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第51話 え? こんな時に?

こどもの頃、一時的に【カンチョー】が流行った。

僕の場合は、小学校の4年生だったような気がする。5年生だったかも。


男子は、夢中になる。そして、かなり本気でやる。

この【カンチョー】を、知らない人っているかなぁ。


人差し指と中指を立てる。ピースの、指が閉じた形だ。

それを左右、両方の手で作り組み合わせる。

薬指と小指は、互い違いで握られる。

教会で祈るときに、両手を顔の前で組むでしょ。指を互い違いに、両手で1つのグーを。

その形から、人差し指と中指を伸ばした形。

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この伸びた4本の指が、武器なのだ。

これで攻撃対象者の、おしりを狙う。

正確には、おしりの穴あたりを狙う。


これが決まると、痛いのだ。

油断しているときなど、かなり痛い。


逆に、『くる!』と感じてケツの穴を閉めれば、痛さは半減する。

時には、攻撃側が突き指することもある。


とまあ、こんな下品でやんちゃな遊びは、アホな男子しかやらない。

男子も、さすがに女子にはやらない。

「エッチ!」とか「ヘンタイ!」とか言われるに決まっているからだ。


要は、男の子の遊び。


1ヶ月ぐらいは流行る。

そして厭きるが、ひょんなタイミングでプチ再燃したりする。


なつかしい、アホな思い出だ。


これを、女性のゆかりちゃんが僕にやった。

2年前に。

もう女子ではない。大人の『女性』だ。


決して本気ではなかったが、明確に【穴】を狙った攻撃だった。


僕は言った。


「この攻撃は、たとえ冗談でもアカンって。痔の手術後だよ~(苦笑)」



痔のことを、すっかり忘れていたゆかりちゃんは、逆に大笑いした。


「にゃはははははははは~~~~~!」



僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。








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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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