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第291話 ヨットレース『ヴァンデ・ グローブ』をニュースで観て、涙腺がゆるくなる理由を考えた


歳を重ねると、涙腺がゆるくなる。

良く言われることだし、僕も、良く口にする。

多くの方が、同意する現象だろう。


◆ヨットレース

今朝、会社でテレビを付けながら、作業をしていた。(僕の仕事は、TV視聴しながらが公認されている)(会社がわざわざTVを購入し設置している)

4年に1度のヨットレース『』の、途中経過の模様を、たまたまついていた情報番組のおかげで知った。

ヴァンデ・ グローブは、【単独】【無寄港】【無補給】というルールで、世界1周するヨットレースだ。

アジア人では、海洋冒険家の白石 康次郎氏、1名のみが出場している。

昨年の11月8日にスタートして、レースは、2ヶ月半から3ヶ月を要するという。つまり、今は、レース終盤だ。


◆うるうるした

レースの途中で、選手の1人が遭難した。ヨットが真っ二つになったらしい。

救命ボートで漂流している。

近くにいた、レース中の4隻が捜索に当たった。これは、ヨットレースの特徴と、以前どこかで聞いた。

ただし、海は広い。

そう簡単に見つかるものではない。

ベテランの1人だけが、あきらめず捜索を続け、奇跡的に救助に成功した。

救助された人は、助けてくれた人に謝った。

お礼を言うのではなく、謝罪したのだ。

僕は、ここでウルウルした。

ちなみに、捜索した選手は、ゴール後、その捜索に要した時間を引いてもらえると、この番組で知った。

素敵なルールだ。


◆白石さん

白石さんの映像も、もちろん紹介された。

1人でクリスマスを楽しんでいる映像。クリスマスの飾り付けが、狭い船内に施されていた。

奥さんが用意してくれたものらしい。

ここでもウルウルした。


白石さんは、たまたま、日付変更線を超えるタイミングが元日になってからだったので、日付変更線を超えて、また大晦日になって、なんと元日を2度迎えたらしい。

そして、どの映像でも、白石さんの表情が明るいのだ。

過酷なレース中の表情とは思えない。

孤独なレース中の表情とは思えない。

メッチャ、明るく爽やかな表情なのだ。

僕は、この表情で、ウルウルした。


◆映画『鉄道員(ぽっぽや)』

そういえば昔、僕は、仕事中に映画を観せた。

部下育成の一環だった。

鉄道員(ぽっぽや)を観た部下から、「正直、どこで泣けるのか、僕にはさっぱりわからなかった」と、後日カミングアウトされ、メッチャ驚いた記憶がある。

あの映画なら、誰でも、100%、泣くものと思っていたからだ。


僕は、1人、淋しそうな、ぽっぽやの奥さんの大竹しのぶさんの映像を観て、泣いた。

幼くして死んでしまった、ゆっこ(幽霊)が、父、高倉健に会いに来る。

この、父娘のやりとりも泣けた。


◆涙腺がゆるくなる理由

その状況に置かれた人の、『心が想像できるから』ではないだろうか。

遭難し救助されたヨットマンの心情が、

危険な冒険家の妻となり、危険なレースへ送る奥さんの想いが、

たった1人という孤独なレース中のちょっとしたイベントの楽しさが、

目標の完走が近づいている幸福感が・・・。


鉄道員(ぽっぽや)では、

夫の仕事への責任感を理解している妻の苦悩が、

娘を亡くした母親の淋しさや辛さが、

娘を、そして妻を、幸せにできたと思えない、仕事だけに生きてきた男の葛藤や後悔が、

これらが、少し、想像できるから、

だから、泣けてしまうのだと思う。


想像力があるから。

想像できる、経験があるから。

これが、歳をとると涙腺がゆるくなる、最大の原因だろう。

おぼろげに、誰もが理解していることを文章にしてみた。僕は、明確に言語化できてなかったから。


◆結論&〆

さして価値のある記事ではない。ただ僕には、モヤモヤを言語化する、良い機会となった。

自己中心的な人物とか、相手を思いやれない人というのは、想像力が足らないのではないか?

では、想像力を養うには、何を、どうすれば良いのか?

僕の中に、明確な答えはない。今浮かぶのは、読書を勧めるくらいだ。

はたして、例えば、教育に携わっている方は、この問いの答えを、明確に持っているものなのだろうか。

思考の深掘りに値するテーマだと思う。

頭の片隅に置いておこう。


ちなみに、僕は、わが家のマンションのリフォーム工事の間取りにおいて、トイレは、脱衣所経由を主張した。

ゆかりちゃんは、ドアが1枚増える面倒と、誰かが入浴中にトイレに行けないという理由から、リビングルームから直のドアを主張した。

そして、おおよそ、尊重村の助役とは思えぬ強引な戦法で僕を黙らせ、自論を通した。

今、この記事を読んで、「ああ、あの頃の私は、昨夜のことを想像できなかったんだなぁ」と、「想像力って大事だなぁ」と、そう思っているだろう。

具体的な説明は避ける。

ダーツの的がなくても、カニの爪が飛んできかねないのだ。(ゆかりちゃん以外の方には、意味不明な文章で申し訳ない)


僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。




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