図々しいではなく、ピュアでした!
その日曜日の夕方の6時くらいに、僕は帰宅しました。
先に帰っていたゆかりちゃんが、僕に駆け寄ってきて、
「わたしを見て!」
と言います。
「なになになになに~?」
「イイから、こっち来て」
と、僕の手を取り引っ張ります。
(なんだ?)
(まさか……)
(脱ぐのか?)
ゆかりちゃんは、僕の正面に立ちました。
そして両手で、僕の両手を取ります。
逃がさないという、真剣な気迫です。
そしてもう一度、
「わたしを見て!」
と言いました。
(……こ、この流れは?)
(瞳めを閉じる?)
(その場合は、応じるしかないよな)
ゆかりちゃんは瞳めを閉じずに、こう言いました。
「今、スッピンなの!」
「エステに行ったら、凄いのよ~!」
「ものすごく顔がキレイなの!」
「わかるでしょ⁈」
「肌が、すごくキレイになったの~~~!」
「お、おお~っ!」
僕は、とっさに、こう言いました。
ゆかりちゃんが喜んだ気がしたので、もう1度、
「お、おお~っ!」
と、重ねて言いました。
僕は、できることならウソを言いたくありません。
本当は、ゆかりちゃんの顔はいつもと変わらないと、そう思っていました。
そもそも、ゆかりちゃんは、普段から肌がキレイなのです。
スベスベです。
ツルツルです。
今日が特別キレイかというと、僕には正直、違いが分かりませんでした。
「お、おお~っ!」は便利なので、これからも多用すると思います。
僕は、本音を言うとは限らない男です。
本音を漏らさない男です。
僕の「お、おお~っ!」2連発に満足した様子のゆかりちゃんは、ひとり言をブツブツ言いながら、今度は、鏡とにらめっこしました。
そして、
わが家にいる、唯一の観客である僕への宣言なのか、はたまた、単にひとり言が大きいだけなのか、とにかく、こう叫んだのです。
「このキレイな顔、写真に撮っとこ~!」
今年度の図々しい大賞、日本一です。
スマホで自撮りしました。
ゆかりちゃんは、たぶん、本音が漏れる女なのでしょう。
撮った写真を、ゆかりちゃんが確認。
「……ん?」
「写真じゃ、肌がキレイだってことが、良く分からないなぁ~」
と、ボヤキました。
さっきと違って小声です。でもやはり、本音が漏れる女です。
僕は、ゆかりちゃんの肌の美しさって、本当に素晴らしいと思っています。
僕の中では、30ポイントアップです。
もう1つ。
僕は、本音が漏れてしまうって、メチャクチャ素晴らしいと思っています。
150ポイントアップ以上です。
願わくば、その純粋さを、ず~っと持ち続けてほしい。
お肌より純粋さの方が、うんと大事だと思います。
僕は、ピュアなゆかりちゃんが大好きです。
おしまい
◆宣伝
僕の、初のKindle本 ↓『いいかい、タケルくん』【考え方編】です。
読むと、恋人ができてしまう自分に変わります。
ご一読いただけたら幸いです。
この本は、noteで下書きしました。
このマガジンです。↓
2冊目のkindle本は【タブー編】となります。上のマガジンに下書きが入っています。
現在、大幅な加筆修正中です。
上記マガジンの記事は、全て無料で読めますからね~。