第232話 映画『えんとつ町のプペル』を、僕なりに全力(超微力)応援する記事-その⑤【ニューヨークでの個展】
2013年の2月に、西野さんは初めて、海外での個展を開催します。
場所はニューヨーク。展示するのは、にしのあきひろさんの【絵】です。
この記事は、西野さんのVoicyの、2020年2月14日放送分と6月3日放送分の内容がメインです。
引用は、可能な限り少なくしました。最後にVoicyのリンクを貼りますので、詳しくはそちらをご視聴ください。
※よしもとのリンク ↓ 貼っておきます。個展の様子がうかがえますよ!
◆きっかけは声帯ポリープ
西野さんは、2013年の2月に、長期休暇を計画していたのですが、その1ヶ月まえに、声帯ポリープを患って、1週間お休みされました。
「休んだし、こんどの長期休暇、いらね~なぁ」
「う~ん。ニューヨークで個展やりたいなぁ」
「よし、やろう!」
となったそうです。
ちょっと、普通じゃないです。なんの準備もしてなかったのに、たった1ヶ月後に個展を開催? ま、絵は、絵本を描いているのですから、たくさん原画があるでしょう。
それにしても、場所がニューヨークです。
スケジュールの感覚が、ちょっと異常です。そして、なんとかしてしまうのです。もはや、異常者、です。
◆クラウドファンディング
このとき西野さんは、予算がなかったそうです。(時間だけじゃなく、お金もないんかい!)
今は、国内最大のオンラインサロンを運営している西野さんですが、そのオンラインサロンは2016年に始めた(ウィキペディア情報)ので、このときはまだ存在してません。
搬送費、滞在費、スタッフの人件費、ギャラリーのレンタル費用、エトセトラ。
西野さんは、友人から教えてもらった、クラウドファンディングで資金を募りました。
すると、日本中から非難を浴びることとなります。当時、クラウドファンディングを知っている日本人がほとんどいませんでした。
「宗教だ!」「搾取だ!」と叩かれ、1番多かった悪口が「ネット乞食」でした。
「ひな壇に出ない」と言ったら、ボコボコに叩かれ、今度はクラウドファンディングで支援を募ったら、ボコボコに叩かれます。
叩く側は、小さな小石を放った程度でも、その小石が、数千、数万ともなれば、人を死に追い込む威力にもなります。
◆男前すぎる博多大吉さん
クラウドファンディングをはじめた西野さんに、博多大吉さんから電話が入りました。大吉さんは、西野さんの先輩になるそうです。考えてみれば、よしもとの先輩ですねぇ。
その、大吉先輩からの電話は、「この1番高い、30万円の絵を買うね~」というものでした。
これは、西野さんの、クラウドファンディングのリターンの中で、最も高額で、西野さんも(売れたらイイなぁ)くらいの感覚で、設定したものだったのです。
ですから思わず、「え? これ買うんですか?」って、西野さんは、そう聞き返したそうです。
大吉さんは、
「まもなく君は世間に見つかって、君の絵は買えなくなる」「得をするのは僕だよ」
こう言ったそうです。
これだけでも、充分に【男前エピソード】なのですが、まだ、あります。
西野さんと博多大吉さんは、挨拶する程度の仲だったのです。特に親しいわけでもなく、食事などをする仲でもなかった、というのです。
さらにさらに驚きなのが、このとき博多大吉さんは、そこまで売れてたわけじゃないんです。相方の華丸さんは、モノマネでブレイクし、R1グランプリで優勝していましたが、コンビでブレイクしたのは翌年なのです。
博多華丸大吉が、『THE MANZAI』で優勝したのは、翌、2014年なのです。
◆僕なりの注釈や感想
クラウドファンディングには大きく、【支援型】と【購入型】の、2つがあります。
支援型は、『寄付』や『募金』と、内容は、ほぼほぼ同じになります。
購入型は、『予約販売』と、内容は、ほぼほぼ同じになります。
購入型には、その支援額別に『リターン』が設定されています。このときのリターンの詳細は分かりませんが、たとえば、1000円の支援をいただいた方には「ポストカードを送ります」とか、5000円の支援には、「色紙に絵を描いて送ります」とか、そんなイメージです。
5万円なら、その支援額にふさわしい絵を、そして最高額の30万円の支援には、その支援額にふさわしい、にしのあきひろさんの【描き下ろしの絵】が届くのです。
この例が秀逸です。西野さんが、Voicyのどこかで言っていた例です。
美大生が、画材を買うためにアルバイトをしなければならない。しかし、アルバイトに精を出すと、その時間は絵が描けない。飲食店でアルバイトしていても、絵は上手くなりません。
美大生は、【卒業=アーティストとして食っていける】、というわけではありません。実力が必要です。何らかの結果も欲しいでしょう。
とにかく「描いて描いて描きまくりたい」「でも、時間がない」「時間をつくるとお金がない」ということを、大半の美大生が悩んでいたそうです。
西野さんは、「こんな時こそ、クラウドファンディングだ」と言います。
たとえば、『1年間のアート活動費100万円を支援してください』というクラウドファンディングを立ち上げます。リターンは、支援額に応じた、その美大生の【絵】です。当然、「私はこんな絵を描いてます」と、これまでの絵の画像をアップし、周知させます。
支援をいただいた方には、絵を描いて送ればいいのです。
これなら、絵の実力も向上するし、もしかするとファンも生まれるかもしれない。画材も買えて、そして絵を描く時間も生まれました。
素晴らしい、アイディアです。
購入型のクラウドファンディングは、いわば予約販売なのです。
このケースなら、「わたし、絵を描きますから、先にお金をください」と言ってるのと、ほぼ同じです。
ここまで解説しても、「先に金を取るなよ」という人がいそうです。
では、お考え下さい。
あなたが行きたい、大好きなアーティストのコンサート。チケットぴあで、事前に購入していませんか?
あれ、予約販売ですよね?
劇団四季のミュージカルチケットも、中日ドラゴンズの観戦チケットも、さだまさしのコンサートチケットも。全て、予約販売です。
先にお代をちょうだいするのって、そんなにイケナイことでしょうか?
話を整理します。
クラウドファンディングには、【支援型】と【購入型】がある。
支援型は、寄付や募金とほぼ同じ。そして、寄付も募金も、それを募ることは、なんら悪いことではない。
購入型は、予約販売とほぼ同じ。これも当然だが、なんにも悪いことではない。
クラウドファンディングは、宗教でも搾取でも、そして「ネット乞食」でもない。
西野さんは、ほとんどの日本人が、【クラウドファンディングを知らない】という理由から、ただそれだけで、ボコボコに叩かれたのです。
日本中から、叩かれたのです。
◆ニューヨークでの個展
ニューヨークのアートギャラリー『One Art Space』にて、西野さんは、海外では初めてとなる、絵本絵画展「Akihiro Nishino Solo Art Exhibition」を開催し、成功させました。
来場者が多く会場に入りきれなくなり、入るのに1時間待ちにもなったそうです。
これ、不思議ではありませんか?
名もない絵本作家が、1ヶ月の準備だけで個展を開く。これだけでも驚きなのに、しかも「入りきれないほどの来場者」です。
僕はそんな、大盛況な『個展』って、出くわしたことがありません。たいていの個展は、ひっそりとしたものです。
さらに、西野さんは、開催の資金がなくクラウドファンディングを立ち上げたわけですが、日本中から叩かれているのに、支援がなぜ、集まったのか?
たった1ヶ月で資金を調達できたことも、そして、たった1ヶ月で集客に成功したことも、どちらも驚きです。
しかも、集客は日本じゃないんです。アメリカはニューヨークです。西野さんは、ニューヨークにコネもなければ知人もいませんでした。
本来なら【あり得ない】結果なのです。繰り返します。異常です。
この秘訣は、2月14日のVoicyで語られています。マーケティングに興味のある方は、必聴です。
個人事業主さんは、自分に【転用】可能なノウハウですよ。
※リンクを貼ります。2月14日のVoicy ↓ こちら
博多大吉さんの男前エピソード ↓ こちら
※Voicyは無料で聴けます。西野さんのVoicyは、1回は、たったの10分です。
◆僕が言いたい、もっと重要なこと
西野さんは、クラウドファンディングで世間から叩かれたとき、辛かったことが3つあったと言ってます。
1つは、シンプルに、ご自身が辛かった、ということです。誹謗中傷の雨嵐。TVも、クラウドファンディングを知らないから、西野さんを「炎上商法」と言ったりする始末。そりゃあ、辛いですよね。
2つ目は、自分を信じてくれるファンや仲間も、攻撃されたことです。西野さんは、「こっちが辛かった」と言います。
自分を慕ってくれる後輩が、先輩芸人から、「おまえ、西野なんかとつるんでんのか?」と言われたのです。そして西野さんに「僕、なにも言い返せなくって、すみません」って、そう謝るんです。
そのときの西野さんの、悔しさを思うと、書きながら泣けてきます。
3つ目が、叩いた人たちを思って、「辛かった」と語ってます。「あなたたちも、やがてクラウドファンディングをすることになる」「叩けば叩くほど、そんなときに『叩いた手前』があって、クラウドファンディングに手が出せなくなる」「守りたい人がいるときに、守れなくなる」と、心を痛めたそうです。
今年、新型コロナウィルスの感染が流行し、ついには政府が「クラウドファンディングを活用しましょう」と発言するに至りました。
西野さんが、クラウドファンディングで叩かれてから、7年以上の年月が経過しています。
ちなみに、クラウドファンディングは、お金を生み出す『打ち出の小槌』ではありません。まったく支援を得られない、そんなクラウドファンディングもたくさんあるのです。
西野さんの言葉を借りると、クラウドファンディングは道具です。例えれば「バット」です。
バットさえあれば、ホームランが打てる訳ではありません。バットを「どう使うのか」というノウハウが必要なのです。
何年も前から、先入観や『叩いた手前』などがなく、トライ&エラーを繰り返した人にはノウハウがあります。その方は、おそらく、このコロナ禍で、クラウドファンディングを上手に活用したでしょう。
しかし、今年になって、はじめてクラウドファンディングを行なった方は、そのほとんどが、思ったようには、支援を得られなかったのではないでしょうか。
僕は、3つ目を太字にしました。叩いた人たちを思って、「辛かった」と語ってます、と。
西野さんは、7年前に、「こんなことになりかねない」「叩いちゃダメなんだ」「あなたが困るかもしれないんだ」と、そう思って、「辛かった」というのです。
僕は心が狭いので、僕を叩いた人が困るのは、いっそ「ざまあみろ」という気持ちが、少し、わきます。
自分を叩いた人をも、思いやる。(キリストですか?)
けっして「ざまあみろ」なんて、そんなことは思わない。
僕も、そうありたい。
53歳にして、あらためて、そう思いました。
~~~ 応援記事、その⑤終了 ~~~