていなくても村八分に合うような国なのだということを改めて感じた。

親が子に叱るのと違うのは、この村八分にあった人たちにその後、親のように無条件で諭してくれてフォローしてくれる人は「世間」という舞台にはいない、ということ。

倫理的に間違っているから社会がそういうことを許してはいけない、とかパブリックパーソンは自らの行為には責任を、という意見もあるけど、大の大人なのだ。あるいは世間はパブリックパーソンを教育するべき、なのか?だいたい、教育者ぶるのなら、この人たちのその後の責任でも取るつもりはあるのだろうか?

私には世間が野次馬精神丸出しで冷酷な仕打ちをして、それをエンターテイメントとして盛り上げた、というただの趣味の悪い出来事にしか見えない。

育休取りたいと言ってた人が〜、と言われてるけど、不倫をする男性には育休取るな、と誰が言う権利あるのか。というかそもそもそれとこれとは問題が違う。

村八分にはこのように関係のないところが繋がって認識されてしまうことの恐ろしさもある。だいたい、この議員が特に育休などの話をしていなかったとしたら。離党だのなんだのの話もでなかっただろうし、世間の目に触れることなく終わったのではないだろうか?あるいは不倫するならバレないようにしろ、とかそういうことなのかな、と思ってしまう。

(そもそも育休を取りたいというだけで有名になってしまう社会にも問題あり、と思うけれど。)

一方のフランスなんて大統領が不倫していたのだ。スッパ抜かれた時はさすがに気まずそうだったけど、パートナーとは別れ、きっといろいろあったんだろうけど、まだフツーに大統領やっている。そんなことで社会から干されたりしないし、社会党から離党しろなんて言われない。政治家として間違いを犯したわけではない、というロジックなのだ。

そして彼なりのけじめは、不倫をしていたことがばれた時点でパートナーと別れたこと。そしてもちろんその事実も公表したのだが、そのときに一言、「ただしこれは私のプライベートライフの話なので、今は大統領としてではなく、一個人として発表をした」と付け加えることを忘れなかった。

方法としてこの方が合理的ですっきりすると思うのだけど。個人的に日本社会が窮屈だと感じてしまうことがあるのはこういう瞬間なんだな、と。

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