第414話 ゆかりちゃんと娘が歌う、この季節の歌を、今年も思い出した


この季節になると、娘が歌った。

今、娘は、東京で一人暮らしをしている。
社会人3年目で、営業という厳しくも楽しい仕事に、どうやらしっかりと取り組んでいるようだ。

娘は、美しい。
キレイというタイプではなく、可愛い、というタイプだ。

クラスで上位というレベルではなく、学年で上位、というレベルの可愛さだ。

その娘が、高校生の頃から、この季節になると歌い出す歌がある。

ま、いわば、季節の歌だ。

ただ、
女子高校生が大声で歌うか? という歌だ。

そういう、歌詞なのだ。

*** *** ***

年頃の娘が、歌うには、まったくもってふさわしくない。

しかも、娘の歌う声が大きい。
ためらいがない。
ボリュームを抑えない。

ゆかりちゃんが、たしなめるだろう、と僕は思った。

僕は、ゆかりちゃんには小難しいことを言うが、娘には一切言わない。
なぜなら僕は、娘に、嫌われたくないのだ。
なので、ここは、ゆかりちゃんに任せた方が無難だ。

ゆかりちゃんが、息を吸って、ついに、まあまあ大きな声で、

一緒になって歌った。

僕は、ズッコケた。


*** *** ***


今年もこの歌を思い出した。そういう季節なんだ。

思い出したきっかけは、インターネット上の広告を観たからだ。
CMソングなのだ。

YouTubeのリンクを貼る。

この季節になると、美しく若い娘と、やはり美しいゆかりちゃんが、大声で歌いだす。

それをイメージしてから、YouTubeをご覧いただきたい。

二人とも、明瞭な活舌で、大きな声で歌う。
娘はフリ付きで歌う。

この歌だ。


娘よ、、

なぜ、この歌なんだ? 

なぜ、大声なんだ?

ゆかりちゃん、、

なぜ、たしなめない?

もう、こうなったら東京でも、可愛い子ぶりっ子なんかしないで、歌いまくってほしい。

そう、
いつものように、ガニ股で少ししゃがむフリ付きで、歌ってほしい。


*** *** ***

ゆかりちゃんは、突然歌いだすというクセがある。

証拠が、こちらだ。


娘は、そのゆかりちゃんにそっくりだ。

遺伝って、ヤツだな。

今年のお盆は帰って来るだろうか。
帰ってきても、彼氏のところに行ってばかりか?

はたして、この歌は、また聴けるのだろうか。


◆〆

今朝電話で、ゆかりちゃんが、「ガッキーが結婚したよ~」と、教えてくれた。

僕は、なんとも思わなかった。
星野源さんが、うらやましいと、1ミリも感じてないのだ。


ゆかりちゃんがいるからだ。

そう気づいた。

なんなら、星野源さんが、僕をうらやましがればイイのだ。

星野源さんは、
「じょーじさんからゆかりちゃんは、奪えそうにないなぁ」
と、あきらめて、
そして、ガッキーさんを選んだのかもしれない。

そんな気がした。

どうやら、僕は、かなりの幸せ者のようだ。


僕は、ゆかりちゃんが大好きなのだ。誰にも渡さないのだ。




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