わかる人にはわかるって、わからない人がどうしたっている、ってことだなぁ
昔、テレビを観ていて、「違うんだよなぁ」と呟いたことがあります。
相田みつをさんの、作品や生き方などを紹介する特別番組でした。
相田みつをさんの代表作、
が紹介されました。
司会者が、「上手いこと言いますよねぇ~」と言ったのです。
ここで僕は、「違うんだよなぁ」と呟いたのです。
◆努力量
まず、努力量を考えてみましょう。
ここでの『努力量』とは、神様目線の客観とします。
このように、人によって努力量は異なります。
今は、努力量を計る機械がありませんが、人によって異なることは間違いありません。
◆努力量が少ない人
努力量が少ない人は、相田みつをさんの
という作品に触れると、
「そうだ。つまづいたり失敗したって、人間だから仕方ないんだよ。なのに上司はガミガミ怒ってばかりで、あれは人として、間違っている」
という感想を、抱くと思います。
これは大変浅い解釈です。間違った解釈です。
◆この作品が真に刺さる人
このときのテレビ番組では、15~30分くらいのミニドラマがありました。
ミニドラマの主人公は、猛烈に仕事をしている中間管理職です。結果も出していて、経営陣から高く評価されています。
部下のミスに寛大な同期の課長に、「だからお前の課はダメなんだ」と説教をし、厳しさを求めます。
部下にも、そして己にも厳しい課長です。その調子で何年も、人の何倍もの努力を重ね続けます。
そして、部長に昇進しました。
少しすると、その主人公が、致命的なミスを犯してしまいます。
会社が被る損害額が、数十億円という大きなミスでした。
主人公は降格され、左遷されました。
周りに厳しかった彼には、彼を慰めてくれる仲間がいません。
そのとき、相田みつをさんの作品に触れたのです。
この作品の真意が心に沁み、主人公は慟哭します。
「絶対につまづくものか」と、人の何倍も努力を重ねた人。
その、努力を重ねた人がつまづいたとき。失敗したとき。
その失敗に囚われているとき、この作品は真価を発揮します。
テレビ番組は、そのように、ちゃんと語っていました。
◆それなのに
それなのに司会者は、「上手いこと言いますよねぇ~」と、浅い解釈を語ったのです。
相田みつをさんは、「自分の言葉を、自分の書で書く」という、誰もやったことのないサービスに命を懸けました。
一家が生活できるはずがありません。
奥さんと子供に貧乏をさせても、自分の生き方を変えなかったのです。
頑張ってもいない人を慰める訳がありません。
そういう人でさえも、相田みつをさんなら優しい目で見るかもしれませんが、少なくとも、そのための書ではありません。
頑張って、頑張って、
頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、
頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、
それでも結果が出ない人を応援する。
そのための書です。
だから、説教臭くならないように、言葉も書も、これでもか、これでもかと、何千枚と書き直したのです。
反故の山があって、できあがった作品です。
「上手いことを言おう」という、そのような心とは真逆です。
どんなに言葉を尽くしても、
頑張ったことのない人、
頑張った量の少ない人には、きっと伝わらないのでしょう。
おしまい
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私、奈星 丞持(なせ じょーじ)は、note創作大賞2024に応募しました。
恋愛小説です。
タイトルは『恋の賭け、成立条件緩和中』です。
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